- 著者
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太田 麻衣子
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2009
1.各国から越研究者が参加した中国柯橋・越国文化高峰論壇にて「越都琅〓新考:兼論越在淮北地区的発展」を口頭発表、改訂稿「越〓都琅〓新考」を『中国柯橋・越国文化高峰論壇文集』に掲載した。本論文は越研究において長年の懸案である越の琅〓遷都および准北進出について、近年の考古調査に基づきながら新説を提示したものであり、以下の事を明らかにした。(1)従来『史記』は越の准北進出を否定しており、越の琅〓遷都を伝える『越絶書』等の記述とは矛盾すると考えられてきたが、実際には『史記』は越の淮北進出を否定してはおらず、『越絶書』等の記述とも矛盾しない(2)越の准北進出は考古学的証拠からも裏付けられる(3)ただし琅〓遷都自体は虚構である可能性が高く、少なくとも従来最も有力視されてきた山東省〓南市の琅〓山一帯に遷都したという説は、考古学的証拠より否定される(4)張志立氏らの考古調査により、准北における越に拠点は江蘇省連雲港市錦屏山九龍口古城にあった可能性が最も高い(5)准北に進出したあとの越は、無彊死後も淮北に存在し続け、最終的には戦国後期、考烈王期の楚に併呑される。2.指導委託により上海・復旦大学歴史地理研究中心の李暁傑教授に師事し、歴史地理学を学ぶと同時に、独自に各地でおもに楚・越にかんする史料調査を行なった。調査した博物館・遺跡・研究機関は以下のとおり。湖南省博物館・馬王堆漢墓三号墓坑・長沙簡牘博物館・湖北省博物館・武漢博物館・武漢大学・随州博物館・曾公乙墓遺址・襄樊市博物館・荊州博物館・楚紀南故城・荊門市博物館・宜昌博物館・南京博物院・上海博物館・蘇州博物館・蘇州科技学院・印山越王陵・越国文化博物館・紹興博物館越王城分館・良渚博物館・浙江省博物館