著者
大本 久美子 鈴木 真由子 タン ミッシェル
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

公正で持続可能な社会の形成者としての「消費者市民」を育成するために、リーガルリテラシーを育むことが重要であるという認識のもと、本研究では、リーガルリテラシーを育む消費者市民教育のカリキュラム開発を行い、教員養成のための大学授業シラバスと教材を提案した。海外の先駆的な取組の視察調査などから課題を把握し、子どもの発達段階に合わせた教育課題を明確にした。コンシューマー・リーガルリテラシーの道徳的要素を『配慮、思いやりによって自らの行動に責任を持つ』と『道徳、倫理、社会的正義の判断によって意思決定し、社会の一員として協働し社会参画できる』こととし、それらを育むことができる授業内容と教材を開発した。
著者
吉井 美奈子 大本 久美子 岸本(重信) 妙子 田中 洋子 藤川 順子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

【目的】<br> 近年、消費者庁の設立などの機会によって、消費者教育の重要性が改めて認識されつつあるものの、今なお教育現場では消費者教育に関わる問題が山積している。消費者教育はこれまで必ずしも体系的に実施されてきたとは言えず、日本消費者教育学会も消費者基本計画に関する提言の中で、「系統的・計画的な消費者教育の欠如」を指摘している<sup>1)</sup>。消費者教育は、主に家庭科や社会科で行われているが、特に家庭科では衣食住などの各分野における体系立てた消費者教育が必要であると言える<sup>2)</sup>。これまで、本研究メンバーの一部で、食生活分野での教材を作成し、その効果を検証してきた<sup>3)4)</sup>。本研究では、体系立てた消費者教育を目指し、「安全」「契約・取引・家計」「生活情報」「環境・責任・倫理」の各領域の目標を設定し、その目標が達成できるような消費者を目指す消費者教育教材作りを衣生活分野において行う。<br>【方法】<br> 消費者教育を体系的に行うための領域別目標を掲げ、その各目標を達成できるような教材作りを「衣生活分野」において行った。具体的には、衣生活の流れに沿ったスゴロクを作成し、カードなどを使うことで購入、使用、管理、廃棄(環境への配慮)などが一連で学べるようにした。小・中・高全ての校種で活用できることを目的としているが、今回はまず中学・高校で活用できる教材作りを行い、改良を重ねながら小学校等でも活用できるようにしていく予定である。<br>【結果と考察】<br> スタートからゴールまでの間にあるイベントマスで「商品カード」「表示カード」「エコカード」を引きながら、自立した消費者を示す星マークを多く集めてゴールを目指す教材を作成した。スタート近くでは、衣服を購入するための金銭的なイベントマスを用意し、目標を立てて貯蓄することの大切さなどを感じられるようにした。「商品カード」では、様々な視点から商品を捉えられるように工夫した。「表示カード」では、商品についている表示をクイズ形式で答えるようにし、知識を確認できるようにした。「エコカード」では、環境に配慮した廃棄や再活用について考えられるようにした。また、全員がゴールした後、講師が「お知らせ」を発表することで、知的財産への配慮などの必要性を感じることができるようにした。 本教材の特長は、消費者教育を体系立てて学べるということの他に、ゲームを援用したことで、生徒が自ら学ぼうという意欲が高まるようにしたことである。加えて、ゲームを活用することで、単に「楽しかった」で終わらせず、知識を付けながらコマを進められるように工夫した。また、ゲーム終了後の振り返りを利用して、既にゲームを通して獲得したポイントの数を変動させて意外性を持たせることで、より強い印象を付けることができる。<br>&nbsp;1)日本消費者教育学会「消費者計画に関する提言」(2004年12月13日)内閣府へ提出した意見書<br>2)「消費者教育体系化シートの領域別目標の達成と課題-大学生の消費行動に関する意識調査を手がかりにして―」吉井美奈子、他(2010)消費者教育第30冊、日本消費者教育学会<br>3)「食生活における消費行動に関する領域別達成度と課題」岸本(重信)妙子、他(2011)消費者教育第31冊、日本消費者教育学会<br>4)「食生活分野における消費者教育教材の検討-教材開発の成果と課題-」吉井美奈子、他、日本消費者教育学会第31回全国大会、2011.10.23
著者
奥谷 めぐみ 鈴木 真由子 大本 久美子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2016

