- 著者
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四辻 彰
伊東 優子
保田 隆
才川 勇
大角 誠治
矢野 三郎
上田 泰
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学療法学会
- 雑誌
- CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.4, pp.294-303, 1988
Compromised host の対象として高齢者を取り上げ, その血清中での β-lactam 系抗生剤の sub-minimum inhibitory concentration (sub-MIC) シこおける抗菌作用を調べた。各血清60μl に薬液10μl を加え, それに菌懸濁液10μl を接種し 37℃ 4時間培養後, 生菌数の増減を測定した。高齢者の血清殺菌力は健常者に比べ <I>Escherichia coli</I> および <I>Klebsiella pneumoniae</I> に対しては弱まっている例が多かった。<I>Proteus</I> <I>mirabilis</I> T-277 株に対しては約半数例で高齢者の血清殺菌力は強まっていたが, T-250株 に対しては強まっている例はなかった。また<I>Proteus vulgaris</I>。<I>Pseudomonasaeruginosa</I> および<I>Staphylococcus aureus</I> に対しては健常者と同等の殺菌力であった。この殺菌因子として非働化で弱められる易熱性物質やペントナイト処理で除かれるリゾチームの関与が推定された。次に高齢者血清中での beta-lactam 系抗生剤の sub-MIC での殺菌作用をみると, pipera-cillin, cefoperazone および cefbuperazone は nutrient bmth (NB) 中でも高齢者血清中でも殺菌的または静菌的に作用した。一方 carbenicillin, cefazolin および cefmetazole は NB 中では菌の増殖を阻止したが高齢者血清中ではほとんど抗菌作用を示さなかった。