- 著者
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山城 芳子
島倉 雅子
南 新三郎
福岡 義和
保田 隆
渡辺 泰雄
成田 弘和
赤間 美徳
- 出版者
- 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
- 雑誌
- The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.245-254, 1994-03-25 (Released:2013-05-17)
- 参考文献数
- 19
1993年5月~6月に富山市民病院において分離された22菌種260株, ならびに1992年6月~ 7月に同施設で分離されたStaphylococcu aureusおよび, Pseudomonas aeruginosa計87株に対するTosufloxacin (TFLX) の抗菌活性を測定し, 他のニューキノロン系抗菌薬 (Ofloxacin, Cipro-floxacin, Sparfloxacin, Fleroxacin) と比較した。その結果, 1993年分離株に対してはTFLXは多くの菌種で優れた抗菌活性を示し, 特にMethicillin-susceptible S. aureus, Methicillin-susceptible Staphylococcus epidermidis, Methicillin-resistant S. epidermidis, Enterococcus faecalis, Escherichia coliではTFLXのMIC50は0.025~0.39μg/mlで最も低い値を示した。また, Klebsiella pneumoniaeやP. aeruginosaに対するMIC50も0.05および0.39μg/mlと低かった。しかし, 一方でTFLXに耐性 (TFLXのMIC≥6.25μg/ml) を示す株も認あられ, これらの耐性株は他のキノロン系抗菌薬と交叉耐性を示した。特にMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) では60%以上の株がキノロン系抗菌薬に耐性であつた。また, MRSAでは1992年分離株に比べ1993年分離株の耐性菌分離頻度が明らかに増加しており, 同様の傾向はP. aeruginosaにおいても認あられた。MRSAのコアグラーゼ型は, II型が大半を占め, キノロン耐性のMRSAはすべてII型であった。