著者
新井 潤美 西川 克之 松本 朗 小山 太一 佐々木 徹 丹治 愛 草光 俊雄
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

2015年度は、5月、7月(2回)、12月、3月と、全部で5回の研究会を開催し、7名の講師(うち6名が外部講師)の研究発表をもとに、とくに映画とナショナル・アイデンティティ、ヘリテージ映画というテーマを中心にして活発に議論した。年度の前半は「映画とナショナル・アイデンティティ」のテーマのもとに、井出真理(脚本家)の「「路地」の小説と映画の空間をつなぐ 『千年の愉楽』のシナリオ化」、廣田秀孝(コロンビア大学講師)の「The Birth of a Nation 20世紀初頭の米国における社会、文化、アカデミアの交差点」、佐藤元状(慶應義塾大学准教授)の「イギリス映画と第二次世界大戦 アスキスのThe Way to the StarsとヒッチコックのBon Voyageを読み解く」をとおして、日本とアメリカとイギリスの映画のそれぞれにおいて、ナショナル・アイデンティティがどのように表現されているかを比較研究した。そのうえで、年度の後半は、正統的なヘリテージ映画――末廣幹(専修大学教授)の「桟橋に点る灯り 映画『日の名残り』におけるカントリー・ハウスの〈内部〉とヘリテイジ映画の〈外部〉」、岩崎雅之(早稲田大学元助教・現非常勤講師)の「Who Shall Inherit England? E. M. フォースターと「ヘリテージ映画」」――、ポストコロニアル的なヘリテージ映画――佐藤元状の「ヘリテージ映画の影に、あるいはグリンダ・チャーダの戦略的ノスタルジア」――および、反ヘリテージ映画――前協子(日本女子大学非常勤講師)の「逃走か、適応か、それが問題だ!? 『トレインスポッティング』論」――など、多様な方向から、1980年代以降のナショナリスティックなヘリテージ映画を特質を探った。実りの多い年度だったと自己評価している。