著者
西川 武志 小林 菜津美 岡安 多香子 山田 玲子 磯貝 恵美子 磯貝 浩 山下 利春
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.321-327, 2006 (Released:2006-11-28)
参考文献数
9
被引用文献数
2

カテキンの抗菌活性については多くの報告がみられている.一方,最近ペットボトル等のお茶を飲む人が多くなっている.そこで,市販のカテキン含有飲料の病原性大腸菌感染症に対する予防効果を検討することを目的として,腸管出血性大腸菌O157(EDL931およびHK)および非病原性大腸菌MV1184に対するカテキン含有飲料の増殖抑制作用について検討した.また,併せて毒素産生抑制作用についても検討した.紅茶,緑茶1,緑茶2および番茶は大腸菌に対して強い増殖抑制作用を示した.この中でもカテキン含有量の最も多い緑茶2が,すべての大腸菌に対し極めて強い増殖抑制作用を示した.また,供試したE. coli O157はベロ毒素1型(VT1)産生株であり,紅茶,緑茶1,緑茶2,および番茶によって毒素の産生は抑制あるいは阻止された.これらの結果から,茶を飲用することは,O157をはじめとする病原性大腸菌感染症を予防するのに有効であると考えられた.
著者
西川 武志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.882-890, 2013-03-01 (Released:2013-03-01)

2011年6月,11月とTOP500リストで世界一となったスーパーコンピュータ「京」は2012年6月に完成し2012年9月末から共用が開始されている。応用分野でも先駆的な「京」利用者がゴードン・ベル賞を2011年,2012年と2年連続で受賞する等成果を上げ始めている。本報告ではスーパーコンピュータ「京」について,概要,完成までの道のりと現状,運用と共用体制,計算資源配分,利用課題の公募・選定方法と2012年度の採択結果,産業利用のための支援や拠点,利用可能なソフトウェア等,共用がどのように行われているか産業利用を中心に紹介する。
著者
藤田 俊貴 首藤 一幸 西川 武志 大西 真晶
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.321-326, 2017

高性能なカメラが安価で手に入るようになった.そこで,多数のカメラを用いて多数の撮影対象を複数の視点から撮影することが可能になってきた.サッカーや音楽ライブ等で多数のカメラを活用するためには,カメラ毎にどこを撮影するか決定して撮影する必要がある.また撮影したい映像によっては,複数のカメラが同じ場所を撮影しないようにカメラ間で協調制御をする必要がある.しかし人の手により多数のカメラを操作することや,協調制御を行うことは困難である.よって,多数のカメラを用いて多数の撮影対象を撮影するには,カメラを自動制御するべきである.カメラを自動制御する際に,制御するプログラムを書き下すのは大変であり,また撮影したい映像を撮影するように制御プログラムを書くのは困難である.そこで本論文では,撮影者が撮影指針を点数付けで与えることにより,複数台のカメラを自動制御する制御手法を示す.本制御手法を用いることで,撮影者が撮影したい映像を自動で簡単に複数撮影することが可能となる.提案制御手法の有効性を確認するために,Unityで作成したシミュレータ上で行った実験の結果を示す.実験は点数付け方法を変化させて提案制御手法で撮影することで行い,その結果撮影映像が変化し,また複数のカメラが連携して撮影していることを確認した.
著者
西川 武志 松岡 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.13, pp.117-126, 2007-08-15
参考文献数
12
被引用文献数
3

デジタル時刻認証はデジタルデータがある時点で『存在していた』、『改竄されていない』ということを証明する手段である。現在メインストリームである集中型タイムスタンプ手法は多数のタイムスタンプ要求が集中することに耐えることができない性能スケーラビリティ上の問題がある。したがって集中型タイムスタンプ手法は分散 DoS 攻撃に弱い。集中型タイムスタンプ手法の性能スケーラビリティ上の問題や分散 DoS 攻撃耐性がないという問題を解決するために分散時刻認証法が提唱されている。しかしながら原子時計のような高価な時刻源を用いることや信頼できる第三者による監査に由来する高コスト性は解決されていない。本論文では我々は (N,K = L+M,G) 手法を用いた TSA Grid と名付けた信頼できる高性能で頑強で安価な分散時刻認証法を提唱する。それは独立の主体によって管理されている peer-to-peer 型の時刻認証プログラムに基づいており、既存の分散時刻認証法のコストの問題を解決する。(N,K = L+M,G) 手法では、N 個の Time Stamping Units (TSU) に G 世代にわたってタイムスタンプ要求が伝搬される。各世代では L 個の信頼できる TSU と M 個のランダムに選んだ TSU からタイムスタンプが要求・応答される。G と L と行ったパラメータの導入により TSU が相互に自律的に監査すること、時刻認証の期待値の推測を可能にしている。また本論文で TSA Grid の基本的なパラメータ依存性について報告する。Digital time stamping is a technique to prove the existence of a digital data prior to a specific point in time. The centralized time-stamping scheme which is the main stream at present can not stand up to the concentration of numerous time-stamping requests. So, the centralized time-stamping scheme has vulnerability to the distributed DoS (DDoS) attack. Distributed time stamping schemes have been proposed to solve a performance scalability problem such as tolerance to DDoS attack. They still have high cost problems which are caused by a utilization of atomic clock and by audit of trusted third party. In this paper, we define a reliable, a high-performance, a robust, and inexpensive distributed time stamping scheme. It is named "TSA Grid" with (N, K = L + M, G) scheme and its scheme is based on a network of peer-to-peer time-stamping programs managed by administratively independent entities. It solves the cost problem of proposed distributed time stamping schemes. In (N, K = L + M, G) scheme, one time stamp request propagates for G generation to N Time Stamping Units (TSU). In each generation, L time stamps replies from reliable TSU and M time stamps replies from randomly chosen TSU. The G and the L parameters enabled us to expect authorized time of time-stamping. And they also enabled TSU to audit TSU themselves mutually and automatically. We also investigate basic characterisitic of parameter dependencies of the TSA Grid.
著者
大澤 敏 西川 武志 小川 俊夫
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.118-123, 1999-07-30
被引用文献数
1

