著者
新井 潤美 西川 克之 松本 朗 小山 太一 佐々木 徹 丹治 愛 草光 俊雄 加藤 めぐみ 前 協子 安藤 和弘
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

① 1981年の『炎のランナー』以降、サッチャー政権下のイギリスは、のちにヘリテージ映画と呼ばれることになる多数の映画を生み出していく。代表的なヘリテージ映画を解釈しながら、それらの映画がどのような主題的、映像的、イデオロギー的特徴を共有しているのかを具体的に議論した。② その一方で、ヘリテージ映画にかんする代表的な批評論文(とくにアンドリュー・ヒグソンのもの)を読み、自分たちが進めてきた個々の映画の作品論に照らして、その一般的な定義を批判的に検証し、それがもつ問題点をあぶり出すとともに、ヘリテージ映画にかんする新たな定義にむけて議論を重ねた。
著者
安藤 和弘
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.90, pp.31-57, 2018

本稿の主たる関心は,『日の名残り』においてカズオ・イシグロが読者の読みかたを操作するために駆使しているいくつかの語りの技法を考察することにある。それに類した考察を行っている研究には,主人公かつ語り手であるスティーブンスが,心的抑圧のために真実を語ることができず,真実を隠蔽するためにみずからの語りに技法を凝らしていると前提を立てた上で,心理的な角度から分析を行っているものが多い。語りに凝らされている様々な技法を考察するという点では本稿も同じだが,スティーブンスの心理が物語に反映されているという視点は,本稿では採用しない。本稿では,スティーブンスという人物とその心理をさぐるのではなく,彼が構成する物語のテクストそのものの組み立てられかた,特に読者の読みを操作する装置がどのような効果を生んでいるかを考察する。「二日目―午後」から「四日目―午後」冒頭部分までを考察の対象とし,それ以後の章の考察は別稿において行う。
著者
安藤 和弘
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.93, pp.1-29, 2019

本稿の主たる関心は,『日の名残り』においてカズオ・イシグロが読者の読みかたを操作するために駆使しているいくつかの語りの技法を考察することにある。それに類した考察を行っている研究には,主人公かつ語り手であるスティーブンスが,心的抑圧のために真実を語ることができず,真実を隠蔽するためにみずからの語りに技法を凝らしていると前提を立てた上で,心理的な角度から分析を行っているものが多い。語りに凝らされている様々な技法を考察するという点では本稿も同じだが,スティーブンスの心理が物語に反映されているという視点は,本稿では採用しない。本稿では,スティーブンスという人物とその心理をさぐるのではなく,彼が構成する物語のテクストそのものの組み立てられかた,特に読者の読みを操作する装置がどのような効果を生んでいるかを考察する。「四日目―午後」と「六日目―夜」を考察の対象とする。
著者
安藤 和弘
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.77-111, 2017-09-30

本稿の主たる関心は,『日の名残り』においてカズオ・イシグロが読者の読みかたを操作するために駆使しているいくつかの語りの技法を考察することにある。それに類した考察を行っている研究には,主人公かつ語り手であるスティーブンスが,心的抑圧のために真実を語ることができず,真実を隠蔽するためにみずからの語りに技法を凝らしていると前提を立てた上で,心理的な角度から分析を行っているものが多い。語りに凝らされている様々な技法を考察するという点では本稿も同じだが,スティーブンスの心理が物語に反映されているという視点は,本稿では採用しない。本稿では,スティーブンスという人物とその心理をさぐるのではなく,彼が構成する物語のテクストそのものの組み立てられかた,特に読者の読みを操作する装置がどのような効果を生んでいるかを考察する。およそ作品の前半に相当する「プロローグ」から「二日目―朝」までを考察の対象とし,それ以後の章の考察は別稿において行う。