著者
片岡 良治 遠藤 斉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.37-45, 2000-05-15
参考文献数
11
被引用文献数
8

本論文では,MPEG符号化情報から直接的に求められる映像の特徴情報を用いて,映像に含まれる類似シーンを精度良く検出する方式について述べる.ここでいう類似シーンとは,例えば野球中継の映像に含まれる個々のホームランシーンのように,理論的に同じ意味を持つが物理的な構成が異なるシーンを指す.類似シーンを精度良く検出できれば,それらに一括して同じタグ情報を付与できるようになり,映像データベースのインデクシング作業の効率化が図れる.提案法は,特にスポーツ映像へのタグ付け処理の効率化を狙いとしており,スポーツ映像の類似シーン共通するカメラワークの存在に着目してシーン検出を行う.また,音声認識の分野で提案された連続DPマッチングをカメラワーク情報の照合処理に適用することで,類似シーン毎のシーン長の違いに柔軟に対応する.実際の野球中継の映像を用いて実験した結果,提案法は従来法よりも高い適合率と再現率を提供できることが明らかとなった.This paper describes a similar detection method using feature information directly obtained from MPEG encoded video data. Scenes are regarded as similar ones when they have the same logical meaning while each of them conteins sifferent physical data. For instance, all home run scenes in a baseball program have the same logical meaning of "home run"while each of them contains different image data. Similar scene detection is effective for eliminating trouble in making an index of a video databese since it makes it possible to assign the same keyword to all derected scenes at once. The proposed method derects similar scenes based on their camera work similarity. Its main application is sports scene detection since similar sports scenes are generelly captured with the same camera work. To cope with the difference of scene length among similar scence, it adopts the continuous DP matching algorithm to compare camera work features obtained from MPEG encoded video data. It is evaluated using a broadcastung baseball prigram. The results show that it can provide higher precision and recall rates than traditional methods.
著者
藤田 尚樹 安田 宜仁 片渕 典史 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

ウェブページは広告などページの主題以外の情報を含み,それらは例えば検索エンジンの検索精度低下を引き起こす。そのため本文抽出技術は重要視されている.本稿ではHTML中で本文(主題が記述されている部分)は1つもしくは複数のノード配下の全てのノードとして抽出できるという仮説のもと,CRFを用いた本文判定結果を階層構造を考慮して上位ノードの結果と下位ノードの結果の多数決で再判定する手法を提案する.
著者
数原 良彦 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

検索ランキング精度向上のため,TF-IDFなどの素性を入力とし,機械学習の枠組みでランキングの最適化を行うランキング学習において.クリックスルーログなど,全文書に対して付与されていない素性を用いると,適切にランキングを行うことができない問題が考えられる.本研究では,文書全てに付与されない素性について,素性推定器を用意することで上記問題を解決し,高精度なランキング学習の実現を目指す.
著者
小杉 尚子 小島 明 片岡 良治 串間 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.287-298, 2002-02-15
被引用文献数
21

