著者
川瀬 良美
出版者
淑徳大学
雑誌
淑徳大学社会学部研究紀要 (ISSN:13427792)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.17-32, 1998-03-15
被引用文献数
1
著者
神 信人
出版者
淑徳大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成18年度には、17年度に開発したリーダー制裁行動進化シミュレーションにおけるリーダー進化replicator dynamicsのアルゴリズムを改善した。このシミュレーションでは、社会的ジレンマに直面している各集団に成員への制裁権限を担うリーダーが1人いて、それぞれの持つ行動傾向に応じ、非協力成員やリーダーを支援しない成員を罰するかどうかを決定する状況を想定している。このリーダーのreplicator dynamicsは、集団成員の支援からなる「リーダー個人の利得」と「集団成員の合計利得」という2つの利得に基づいている。前者はリーダー自ら辞任する場合、後者は解任される場合のリーダー交替にそれぞれ対応する。17年度のプログラムでは、二つの利得のどちらが基準になるかが確率的に選ばれていた。しかし現実状況では、どちら一方でも低い場合、リーダーは交替する。そこでこの部分のアルゴリズムを変更し、二つの利得の積を基準とするreplicator dynamicsを新たに開発した。さらに、リーダー支援行動の検証実験を行った。現実の社会的ジレンマが制裁を担うリーダーの存在によって解決されているならば、1)成員各人が直接非協力者を罰する状況と、2)リーダーが非協力者を罰しそのリーダーを成員が支援する状況では、成員の負担するコストが同じでも、2)の状況の方がコスト負担を厭わないことが予想される。この仮説を検証する実験室実験をおこなったところ、1)と2)の状況間で成員の平均コスト負担に有意な差は認められず、仮説は支持されなかった。この結果から、成員からリーダーへの支援を引き出すには、リーダーが制裁権限を担うだけでは不十分で、リーダー選出手続きの公正性や、リーダーの制裁行使意図の妥当性などが重要であることが示唆された。
著者
渡辺 由希
出版者
淑徳大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

昨今、足利事件のような知的障害者が冤罪となった事件が社会問題となっている。知的障害者が被疑者となったとき、彼らに対する取調べには十分配慮が必要である。従来の法心理学の分野では、取調べに配慮が必要な対象として、子どもに焦点を当てた司法面接の研究が行われてきた。それらは、被害者や目撃者となった人から適切に情報を得る方法だが、被疑者への取調べには罪状認否などが含まれるという点で、面接の構造自体が異なる。加えて、知的障害者がもつ独特のコミュニケーション様式を踏まえた面接構造となる必要がある。よって本研究では、知的障害者への被疑者面接法を新たに開発し、適切な取調方法の提言に繋げたい。
著者
千葉 浩彦
出版者
淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

被虐待経験によるPTSD症状に有効とされる、感情コントロール訓練を含むTF-CBT等は、児童福祉職5年未満の初心者専門家期に普及させるには時間コストが大きい。そこで、感情コントロール訓練の研修だけで、彼らの臨床スキルがどの程度向上し、PTSD症状のある子ども等のPTSD症状にどの程度効果的かを検討する。基本研修段階では、児童相談所において支援マニュアルに従った研修を行い、その臨床スキル向上を検討する(研究1)。感情コントロール訓練では、研修修了後の人材が所属機関で感情コントロール訓練を行い、PTSD症状等への効果を検証し(研究2)、児童福祉現場における研修時間の算定根拠となることを目指す。