著者
星野 達二 北村 幸子 大竹 紀子 須賀 真美 岡田 悠子 宮本 和尚 西村 淳一 高岡 亜妃 今村 裕子 山田 曜子 北 正人 今井 幸弘
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.241-247, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
18

最近,病理解剖で診断された先天性トキソプラズマ症胎児死亡の1例を経験したので,その臨床経過を報告する.患者は28歳の初妊婦である.妊娠15週で胎内死亡と診断された.超音波での胎児計測の結果から在胎期間は14週と推定した.胎内死亡の原因究明のため,剖検,胎盤染色体検査,抗リン脂質抗体検査などを行った.剖検の肉眼所見では,体重50g,体長12cmの女児で胎児,胎盤,臍帯に著変を認めなかった.胎盤染色体検査は46,XXで染色体異常は認められなかった.抗リン脂質抗体検査には著変が認められなかった.病理組織学的検査では,胎盤,心臓,副腎,脳にトキソプラズマ嚢子を認め,先天性トキソプラズマ症による胎内死亡と診断された.妊娠12週のトキソプラズマ抗体 IHA(基準値:160未満)は2560.死産後のトキソプラズマ抗体は10240以上.トキソプラズマIgG EIA(基準値:6未満)は5900.トキソプラズマIgM EIA(基準値:0.8未満)は2.3であった.妊娠時の初感染による胎内死亡と考えられた.感染原因としては,妊娠中に3回苺狩りに行ったことと,焼肉店に1回行ったことが可能性として考えられた.厚生労働省の人口動態統計と日本病理学会の剖検輯報から胎内死亡した先天性トキソプラズマ症児の頻度を計算した.1974年から2007年までの34年間の報告された先天性トキソプラズマ症児は5人である.この期間の死産数は1,982,839であり,剖検数は22,827であるので,年間のトキソプラズマ症の死産児数は,5×(この期間の死産数:1,982,839)÷(この期間の剖検数:22,827)÷34≒13人となる.死産児の剖検率は,22,827÷1,982,839≒0.0115(1.15%)となる.産科医としては,先天性トキソプラズマ症に十分な注意を払うことが必要である.〔産婦の進歩62(3):241-247,2010(平成22年8月)〕
著者
柴田 幸子 藤野 祐司 辰田 一郎 金岡 靖 石河 修 梅咲 直彦 荻田 幸雄 恩田 博 松本 雅彦 日高 敦夫 山本 啓司 宮崎 晶夫 西村 淳一 迫 久男 島本 雅典 濱田 和孝 田中 文平 田村 俊次 中村 哲生 須川 倍
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.6-11, 1996-01-01 (Released:2010-09-27)
参考文献数
11

子宮筋腫に対する薬物療法に関してさまざまな試みがなされているが,なかでもGnRHアナログ(プセレリン)の使用が注目されている.今回,われわれは,子宮筋腫患者80例に対してプセレリンを900μ9/日,16週間投与し,その子宮筋腫に対する効果を検討した.対象は27歳から52歳(80症例)の過多月経などの症状を有する子宮筋腫患者で,超音波断層法にて計測し,平均65.4%の縮小率が得られた.また,子宮サイズの縮小とともに子宮筋腫にもとつく症状が軽快していくことが認められた.しかしながら,子宮筋腫発生部位別にみると筋層内筋腫,漿膜下筋腫に比べ,粘膜下筋腫において十分な縮小効果が得られず,筋腫発生部位により薬剤の効果に差があることが認められた.結果として,子宮筋腫患者に対する有用な治療法であると考えるが,子宮筋腫の発生部位別にGnRHアナログ療法の適応症例の選択を考慮する必要があると考えられた.〔産婦の進歩48(1)6--11,1996(平成8年1月)〕
著者
岡室 博之 港 徹雄 三井 逸友 安田 武彦 高橋 美樹 堀 潔 原田 信行 本庄 裕司 福川 信也 土屋 隆一郎 加藤 雅俊 濱田 康行 村上 義昭 鈴木 正明 柴山 清彦 島田 弘 池内 健太 西村 淳一
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

2007年1月以降の新設法人企業に対して、2008年11月以来4回の継続アンケート調査を実施し、特に研究開発型の新規開業企業の創業者の属性や資金調達・雇用、研究開発への取り組みと技術成果・経営成果等について独自のデータセットを構築した。それに基づいて、新規開業企業の研究開発に対する創業者の人的資本の効果(資金調達、技術連携、イノベーション成果)を計量的に分析した。さらに、政府統計の匿名個票データを入手して自営開業について統計的分析を行い、アンケート調査に基づく分析を補完した。また、知的クラスターに関するアンケート調査と訪問調査を実施し、クラスター政策と新規開業・イノベーションの関連等を考察・分析し、国際比較を交えて関連政策の評価を行った。