著者
福田 崇紀 奥嶋 政嗣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_85-I_92, 2014
被引用文献数
2

本研究では,南海トラフ巨大地震発生時の津波被害が想定されている地方都市の沿岸平野部を対象に自動車利用避難シミュレーションを適用し,津波避難計画策定において自動車利用避難の問題点を明確にする.避難車両発生の推計結果より,滞留車両のピーク時点では来訪車両が地域内車両と同程度となった.また,楽観的な仮定にも関わらず,東北地方太平洋沖地震での被災地域での平均自動車利用避難率と同程度割合で避難車両が発生した場合には,多数の避難困難車両が発生することが明示された.自動車利用避難率が抑制された場合でも、主要区間の通行不能を仮定すると,多数の避難困難車両が発生することがわかった.一方,事業所からの自動車利用避難を抑制により,避難困難車両数を低減できることがわかった.
著者
谷田 英駿 奥嶋 政嗣
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.A_311-A_318, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
10

道路橋梁の長期補修計画においては、補修費用だけでなく、補修工事によって生じる道路利用者負担についても考慮する必要がある。本研究では、道路利用者負担を考慮した複数橋梁における長期補修計画案の評価方法を提案する。具体的には、複数橋梁における補修シナリオを対象として、橋梁劣化モデルと交通量配分モデルを組み合わせ推計した LCC により比較評価した。この結果、道路利用者負担は補修費用の半数程度もあり、その重要性が明確となった。また、橋梁劣化の進行が遅い場合を除いては、予防保全型シナリオが優位であることを検証した。さらに、事後保全型シナリオと比較して、予防保全型シナリオは初期では費用負担が大きくなるが、長期補修計画としては適切であることを実証した。
著者
秋山 孝正 奥嶋 政嗣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.145-157, 2007 (Released:2007-04-21)
参考文献数
16

本研究では機械学習における決定木を用いて,交通行動の意思決定構造の記述を試みる.具体的には,ID3,C4.5,ファジィID3,ファジィC4.5の4種類の決定木アルゴリズムを用いて交通機関選択モデルを構成する.大量のデータからの知識獲得を前提とするモデル化は従来の方法に比べて,多様な意思決定構造の表現と推計精度向上の点から有効性が示される.また事後的な枝刈を実行して,情報量を整理することによって,多様性を持つ高精度な判別が可能なファジィ決定木を構成できることが示された.最終的にデータの情報量利得を基本とする決定木の交通行動分析への適用可能性が示された.
著者
秋山 孝正 小川 圭一 奥嶋 政嗣 土田 貴義
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.421-430, 2002-08-15

都市高速道路の適切な交通管理をおこなうためには,各オンランプからの流入交通量の予測をおこない,それにもとづく本線上の交通状況の予測をおこなう必要がある.しかしながら,流入交通量は不規則な変動を示すため,従来法である指数平滑法による予測は困難であった.そこで本研究では,不規則な変動に対応できる予測方法として,カオス理論,ニューラルネットワークを用いた流入交通量の時系列予測方法を提案する.さらに,流入交通量予測値を用いて渋滞シミュレーションによる交通状況の予測をおこない,交通管理への適用性について検討をおこなう.この結果,従来法に比較して予測精度が向上することがわかった.とくに,短期的な流入交通量の変動の予測においては,局所ファジィ再構成法を用いたカオス理論による予測が有効であることがわかった.