著者
福井 至 大橋 靖史 菅野 純 重久 剛 春木 豊
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.12-19, 1991-03-31 (Released:2019-04-06)

親の性格,養育態度(強化モード)と子の性格との関係について検討した。被験者は日本人9才児男女245名で,本人,母,父のそれぞれについて性格と強化モードを測定するために作成された質問表に,2件法で解答した。子の性格と親のそれぞれの性格はWPQ(EPQ改訂版)の向性(Ex),情動性(Em),タフ・ソフト傾向(To),社会的技能性(Di),自己実現性・愛他性(Sa)の次元について,子が解答した得点に基づくものである。親の養育態度は,IRS(人間関係診断テスト)の「押し付け」(Fr),「任せ」(Lr),「受けとめ」(Cr),「認め」(Adr)のモードについて,子どもが解答した得点である。5次元,4モードのうち,子の向性と父の向性,子の自己実現性・愛他性と母のタフ・ソフト傾向,そして父の情動性,タフ・ソフト傾向に高い相関がみられ,また子の向性は母の押し付け強化,認め強化,そして父の押し付け強化との間に高い相関を示した。以上の結果から,子の性格が,遺伝と環境の双方に深いかかわりをもつ手がかりが示唆された。
著者
大橋 靖史
出版者
淑徳大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

従来内的心理現象と捉えられてきた時間的展望現象を、社会的相互作用と捉え直し、その生成プロセスを明らかにするため、未来や過去について語り合う占いの場を分析した。予備研究の後、占い師3名が30名のクライエントに対し占いを行う様子を録音・録画し、ディスコース分析等の手法を用い分析した。その結果、占い師とクライエントは、前者が専門性や権威を後者に示し、後者が前者に委ねる関係にあること、また語られた内容をクライエントの手相に帰属させる語りの定式化が存在すること等が明らかとなった