- 著者
-
安田 武彦
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.10, pp.422-427, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)
既に存在する企業の抱える問題を解決するこれまでの中小企業政策は,1990年代,製造業の開廃業率の逆転が観察される中,起業支援を視野に含めるようになった。起業支援の対象は当初,ベンチャービジネスであったが,1999年の中小企業基本法改正を機に「まちの起業家」へと拡大した。創業融資を中心に幅広い政策が展開されたが,起業希望者の減少により開業率上昇には至らなかった。現在では無関心者の起業への関心換起のための政策が採用されているが,他方,副業起業等,従来に比べ広い範囲の起業に政策の射程は広がりつつある。副業起業等は,イノベーションをもたらすものとは言い難いが,働き方を選ぶ社会を形成する一助となることが期待される。