著者
大沢 映二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.1033-1043, 1987-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
94
被引用文献数
1 1

日本化学会の将来構想委員会が最近公表した報告の中に「化学におけるコンピュータの役割」と題する一章があり,その中で次のように言っている:『(コンピュータ)の役割は今後益々増え(続け),化学の将来に最も重要な分野の一つはコンピュータによる理論的な計算や論理,考察であろう』。コンピュータに向く理論計算法は大きく分けて量子化学計算と分子力学計算である。前者については本特集では別に取り上げられている。後者は一口で言えば分子模型のコンピュータ化であって,特に有機立体化学や有機合成化学への応用に適している。分子力学法の使い方や応用例については本特集では別に解説されるので,ここでは応用に入る前の導入部として,基本的な考え方や今後の動向に重きを置いて纏めてみた。
著者
都築 誠二 田辺 和俊 名川 吉信 中西 洋志 大沢 映二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.11, pp.1607-1612, 1986-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
30
被引用文献数
6

分子力場計算プログラムMM2'をビフェニルとナフタレンに適用し,構造と内部回転障壁エネルギーの実験値を再現するようにパラメーターの調節を行なった。結合次数が0.5から大きく異なっていると考えられるビフェニルの中央のC-C 結合およびナフタレンのC-C結合のパラメーターを変更した。ビフェニルでは結合距離定数ro,伸縮の力の定数ks,ねじれポテンシャルV2の変更を行ない,ナフタレンでは結合距離定数だけを変更した。その結果,構造と内部回転障壁エネルギーの実験値をよく再現できた。あまり大きなひずみをもたない誘導体は今回使ったパラメーターを使いMM2'による計算が可能であり,この方法は一連のよく似たタイプの分子の計算について一般的に利用可能と考えられる。
著者
岡本 康 原野 一誠 安田 昌巳 大沢 映二 兼松 顕
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.2526-2529, 1983-07-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
6
被引用文献数
8 11

The cage triketone 2 revealed different reactivities toward the thermal condition according to the substituents : the cyclobutane ring cleavage for alkyl substituents and the decarbonylation for methoxycarbonyl ones. The X-ray crystallographic study for the derivative of 2b showed a significantly long (1.635 (7) Å) C (Ph)-C (Ph) σ bond. The reaction mechanisms are discussed in terms of frontier molecular orbital (FMO) theory combined with the results of molecular mechanics and semiempirical MNDO molecular calculations.