著者
榎本 澄江 寺田 哲 木村 理恵 林 映至 新井 丈郎 奥田 泰久
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.35-37, 2016 (Released:2017-03-10)
参考文献数
8

吃逆とは,間代性で不随意な横隔膜の痙攣様収縮で,吃逆が48時間または1~2カ月以上持続もしくは発作が再発するものは難治性吃逆と定義されている.今回,当科に紹介された難治性吃逆患者8例の治療を経験したので報告する.横隔神経ブロックと薬物療法で対応して,8例中,吃逆が消失5例,軽減1例,不変2例であった.横隔神経ブロックとバクロフェンは難治性吃逆の治療に有効であることが示唆された.
著者
奥田 泰久
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.586-596, 2021-06-01

●Summary全身麻酔下での手術終了抜管後に,換気困難に陥り,再挿管を試みたが,遷延性意識障害を経て最終的に死亡した。遺族は,麻酔薬が体内に過量に残存した状態で抜管した麻酔科医に過失があるとして損害賠償を請求した。
著者
齋藤 朋之 橋本 雄一 立川 真弓 島崎 睦久 新井 丈郎 奥田 圭子 斎間 俊介 安達 絵里子 奥田 泰久
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.516-518, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
8

神経障害痛に対する各治療ガイドラインで第一選択薬であるプレガバリンの通常初回投与量は150 mg/日とされる.主な副作用に浮動性めまい,傾眠,浮腫および体重増加などがあり,強く発現した場合はその投与の継続を中止せざるを得ない場合も少なくはない.今回,他施設にて150 mg/日の投与が開始されたが,副作用のために投与が中止された4症例に対して,当科ペインクリニック外来において再度75 mg/日から開始して,その後に重篤な副作用は発現せずに継続および増量投与が可能となった症例を経験したので報告する.特に副作用が生じやすい高齢者などでは,初回は少量投与で開始し,徐々に増量する方法が推奨される.
著者
奥田 泰久
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.302-306, 2016-04-01

●Summary・星状神経節ブロックの合併症である頸部・縦隔血腫の発生はきわめてまれであるが,対応を間違えば最悪の場合は窒息死という結果に至る可能性がある。その確固たる予防法がない現状では,十分なインフォームドコンセントを行った後に,常に本合併症の対応を準備した状況で星状神経節ブロックを施行すべきである。・現在,一部であるが医療鑑定にカンファレンス方式(複数の専門家による討論)を採用し,より医療の現状に沿った判決を下そうとの試みを司法が始めている。・本件では,日本外傷学会外傷初期診療ガイドラインと日本ペインクリニック学会治療指針が証拠として採用されている。今後も医療訴訟においてはガイドライン・指針の存在が重要視されるかもしれない。
著者
奥田 泰久
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.246-254, 2018-03-01

●Summary第4子を分娩する予定の産婦が,無痛分娩のために施行された硬膜外麻酔の直後に容態が急変し,結果的に母子ともに死亡した。家族が,人的物的体制が不十分な状況で患者に硬膜外麻酔を施行したために合併症の呼吸不全が生じたにもかかわらず,早期に適切な呼吸管理及び全身管理処置をとらなかった過失があるとして病院に損害賠償請求を行ったが,裁判所は家族の訴えを退けた。