著者
鈴木 慎太郎 田中 明彦 岸野(大木) 康成 村田 泰規 楠本 壮二郎 石田 博雄 安藤 浩一 白井 崇生 大西 司 相良 博典 瀧本 雅文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.118-124, 2016-03-25 (Released:2016-03-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

背景.数多くの健康食品が販売されており,医薬品と併用している場合も少なくない.なかでも滋養強壮を謳った「にんにく卵黄」は盛んに広告されており,愛飲者も相当数が見込まれる健康食品である.症例.69歳男性.4年前から「にんにく卵黄」を服用し続けていた.数週間前から労作時の呼吸困難と乾性咳嗽を自覚し,近医で肺炎の診断にて抗菌薬と副腎皮質ステロイドを投与されるも改善せず,当科を紹介受診した.胸部X線およびCT上,両側中下肺野,末梢側優位のすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加を認め,気管支肺生検ではリンパ球主体の炎症と軽症の器質化肺炎様の所見を認めた.「にんにく卵黄」の服用中止により速やかに改善し,リンパ球刺激試験でも同商品で陽性反応を示したため,同食品による肺障害を強く疑った.結論.健康食品やサプリメントの摂取歴についても,問診で詳細に聴取することが大変重要である.
著者
石井 正和 大西 司 下手 葉月 長野 明日香 石橋 正祥 阿藤 由美 松野 咲紀 岩崎 睦 森崎 槙 佐口 健一 相良 博典 巖本 三壽
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.12-20, 2017-02-28 (Released:2017-03-25)
参考文献数
20

【目 的】 禁煙外来を受診した患者へのアンケート調査により、保険薬局薬剤師(以下薬局薬剤師)による禁煙支援の必要性と、実際の薬局での禁煙支援の現状の把握から、薬局薬剤師の禁煙支援業務について考察する。【方 法】 昭和大学病院の禁煙外来を受診した患者を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は59%(36/61名)だった。対象者は、男性69%、女性が28%、平均年齢は58歳であった。禁煙を始めるとき、56%の患者は医師に相談したと回答したが、薬局薬剤師に相談した患者はいなかった。同様に、58%の患者は禁煙外来を医師から教えてもらったと回答したが、薬局の薬剤師から教えてもらった患者はいなかった。保険薬局の薬剤師による禁煙支援(禁煙の勧め、禁煙補助薬の供給・服薬指導、禁煙指導、禁煙外来への受診勧奨の4項目)の必要性を75%以上の患者は感じていたが、患者の視点では薬剤師による禁煙支援は4項目すべてにおいて患者の望む環境にはなっていなかった。しかしながら、薬剤師による禁煙支援を受けた経験がある患者は、その支援に65%以上が満足していた。【結 論】薬局薬剤師による禁煙支援体制は、患者は必要と感じているものの、患者視点では現実は不十分であることがわかった。薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、さらなる努力が必要だと思われる。
著者
長野 明日香 石井 正和 大西 司 下手 葉月 石橋 正祥 森崎 槙 相良 博典 巖本 三壽
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-29, 2017-02-28 (Released:2017-03-25)
参考文献数
18

【目 的】医師が求める薬局薬剤師の禁煙支援における役割について明らかにする。【方 法】 日本禁煙学会のホームページに掲載されている日本禁煙学会専門医及び認定医(200名)を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は51%(102名/200名)だった。薬局薬剤師が禁煙を勧めることは、喫煙者全員に行ったほうがよいとの回答が多かった(70%)。市販の禁煙補助薬での禁煙治療を勧めることは、禁煙の意思がある喫煙者に勧めるべきと回答した人が最も多かった(62%)。また、市販の禁煙補助薬による治療が失敗した場合は、禁煙外来の受診を勧めるべきと8割以上が回答した。薬剤師から医師への受診勧奨時の患者情報の提供方法としては、文書による提供を望む声が最も多く、中でも服用薬の情報を提供すべきとの意見が最も多かった。禁煙外来に通院中で、禁煙を継続している患者に対しては、称賛し自信をもたせること(85%)、禁煙できていない患者に対しては、禁煙できていない理由を確認することが、薬剤師が行うべき継続的フォローとして重要だと考えている人が多かった(71%)。より良い禁煙支援を行うために学会や薬剤師会などの認定を取得すべきだと7割以上の医師が考えていた。【結 論】禁煙治療では治療中に精神的ケアが必要となることもあることから、薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、禁煙支援に関する知識をさらに身に着ける必要があると思われる。
著者
進士 智子 大西 司 石橋 正祥 山本 彩加 長野 明日香 相良 博典 巖本 三壽 石井 正和
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.111-119, 2017-12-22 (Released:2018-01-30)
参考文献数
19

