著者
高野 進 小俣 政男 大藤 正雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-4, 1990-01-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
19

輸血を受けた187例の患者(肝炎発症群83例,非発症群104例)に使用された1148単位の輸血製剤の献血時GPT値を調べ,輸血後肝炎発症との関係を調べた.献血時GPT値26単位以上の献血者から得た血液を輸血された患者は25例あった.このうち肝炎が発生したのは16例で輸血後肝炎発症群の19%を占めたのに対し,肝炎が発生しなかったのは9例で非発症群の9%に過ぎず,GPT値26単位以上の血液は肝炎発症群に多く使われでいた.一方GPT値10単位以下の血液のみの輸血を受けた例は肝炎非発症群に多かった.これより献血時GPT値25単位以下の血液のみを輸血に使用することにより輸血後肝炎の発生が減少する可能性が示唆された.
著者
横須賀 収 小俣 政男 多田 稔 細田 和彦 田川 まさみ 伊藤 よしみ 大藤 正雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.178-181, 1989-02-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Polymerase chain reaction (PCR)法はpolymerase反応を繰り返し行うことにより目的とするDNAを倍倍に増幅する方法であり,著者らはこのPCR法を用いてHBVDNAを検出した.1pgから10-7pgまで希釈したクローン化HBVDNAに対して30から50サイクルPCRを行う事によりエチジウムブロマイド染色でウイルス1個のレベルに相当する10-6pgのクローン化HBVDNAを検出しえた.更に増幅したDNAがHBVDNAに相補性を有することをSouthern blot法により確認した.また実際の血清中のHBVDNAな検索する事によりHBs抗原陽性例では,HBe抗原陽性5例中5例,HBe抗原抗体陰性2例中2例,HBe抗体陽性10例中8例にウイルスDNAが検出されたが,HBs抗原陰性例6例では検出されなかった.HBe抗体陽性例においても高頻度に微量のウイルスが存在する事が示された.
著者
江原 正明 土屋 幸浩 大藤 正雄
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.1443-1451, 1981-07-05 (Released:2007-12-26)
参考文献数
38
被引用文献数
6

閉塞性黄疸例および急性胆管炎例に対し,経皮的胆汁ドレナージをX線透視下穿刺により187例,超音波映像下穿刺により66例,計253例に施行した.両方法はともに著者らが開発した新しい経皮的胆汁ドレナージ法であり,安全性と確実性の高いことが確認された.とくに,超音波映像下穿刺法は,選択的胆管穿刺が容易かつ確実に行なえるため,手技が簡便である上に,きわめて安全性の高い方法であり,手技に伴なう重篤な合併症を全く認めなかつた.なお,ドレナージ施行後の黄疸軽減効果,急性胆管炎に対する治療効果などの臨床効果についても検討を加えた.