- 著者
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大藪 泰
- 出版者
- バイオメカニズム学会
- 雑誌
- バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.1, pp.3-8, 2005 (Released:2007-02-23)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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人間の赤ちゃんは誕生直後から模倣を行う.この模倣行動の発達を,学習論の立場から「道具的学習論」と「連合学習論」に触れ,認知論の立場から「ピアジェの模倣論」を紹介する.「新生児模倣」の発見により,赤ちゃんの模倣行動は生得的な発現メカニズムを基盤にすることが想定されるようになった.人間の模倣行動の発達は,身体形態の模倣が巧緻化するだけではない.それは意図形態の模倣の発現をもたらし,心による同型的な世界の共有関係の高次化を目指している.本稿では,赤ちゃんの模倣行動の発達を「原初模倣」,「自己模倣」,「形態模倣」,「意図模倣」という観点から論じる.