著者
佐藤 和夫 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 山田 綾 小玉 亮子 重松 克也
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

男女共同参画社会を形成するにあたって不可欠な課題と言うべき男性の社会化と暴力性の問題を、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国の研究と施策について、比較研究調査した上で、日本における男性の暴力予防のために必要な研究を行い、その可能性を学校教育から社会教育にまで広めて調査した。その上で、先進諸国における男性の暴力性の関する原理的問題を解明した。
著者
伊藤 葉子 鶴田 敦子 片岡 洋子 高野 俊 宮下 理恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.9, 2009

<B>目的</B><BR>家庭科の女子のみ履修に抗して、家庭科の男女共学の実践に取り組んだ「源流」は京都府(1963年1校開始、1974年全面共修実施)の教師達であった。本研究では、ほぼ同時代(1970年代)に長野県の高校において、同じく自主編成の教育課程として男女共学家庭科の実現を導いた元家庭科教師たち5人のライフヒストリー研究に取り組む。元家庭科教師たちのライフヒストリーから、それぞれの人となりとその活動を明らかにしながら、なぜ各自が男女共学家庭科の実現に取り組んだのか、どのように男女共学実現を果たしていったのかを考察していく。また、その授業づくりにはどのような特徴がみられるのかを検討する。<BR><B>方法</B><BR>1960-70年代に長野県において男女共学家庭科の実現に関与した元家庭科教師5名に対して、一人約2時間のインタビュー調査を実施し、スクリプトを作成し、分析・考察を行った。この方法を用いることで、教師の価値観や動機および周囲の状況に対する理解が、その教師の実践にどのような影響を及ぼしたかを探求することが可能になる。加えて、同種の集団(ここでは、男女共学に取り組んだ教師たち)に属する複数のライフヒストリーは、互いに補い合うことができることから、個人史を超えて、社会状況の中での考察を可能にするものである。<BR><B>分析・考察</B><BR> <B>1</B> 当時の家庭科教育への疑問<BR>(1) 元家庭科教師たちは、その成長過程における家庭・社会環境の複合的な影響により、精神的な自立・自律心や、批判的に思考できる力を育くんでいった。これには、戦前からの伝統的性別役割観に基づいた女性の進路・進学の閉塞性への反発や、戦中・戦後の激動を中国で過ごした際の、差別と被差別の双方をみた経験に基づく、平等への志向が根底にあった。<BR>(2) この批判的思考力が、女子だけの家庭科履修や生徒たちの生活現実から遊離した当時の家庭科の教育内容への疑問につながっていった。<BR><B>2</B> 教師たちの学び合いと授業づくり<BR>(1) 元教師たちは、自主的な学習会や地域および全県的な研究会で出会い、個々に有してきた上記の疑問を、互いの学び合いの中で、単なる疑問から授業の創造の段階へと移行させ、自主編成の指導資料を作成するまでに至った。<BR>(2) 元教師たちの授業づくりには、大きく二つの特徴がみられた。一つは、女性への道徳教育の色合いが濃い、理論を有しない非科学的な家庭科の教育内容からの脱皮と、生徒の生活現実から出発し生活に帰結する家庭科の授業の創造である。<BR>(3) 個々の元教師たちの実践を支えたのは、家庭科を学びたいという男子学生の存在と、実際に男女共学を授業のなかで進める中で感じた手応えであった。<BR><B>3</B> 元教師達の根底にある教育観等<BR>(1) 男女共学家庭科の実現は、教師は教科書に書かれている知識・技術の伝達者であるという考え方から、教師が授業の創り手であるという考え方の転換だと捉えられる。<BR>(2) 家庭科の男女共学実現のための元教師たちの活動は、戦後の民主的な家庭を目指した男女平等実現への運動という側面と、家庭科が科学的理論体系を備えた教科となるための教科論の探求という側面を持っていると考えられる。<BR>
著者
片岡 洋子 伊藤 葉子 高野 俊 鶴田 敦子 宮下 理恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.226-237, 2011-01-01

In 1963, the Japanese National Curriculum Standards for upper secondary school made home economics the compulsory subject for only female students. However, some home economics teachers in Kyoto Prefecture, who had opposed to the subject as "an education to become good wives and wise mothers", were united to create alternative home economics education as a coeducational subject. They requested Kyoto Board of Education to change home economics education from female-only to coeducational subject which resulted in the implementation of coeducational home economics in 1973. This study aims to clarify the process to implement home economics as a coeducational subject, and analyze the theory of school subjects in 1960s to 1970s in Kyoto Prefecture. Results were as follows 1. In Kyoto Prefecture, not only many teachers but also the Board of Education supported the principle of coeducation. This was one of the reasons which contributed to realize coeducational home economics despite the opposition by the National Curriculum Standards. 2. Teachers who promoted coeducational home economics attempted to home economics from an education to become good wives and wise mothers to an education about managing a new family life based on couples' gender-equal relationship. 3. The theory of coeducational home economics needs to be composed of sciences and cultures, and to be revised from the subject dealing only home maintenance skills to that of family life education including historical, social, and scientific perspectives.
著者
安藤 聡彦 古里 貴士 平塚 眞樹 高橋 正弘 小栗 有子 関 啓子 宮北 隆志 境野 健兒 土井 妙子 高田 研 岩川 直樹 原子 栄一郎 石井 秀樹 片岡 洋子 広瀬 健一郎 小寺 隆幸
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、①1960年代以降世界各国において教育の「環境化」過程が生じてきたが、日本の公害教育運動は他国の社会批判的な環境教育運動と比較して、教育の目的・内容及び担い手の面でユニークであること、②チェルノブイリ原発事故後ベラルーシ共和国では放射線生態学教育が組織的に取り組まれ、日本でも福島原発事故後放射線教育が活発だが、公害教育運動の経験をふまえたアプローチも求められること、③ベラルーシ共和国において見られるリハビリ健康増進施設が日本においても有効であり、そのために公害教育研究の対象の拡大が求められること、④公害教育論の社会批判的アプローチの批判的再構築が求められること、が明らかとなった。
著者
佐藤 和夫 井谷 惠子 橋本 紀子 木村 涼子 小山 静子 片岡 洋子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、日本が男女共同参画社会をめざすためには、男女共学、共修がどのように実施されるべきかについて、高校を対象に分析検討を行った。男女共学、共修は男女平等教育にとって必要な基礎的条件ではあるが、隠れたカリキュラムにおけるジェンダーに無自覚なまま共学、共修を実施しても、共学、共修がただちに男女平等教育には結びつかない。そのため、男女共学や共修の現状を明らかにしながら、男女平等をつくるための共学、共修とはどうあるべきなのかについて、以下の3つの調査領域における研究において析出した。1,福島県の男女共学化および共修の現状調査福島県は、男女共同参画社会の実現のための施策の一環として、長らく残っていた別学高校をすべて共学化した。その共学化実現過程や高校の現状について、聞き取りと観察および質問紙調査を組み合わせて分析、考察した。2,関西(大阪)の私立高校の共学化戦略と共学、別学の現状調査福島県とは対照的に公立高校はすべて共学だった大阪府では、私立高校が別学校を提供してきた。近年、共学化が進んでいる大阪の私立学校での別学、共学の経営戦略および生徒への質問紙調査によって、共学、別学の比較検討を行った。3,高校での体育共習の指導場面の観察調査男女共修の高校の体育の授業場面において、教師の声かけが生徒が男子か女子かで異なること、そこに教師のジェンダー観があらわれ、ジェンダーの利用と再生産が行われていることなどについて、授業観察の分析を行った。