<b>【目的】</b><b></b> <br>&nbsp;&nbsp;発表者は日本家庭科教育学会第58回において、情報社会における生活課題に焦点を当てた中学校家庭科の授業開発・実践の成果を報告した。デジタルコンテンツの売買に焦点を当て、実物との契約の仕組みの違いを扱うことで、消費者としての自覚、権利意識の育成を図ることができた。 しかし、生徒の生活経験や家庭環境によっては、デジタルコンテンツを身近な商品として捉えられず、一部の生徒にとって理解が困難な題材となってしまったことが課題として挙げられた。<br> &nbsp;&nbsp;そこで、デジタルコンテンツ購入のプロセスを動画化することが有効であると考えた。本研究では、ヴァーチャルな商品との関わり方を考え、市場における事業者側の意図について理解を促す動画教材の開発・評価を目的とする。 <br> <br> <b>【方法】</b><b><br></b> &nbsp;&nbsp;K中学校の中学生第2学年118名を対象に、全2時間分の授業実践を行った。1時間目を平成27年11月24日(火)に、2時間目を12月9日(水)、12月15日(火)の2日間に分けて実施した。<br>&nbsp;&nbsp; 分析対象は授業前アンケート(平成27年11月)と、授業時のワークシート、グループワークの結果、授業後アンケート(平成28年2月)である。 授業のワークシートからは、動画から読み取れることや課題を話し合った結果を、事前と事後からは普段の消費行動と、デジタルコンテンツへの意識についての変容(回収数109名/回収率92.4%)について分析することとした。結果分析は、Microsoft Excel2013及びIBM SPSS statistic22.0を用い、アンケート及びワークシートの記述内容を分析した。<br> <br> <b>【結果】</b><b><br> </b>(1)授業前後の消費行動とデジタルコンテンツに対する意識の変化<br> &nbsp;&nbsp;デジタルコンテンツに対する意識と日頃の消費行動に関する9項目の質問を設定し、「全くそう思わない~とてもそう思う」の5段階で回答を求めた。授業前後において同一の質問を行い、t検定によって平均値を比較した。うち6項目に有意差が見られた。特に、顕著(p<0.001)に差が見られたのは「商品やサービスを購入する時、作っている人のことを考える」や「商品やサービスについての不安や疑問があった時、企業や消費生活センターに相談することができる」といった項目であることから、事業者と消費者との関わりに視野を広げ、事業者側の意図を知る必要性を認識できたと考える。<br>&nbsp;&nbsp;また、「デジタルコンテンツにお金をかけることは良くないことだ」も肯定的な方向で変容があった。時間的、経済的に適切な情報技術との付き合い方を伝えるという点では、デジタルコンテンツ=悪としない、設問や内容に工夫が必要であったと考える。 <br> <br> (2)動画教材から読み取られた特色と授業の評価<br>&nbsp;&nbsp; ワークシートには、中学生に高額請求を受けた事例を挙げ、事例のみを聞いた状態でのトラブルの原因と、動画を見てから新たに考えた原因の2つの記述を求めた。事例のみの原因は「友人との競争意識」、「現金を使っている感覚がなかったから」等、消費者側の経験や感情に則した記述がみられた。動画からは「規約や確認画面、ペアレンタルコントロールの確認」や「ランクアップやゲームオーバー等プレイを続けさせたくなる仕組み」に関する記述がみられた。利用者側の問題だけではなく、サービスそのものにお金を掛けたくなる仕組みがあることに気付いていた。<br>&nbsp;&nbsp; また、授業での説明は分かりやすいものだった88.1%(N=109)、動画は見やすいものだった89.8%(N=108)、動画は自分の生活に身近なものだった85.1%(N=108)と、授業理解に関する肯定的な評価は概ね8割を超え、動画教材が理解を促す一助になったことが伺える。 <br>&nbsp; &nbsp;今後は、動画のポイント、問いかけ、解説等を加え、どのような教師でも利用でき、生徒の理解を促す仕掛けを持った動画教材に改善する必要がある。<br>&nbsp;&nbsp;本研究は、JSPS科研費26381267の助成を受けたものである。&nbsp;