著者
奥田 修二郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会
雑誌
JSBi Bioinformatics Review (ISSN:24357022)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-6, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
34

長年の間、環境微生物の研究は培養できた微生物について実験を実施することで知見を積み上げてきた。しかし、次世代DNAシーケンサーの登場でその解析の方法論が大きく変化した。環境中のすべての微生物のDNAを網羅的に解析することができるメタゲノム解析に加えて、16S rRNA遺伝子のみを対象としたメタ16S解析も次世代DNAシーケンサーで実施することでその解析の深度が増している。このような環境微生物の研究に大規模なDNA配列のシーケンス技術が応用されてからすでに10年以上が経過している。現在では、あらゆる環境においてメタゲノム・メタ16S解析が実施され、環境中の微生物の系統に加えて、遺伝子配列そのものやその機能に至るまで詳細に解析されるようになってきた。本稿ではこれらの環境微生物解析におけるバイオインフォマティクスの役割について述べたい。
著者
奥田 修二郎
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-7, 2022 (Released:2022-08-05)
参考文献数
14

jPOST(Japan ProteOme STandard Repository/Database)プロジェクトでは,プロテオミクス分野におけるFAIR(Findable, Accessible, Interoperable, Re-usable)データ原則に基づきプロテオームデータのリポジトリベースを運用・開発している.このjPOSTリポジトリは世界中のプロテオミクス研究者から登録された大量のプロテオームデータを管理している.また,これらのデータの再利用促進のために日本プロテオミクス学会主導で2019年にJournal of Proteome Data and Methods(JPDM)という新しいデータジャーナルが創刊された.JPDMでは生データが得られた手法の詳細を記述するData descriptor論文を主に扱う.本論文では,jPOSTプロジェクトが推進しているリポジトリ及びデータジャーナルの現状について議論したい.
著者
山田 一作 ソロビヨワ イェレナ 藤田 典昭 奥田 修二郎 川嵜 敏祐 成松 久 木下 聖子 松原 正陽 土屋 伸一郎 新町 大輔 藤田 晶大 青木 信幸 鹿内 俊秀 鈴木 芳典
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.O10, 2014

糖鎖研究において産出された糖鎖データには様々な表現方法が存在しており、このことは近年のウェブ技術を利用したライフサイエンスデータベース間の連携の妨げとなっていた。そこで我々は、糖鎖構造に対する新たな表記法としてWURCS(Web3 Unique Representation of Carbohydrate Structures)を開発した。WURCSは、曖昧さを含むあらゆる糖鎖構造を一意に表せる線形表記法であり、URIとして利用可能である。併せて、糖鎖データベースの構造データからWURCSに変換するソフトウェアを開発した。これにより共通の糖鎖構造を含む分子の横断検索が可能となる。また、WURCS普及促進のためのWURCSWorkingGroupを組織し、国際標準化に向けた活動を行っている。
著者
常田 聡 奥田 修二郎
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

代謝活性を止めている休止細菌は,抗生物質存在下において生存できるため,感染症難治化の原因となる。本研究では,細菌の細胞骨格であるFtsZに着目し,細胞分裂時のZ-ringの形成を蛍光共鳴エネルギー移動で検出する遺伝子組換え大腸菌株の開発を行った。その結果,セルソーターを用いることで休止細菌と分裂細菌の分離に成功し,休止細菌は抗生物質(オフロキサシン)に対して高い抵抗性を持つことがわかった。また,トランスクリプトーム解析の結果,休止細菌は乳酸デヒドロゲナーゼの遺伝子発現を亢進させていることがわかった。さらに,マイクロ流体デバイスを用いたシングルセル観察によっても上記の結果が支持された。