著者
安田 俊隆 正木 和好 柏木 隆史
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.994-1000, 1992-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
26
被引用文献数
21 37

ダッタンそばに含まれるルチンの分解酵素について,普通そばと比較しながら検討を行った.(1) ダッタンそば粉および普通そば粉のルチン含量は,HPLC分析により,それぞれ1470mg/100g, 14.2mg/10Ogであった.ダッタンそば粉に加水することにより,その大部分のルチンが急速にケルセチンに分解されたが,普通そば粉では殆どルチンの分解はみられなかった.(2) ダッタンそば粉おおび普通そば粉の抽出液について,ルチン分解活性を比較したところ,普通そばがタンパク1mg当たり0.09Uであったのに対し,ダッタンそばはタンパク1mg当たり61Uと約680倍も強い活性を示した.(3) ダッタンそば粉および普通そば粉の抽出液について,ルチンに構造の類似したケルシトリン,ナリンギンに対する分解活性およびβ-グルコシダーゼ活性, α-ラムノシダーゼ活性を測定したところ,ケルシトリン,ナリンギンには分解活性を示さず,またβ-グルコシダーゼ活性, α-ラムノシダーゼも非常に弱かった.(4) ダッタンそばのルチン分解酵素について,熱,pH,タンパク変性剤の影響をみたところ. 70℃以上,pH3以下, pH7以上で急速にルチン分解活性を失い,タンパク変性剤によっても活性の低下がみられた.