- 著者
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中村 陽子
宮原 伸二
人見 裕江
- 出版者
- 川崎医療福祉大学
- 雑誌
- 川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.2, pp.195-204, 2000-12-25
- 被引用文献数
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戦後日本においては疾病構造の変化, 医療技術の高度化, 病院化の進展の中で, 死亡に関しては, 在宅での死は減り, 病院での死が急増しているのが現状である.1965年には死亡者全体の29%が病院死であったが, 1995年には74%になり, 日本人の死に場所は家から病院へと変わった.死についての今日の人々の意識や実態は, 高度経済成長期をへて, ここ30年の時代環境で大きく変化した.さらに, 現在多くの国民は在宅死を再び望むようになってきた.高齢者の在宅死を可能にするためには, 医療福祉の役割として, 現在存在するサービスを整備するだけでは課題への対応は困難であり, 新たなケアマネジメントが重要となってくる.具体的な内容としては, 死への不安や恐怖に対して, あらゆる専門職との連携が重要となる.特に心理の専門家やボランティアとの連携が, 看取りにおける心の援助を可能にすると思われる.家族・地域を包括した看取りの教育が急務である.死の教育こそが看取りの文化を継承していく.また, 都市の看取りを考える場合, これまで日本にあった隣近所による助け合いの精神に基づいた相互扶助の援助に変わる, 新しい援助が重要になってくると考えられる.地域共同体意識の低い都市においては, 地域が看取りの力を持ちうるためのまちづくりが重要な課題である.介護者に犠牲を強いることのない, 介護を生きがいのある魅力あるものにし, 自己決定に基づく死に場所選びを可能にするため, 医療福祉として統一された援助が重要となる.医療福祉はその役割を負う.