【目 的】 薬局における受動喫煙防止対策を妨げている要因を明らかとするために、アンケート調査を実施した。【方 法】 t-薬局いんふぉに掲載されている薬局の管理薬剤師(500名)を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は46.0%(230/500名)だった。全面禁煙している薬局は77名に留まった。全面禁煙化していなかった薬局(151名)のうち、分煙や受動喫煙防止対策がない(対策なし)と回答したのは37名だった。全面禁煙化していない薬局では、全面禁煙している薬局と比較して、年齢が高く、個人経営が多かった。また、禁煙支援には非積極的であり、受動喫煙に対する理解も乏しかった。【結 論】 受動喫煙防止対策が不十分な薬局の薬剤師は、年齢が高く、個人経営であった。
著者
山本 彩加 石橋 正祥 大西 司 巖本 三壽 石井 正和
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.71-78, 2018-12-12 (Released:2019-01-23)
参考文献数
20

【目 的】 薬局での加熱式タバコの販売や、薬局薬剤師の加熱式タバコ使用者に対する禁煙支援に関して、禁煙外来を行っている医師の考えを明らかとするためにアンケート調査を実施した。【方 法】 禁煙外来を行っている医師(200名)を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は37.0%(74名/200名)だった。加熱式タバコが紙巻タバコに比べて有害性が低いと感じる医師は約3割にとどまった。加熱式タバコにより薬物治療での疾患のコントロールに影響がでたと感じた医師が19名(25.7%)いた。医師は薬局での加熱式タバコの販売を制限し、薬局薬剤師が加熱式タバコ使用者に禁煙支援をすべきと考えていた。【結 論】 加熱式タバコ使用者に対して、禁煙支援することは当たり前になってきている。医師は、薬局薬剤師が加熱式タバコ使用者に対して禁煙支援することを求めている。
著者
森崎 槙 大西 司 長野 明日香 阿藤 由美 松野 咲紀 石橋 正祥 相良 博典 巖本 三壽 石井 正和
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.64-70, 2017-06-29 (Released:2017-07-28)
参考文献数
18

【目 的】 禁煙補助薬のバレニクリン(α4β2 ニコチン受容体部分作動薬)による禁煙治療における副作用発現に関連する要因を明らかとする。【方 法】 2008年9月から2015年12月まで昭和大学病院附属東病院または昭和大学病院の禁煙外来を受診した190名(男性127名、女性63名)を対象とした。多変量解析を用いて、バレニクリンによる副作用発現に関与している因子を抽出する。【結 果】 90名[男性52名(40.9%)、女性38名(60.3%)]の患者で副作用が認められた。主な副作用は悪心・嘔吐であった。多変量解析の結果、バレニクリンによる副作用発現に、女性、禁煙チャレンジ、呼気一酸化窒素濃度が独立して関与していた。オッズ比はそれぞれ、2.281倍(男性 vs. 女性、95% 信頼区間1.098〜4.738)、2.506倍(禁煙チャレンジ 経験なしvs.経験あり、95% 信頼区間 1.250〜5.021)、2.404倍(25 ppm以上 vs. 25 ppm未満、95% 信頼区間1.046 ~5.525)だった。【考 察】 女性、禁煙チャレンジ、呼気一酸化窒素濃度が、バレニクリンによる副作用発現に独立して関与していた。バレニクリンによる禁煙治療をより良くするためには、副作用発現の危険因子を持つ患者に対しては、減量投与や予防療法を行うことを考慮すべきであると考える。
著者
大西 司 足立 満
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.34-40, 2012-02-28 (Released:2012-12-14)
参考文献数
15
著者
鈴木 慎太郎 田中 明彦 岸野(大木) 康成 村田 泰規 楠本 壮二郎 石田 博雄 安藤 浩一 白井 崇生 大西 司 相良 博典 瀧本 雅文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.118-124, 2016

