著者
大西 晶子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

29年度は28年度中に実施した調査を継続、またその結果を分析して学会などで報告を行うとともに、研究論文にまとめ学術誌への投稿を行った。まず、28年度中に実施した留学生を対象としたインタビュー調査等の結果をまとめ、学会で成果を発表し、研究論文にまとめた(掲載決定済み)。また質的調査を踏まえて、留学生向けのキャンパス多文化風土評価尺度を作成し、日本語、英語、韓国語、簡体字、繁体字版の多言語版への翻訳作業を行った。翻訳版の内容の等価性を確認のちに、留学生を対象としたパイロット調査を実施し、尺度としての有効性を確認する作業を進めている。次に、留学生を対象としたインタビュー調査より、大学の組織としての対応体制が、キャンパスの風土形成に強く寄与することが予想されたため、国立大学の留学生支援体制に関して調査を実施した。中でも、学生のニーズやニーズの変化を各大学がどのように把握しているのかを明らかにするために、各大学の学生調査の実施状況に注目し、その特徴を検討した。その結果、留学生等の少数派の学生のニーズの把握を可能とするような全学的な調査実施体制は十分に整備されていない状態が確認できた。調査結果を整理し、学術誌に投稿を行った(掲載決定済み)。これら国内の関係者を対象とした調査結果と並行して、28年度に延期していた国外大学の訪問を行った。訪問先を、日本同様にアジア出身の学生を多く受け入れているが、日本とは異なる学生支援の体制を整備している豪州の大学とし、関係者の聞き取り調査を実施した。
著者
大西 晶子 諸頭 三郎 前川 圭子 山崎 朋子 玉谷 輪子 藤井 直子 藤原 敬三 内藤 泰
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.531-538, 2020-12-28 (Released:2021-01-16)
参考文献数
11

要旨: 人工内耳 (CI) 装用小児の装用状況と音環境についての知見を得ることを目的とし, 18歳未満の CI 装用小児100例のデータロギングから得られたログデータについて, 各項目の分布を調べ, 就学前群, 小学生群, 中高生群で3群間の比較を行った。 CI 装用時間は, 年齢が高くなるごとに装用時間が長くなり, 中高生になると送信コイルの装用が安定した。音環境は, 雑音下の話声の方が静寂下よりも高い割合を占め, ログデータからも情報保障のための環境調整の重要性が示唆された。 CI データロギングは, 一定数の結果を集積した値と, 個々の小児の経時的変化を医療者が把握し, 保護者や関連機関と共有することで, より個々の小児に即したハビリテーションを行うことを可能にすると期待される。
著者
大西 晶子
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.301-310, 2002-02-25

The aim of this paper is to review literature related to psychological effet of cross-cultural contact. Over the past few decades, numerous attempts have been made to examine adjustment and adaptation of the person in cross-cultural setting. The development of the models and theories is at fist reviewed and methodological issue is critically discussed that studies have been done within the framework of hypothesis testing. Secondly, culture identity is especially focused on because of its increasing significance for human being, living in ever complex cultural enviroment. Cultural identity has been studied mainly from two aspects : acculturation and deveropmantal perspective. Finally, necessity of more intergrated and corroborative works is suggested for the studies of cultural identity.