本稿では,我々が研究開発しているハミングを用いた音楽検索システム(ハミング検索システム)について述べるとともに,このシステムを構築するために採用している技術やパラメータの値について,その効果を定量的に評価する.音楽データベースに対して,音情報をキーにした検索は直感的で非常に有効である.しかし人の歌唱は曖昧で,検索キーとして使用するのは難しい.そこで本システムでは類似検索技術を用いて,ハミングに似ている部分を持つ曲を似ている順にリストアップしたものを検索結果とする.目標は,ハミングされたフレーズを含む曲(正解)を,類似度順の曲名リストの1位に出力することである.従来のハミング検索システムに比べて本システムがきわめて優位である点は,データの処理の基本単位を「音符」ではなく「拍」にしていることと,多次元特徴ベクトルを用いたインデクスを検索に使用していることに起因する.これによって,様々なエラーを含むハミングを検索キーにしても,精度の高い高速な類似検索を実現している.実験では1万余曲を登録したデータベースを構築し,検索時間は約1秒というレスポンスを達成した.また人が聞いて分かるレベルのハミングの約70%については5位以内に正解を出力することを確認した.A music retrieval system that accepts hummed tunes as queries isdescribed. Technologies and the values of parameters that are used in the systemare also described and their effectiveness is quantitatively evaluated.Retrieval using sound information as queries for a music database isintuitive and very useful.However, it is difficult to use hummed tunes as queries because theyare often unclear. Thus, the system employs a similarity retrieval technique to overcomethis problem. The retrieval result is a ranked list of songs that has a part whichis similar to the hummed tune according to the closeness of the match. Our goal for the system is to retrieve the correct song at the top ofthe song list. The most significant ways in which our system is superior to generalquery-by-humming systems are that 1) musical data is processed basedon ``beats'' instead of ``notes'', and 2) the retrieval is donethrough the use of indices based on multi-dimensional feature vectors. These features allow the system to retrieve songs quickly andprecisely even if erroneously hummed tunes are used as queries.The database currently holds over 10,000 songs,and the retrieval timeis about one second.The system is able to recognize the song and rank it within the firstfive places on the list for about 70% of hummed tunes that arerecognizable to human beings as a part of a song.
著者
数原 良彦 植松 幸生 戸田 浩之 井上 孝史 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

多数のユーザによって付与されたソーシャルアノテーションを用いた情報検索ではアノテーションが付与されているコンテンツのみを検索対象とするため,ウェブ全体を検索対象にできないという問題がある.本研究では,ソーシャルブックマーク数を正解としてランキング関数を学習することにより,ブックマークされていないウェブページについてもブックマーク件数を近似した検索ランキングを提案する.
著者
西野 正彬 安田 宜仁 湊 真一 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)を用いて二値疎行列を用いて表現することによって、行列とベクトルの乗算に必要な計算回数を削減する手法が知られている。しかし、現代のコンピュータアーキテクチャ上では、計算回数の削減に見合った計算時間の削減はできていなかった。本稿では、メモリアクセスの連続性に着目してZDDによる行列の表現方法を改良することによって計算時間を削減する手法を提案する。
著者
別所 克人 内山 俊郎 片岡 良治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.58, pp.79-84, 2007-05-17

従来のテキスト分類方式は、文書をベクトルとして表現し、コサイン類似度やユークリッド距離のような双方向性のある尺度を、ベクトル間の近さのベースと考えるものが多い。これに対し本稿では、カルバック・ライブラー距離という双方向性のない尺度をテキスト分類に導入する。単語ベクトル間の距離尺度としてカルバック・ライブラー距離を用いると、コサイン類似度を用いた場合と比べ、単語間の連想の様相が変わる。本稿では、この性質を利用し、従来のコサイン類似度やユークリッド距離をベースとする分類方式と、カルバック・ライブラー距離をベースとする分類方式を組み合わせる方式を提案する。評価実験の結果、組み合わせることにより、従来方式よりも精度が向上することを確認した。
著者
廣嶋 伸章 安田 宜仁 藤田 尚樹 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

様々なキーワード・場所に関する検索を行う地理情報検索の研究がこれまで行われてきた。しかし、地理情報検索を実際に利用するためには、キーワードと場所の両方を指定しなければならなかった。そこで、クエリの入力を支援する仕組みとして、指定した場所に特徴的な語の提示を行うことにより、場所の指定だけでキーワードを想起させることが必要であると考えた。本稿では、この特徴的な語の提示の手法および評価について述べる。
著者
廣嶋 伸章 戸田 浩之 松浦 由美子 片岡 良治
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.33-45, 2010-09-28

