著者
石間 妙子 関島 恒夫 大石 麻美 阿部 聖哉 松木 吏弓 梨本 真 竹内 亨 井上 武亮 前田 琢 由井 正敏
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.118-125, 2007-11-30
被引用文献数
1

現在、ニホンイヌワシAquila chrysaetos japonicaは天然記念物および絶滅危惧IB類に指定されており、その繁殖成功率は最近30年間で急速に低下している。繁殖の失敗をもたらすと考えられる要因の中で、近年、鬱閉した針葉樹人工林の増加による採餌環境の悪化が注目されつつある。この対応策として、2002年、林野庁は岩手県北上高地に生息するイヌワシの繁殖成績を改善するため、列状間伐による森林ギャップの創出を試みた。イヌワシの採餌環境としての列状間伐の有効性を評価するため、林野庁が試験的に実施した列状間伐区、間伐区と環境が類似している非処理対照区および事前調査によりイヌワシの採餌行動が度々確認された採餌区の3調査区を設け、イヌワシの探餌頻度および北上高地に生息するイヌワシの主要な餌であるノウサギとヘビ類の個体数を比較した。ノウサギ生息密度の指標となる糞粒数は、間伐区において伐採翌年に著しく増加したが、伐採2年後には減少し、3年後には伐採前とほぼ同じ水準まで減少した。ヘビ類の発見個体数は、調査期間を通していずれの調査区においても少なかった。イヌワシの探餌頻度は、調査期間を通して間伐区よりも採餌区の方が高かった。このように、本研究で実施された列状間伐は、イヌワシの餌動物を一時的に増やすことに成功したものの、イヌワシの探餌行動を増加させることはできなかった。今後、イヌワシとの共存を可能にする実用的な森林管理方法を提唱するため、イヌワシの採餌環境を創出するための技術的な問題が早急に解決される必要がある。
著者
武山 智博 宮下 直 関島 恒夫 石庭 寛子 坂本 大地 大石 麻美
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

統計モデルの構築によって、水田内の局所環境および水田周辺の景観の異質性が、3種のトンボ(ハラビロトンボ、シオヤトンボ、アキアカネ)の出現個体数に与える効果を検討した結果、個体数を説明する環境要因とそのスケールは種間で異なっていた。全般的な傾向としては、種間の飛翔能力の高低に対応したスケールにおける複数の環境要因が出現個体数に影響を与えており、これらのトンボの分布にとって水田と森林が入り混じるモザイク状の景観構造が重要であることが示唆された。
著者
川本 思心 浅羽 雅晴 大石 麻美 武山 智博 関島 恒夫 島谷 幸宏 西條 美紀
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-40, 2009-03

Dialogues with community constituents are indispensable for scientists whose research fields and applications are closely related with communities throughout the research processes of consensus building on executions of research projects, making decisions on research policies, sharing the products of the projects, corrections. What kind of guidance is required for scientists to maintain a dialogue with the society? Using mailing list and web portfolio, we recorded a process of planning and executing a science cafe with two researchers who research for reintroduction of Crested Ibis (Toki) into Sado Island. Additionally, to understand the reality of the research, we observed the field research by the scientists in Sado Island. This record and analysis about difficulty and the solution of the science cafe serves scientists as a effectively guidance.