生分解性プラスチックの分解速度はその構造とそれが置かれた微生物環境によって決まるが, 後者を制御することは微生物の多様性から困難であるとされている. しかしながら, プラスチックを含む有機廃棄物処理の観点から見ると使用後は速やかに分解する微生物環境を人為的に管理する必要性がある. そこで本研究では, 従来から有機農法において用いられている, 安定な循環サイクルを有する有用微生物 (EM) 群を生分解性プラスチック (L-ポリ乳酸) の置かれた有機廃棄物中に添加してその分解促進効果について調べた. その結果, 36℃でEM菌群をコンポスト中に添加した場合にL-ポリ乳酸の分解が約40%促進されることがわかった. また, コンポスト中での分解は非晶相から進行するが50℃でEM菌群を添加した場合には, 結晶相でも速やかな分解が起こることが明らかになった.
著者
西川 武志 長嶋 雲兵 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.51, pp.43-48, 2002-05-27
被引用文献数
5

Gaussian(http://www.gaussian.com/)は量子化学の専門/非専門を問わず科学者に広く使われる計算科学コードである。従ってGaussianジョブは、殆どのスーパーコンピュータセンターにおいてキューに投入されたジョブの圧倒的多数を占めるが、幾分かは不適切な計算資源、すなわちキューや計算機に投入されたりしている。Gaussianジョブが消費するCPUサイクルは入力パラメータに依存して際立って変化するので、ローカルな計算環境からの最も適切な計算のリソースを選択するすることにはユーザーにとって困難である。我々はグリッド技術を適用することにより高速ネットワーク環境上に「Quantum Chemistry GRID/Gaussian Portal」を構築し、個々のシステム環境の仕様を知らずとも高価な計算資源を能率的に利用することを目指している。「Quantum Chemistry GRID/Gaussian Portal」はWebインターフェイス、メタスケジューラー、計算資源、アーカイブ資源、グリッドインフラウェアから構成されている。Gaussian (http://www.gaussian.com/) is a code widely used in computational chemistry research by quantum and non-quantum chemists. So, Gaussian jobs are the majority of the number of queued, but some are queued inadequate computational resources, queues or machines for the job at almost supercomputer center. Since consuming CPU cycles of Gaussiar jobs vary significantly depending on the input parameter, it is difficult for users to chose the most adequate computational resources from local computing enviroment. By deploying grid technology on a top of high speed network environment. "Quantum Chemistry GRID/Gaussian Portal" attempt efficiently to utilize costly computational resources without knowing the specifications of each system environment. "Quantum Chemistry GRID/Gaussian Portal" consists of Web interface, Meta-schduler, computational resources, archival resources, and Grid Infrawares.
著者
大澤 敏 西川 武志 小川 俊夫
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.118-123, 1999-07-30 (Released:2011-04-19)
参考文献数
17

生分解性プラスチックの分解速度はその構造とそれが置かれた微生物環境によって決まるが, 後者を制御することは微生物の多様性から困難であるとされている. しかしながら, プラスチックを含む有機廃棄物処理の観点から見ると使用後は速やかに分解する微生物環境を人為的に管理する必要性がある. そこで本研究では, 従来から有機農法において用いられている, 安定な循環サイクルを有する有用微生物 (EM) 群を生分解性プラスチック (L-ポリ乳酸) の置かれた有機廃棄物中に添加してその分解促進効果について調べた. その結果, 36℃でEM菌群をコンポスト中に添加した場合にL-ポリ乳酸の分解が約40%促進されることがわかった. また, コンポスト中での分解は非晶相から進行するが50℃でEM菌群を添加した場合には, 結晶相でも速やかな分解が起こることが明らかになった.