Web 検索において,あるクエリが入力された際に,そのクエリの種別を知ることができれば,それに応じてシステムの応答を変化させることが可能となり,適切な検索結果を提示することができる.たとえば,あるクエリの種別が 「グルメ」 であることが分かれば,レシピ検索とブログ検索の結果を提示することができる.このようなシステムの応答を変化させるための条件であるクエリの種別をクエリタイプと呼ぶことにする.クエリの属するクエリタイプを知ることで,上で述べたような利便性の高い検索サービスが実現できる.そこで本論文では,様々なクエリに対してクエリタイプを判定する手法を提案する.提案手法では,単語に対してその単語の分野を表す概念ベクトルが付与された概念ベースを参照して,クエリに関する文書から得られたクエリ分野ベクトルと各クエリタイプ分野ベクトルとのコサイン距離に基づきクエリタイプを判定する.実験では,27 のクエリタイプに対し,提案手法単独で 64.6%,Wikipedia などの情報を利用した手法を組み合わせることにより 77.1% の精度で判定を行うことができた.
著者
数原 良彦 宮原 伸二 植松 幸生 金田 有二 藤野 昭典 片岡 良治
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.99-111, 2010-09-28

情報検索において,機械学習の枠組みでランキング関数の最適化を行うランキング学習が重要な課題である.従来のランキング学習手法では人手による適合性評価,もしくはクリックログから得られる訓練データを利用してきた.我々は,これらの複数情報源を適切に利用し,より高精度なランキング学習を達成することを目標とする.我々は複数情報源から得られる訓練データは,適合性分布が異なると考えた.そのため,訓練データの適合性分布が同一であることを仮定している従来の教師あり学習に基づくランキング学習手法では,複数情報源を用いたランキング学習の実現が困難だと考えられる.そこで我々は,分布が異なる訓練データを用いて転移学習の枠組みに着目し,転移学習をランキング学習に適用することによって適合性分布が異なる複数の情報源を用いたランキング学習の実現を試みる.本稿では,転移学習の枠組みに基づくランキング学習手法 TRankBoost を提案し,商用モバイルウェブ検索エンジンの実データを用いた評価実験によって有効性を検証した.評価実験により,TRankBoost によって,従来手法である RankingSVM,RankBoost と比べて NDCG@5,10 の値で上回る精度のランキングを実現することを示した.
著者
数原 良彦 植松 幸生 井上 孝史 片岡 良治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学
巻号頁・発行日
vol.108, no.329, pp.7-8, 2008-11-24

本研究では,ソーシャルブックマークにおけるスパマーのタグ付与行為が非スパマーとは異なると考え,ユーザのタグ付与行動に基づく特徴を抽出し,教師つき機械学習を用いてスパマーの判別器を生成することでスパマーの除去を行う手法を提案する.評価実験より,提案した特徴を用いて,スパマーの分類精度を保ったまま非スパマーの誤分類が減少されることを確認した.
著者
遠藤 斉 片岡 良治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.61, pp.273-278, 1999-07-21
被引用文献数
3

本稿では、動画から抽出できるカメラモーションを特徴量として利用したスポーツ映像の内容検索手法を提案する。スポーツ映像にはシーン特有のカメラワークが存在することが多いため、一連のカメラワークを手がかりにシーンの内容に基づいた検索を行えることが期待できる。そこで本稿では検索キーとして指定した映像と検索対象の映像から特徴量としてカメラモーションを抽出し、連続DPマッチングを適用することによりカメラモーションの類似したシーンを検出する手法を提案する。実際の野球中継の映像を用いて適合率と再現率を評価した結果、その有効性が明らかになった。This paper proposes a method for content-based sports video retrieval using camera work information. Since particular camera work for a typical scene exists in sports video, a transition of camera work becomes an effective cue for retrieving a sports scene based on its content. Therefore, the proposing method extracts a series of camera parameters from both a user-specified scene of a retrieval key and a video stream of a retrieval target, and detects scenes having a similar content to the key from the target applying the continuous DP matching. It is evaluated using a video stream of a baseball game. Recall-Precision curves make its effectiveness clear.