背景.数多くの健康食品が販売されており,医薬品と併用している場合も少なくない.なかでも滋養強壮を謳った「にんにく卵黄」は盛んに広告されており,愛飲者も相当数が見込まれる健康食品である.症例.69歳男性.4年前から「にんにく卵黄」を服用し続けていた.数週間前から労作時の呼吸困難と乾性咳嗽を自覚し,近医で肺炎の診断にて抗菌薬と副腎皮質ステロイドを投与されるも改善せず,当科を紹介受診した.胸部X線およびCT上,両側中下肺野,末梢側優位のすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加を認め,気管支肺生検ではリンパ球主体の炎症と軽症の器質化肺炎様の所見を認めた.「にんにく卵黄」の服用中止により速やかに改善し,リンパ球刺激試験でも同商品で陽性反応を示したため,同食品による肺障害を強く疑った.結論.健康食品やサプリメントの摂取歴についても,問診で詳細に聴取することが大変重要である.
著者
石井 正和 大西 司 長野 明日香 石橋 正祥 相良 博典
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.85-93, 2015-12-21 (Released:2015-12-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2

【目 的】 保険薬局の薬剤師による禁煙支援の現状と今後の課題について明らかにする。【方 法】 日本禁煙学会の専門医および認定医(200名)と保険薬局の管理薬剤師(300名)を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は医師対象のアンケートが49%(98名/200名)、薬剤師対象のアンケートが43%(128名/300名)であった。医師は薬剤師よりも薬局薬剤師による禁煙支援(禁煙の勧め、禁煙補助薬の供給・服薬指導、禁煙指導、禁煙外来への受診勧奨)の必要性を強く感じていた。薬局薬剤師による禁煙支援の現状は医師が望む状況にはほど遠かったが、禁煙補助薬を取り扱っている薬剤師は、禁煙補助薬を取り扱っていない薬剤師と比較して、禁煙支援を行っていることが明らかとなった。医師も薬剤師も、薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、禁煙補助薬の効果や副作用の確認、禁煙治療に対しての継続的なフォロー、医師と協力した支援が必要だと感じていた。【結 論】薬局薬剤師による禁煙支援体制は、医師が望む状況にはなっていなかった。薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、医師と連携した支援を行う必要がある。
著者
大西 司 足立 満
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.689-694, 2007-11-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

平成16年1月昭和大学東病院でノロウイルスによる感染性胃腸炎のアウトブレイクを経験し, 12日間で患者20名, 職員19名が発症した. 流行曲線からヒトーヒト感染例と考え, 標準予防策を行ったが, 感染はフロア全体に広がった. 感染対策は保健所の指導を仰ぎ実践した. 手洗い, 消毒手袋-マスク-防護衣着用の徹底移動制限, 隔離部屋をつくるなどの厳密な院内感染対策により, 感染を1フロアに留めることができた. また同3月, 病院食堂に端を発したノロウイルスによる食中毒事例が発生し54名の職員および患者家族1名が発症したが, 早期に発症者を把握し出勤停止をかけることで二次感染を防止できた. 早期の感染対策すなわちアウトブレイクの発生を知り周知させること, 健常者と患者を分けること, そして感染防御を行うことは, 感染症のコントロールを行う上で重要と思われた.