著者
森 千鶴夫 井上 一正 宮原 諄二 千輪 潔
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.437-448, 2005-10-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

明星大学・図書館に所蔵されているキュリー夫人の実験ノートの表紙, 裏表紙, 等に付着している放射性物質の分布状態をイメージングプレートで測定した。また, α線の強度とエネルギースペクトルをシリコン検出器で, γ線スペクトルを高純度ゲルマニウム検出器で測定した。表紙, 裏表紙ともに, 手が触れる部分の放射能強度が強く, ノートの小口 (端) の部分にも付着していた。また, 多くの点状の汚染があり, 夫人の周辺には粉末状の汚染があったことが推察される。α線強度の測定によれば, 最も強く付着している部分においては, 我が国のα核種の表面密度限度 (4Bq/cm2) 以下ではあるが, それに近い値であった。α線及びγ線のエネルギースペクトルの測定では, 核種はウラン系列の226Raとその娘核種の壊変に伴うものであった。15年にわたる記入期間の各月ごとの記入ページ数を, 当時の状況を知る手がかりを得る目的で調べたが, このページ数には大きな変動があった。これらについて, 日本人研究者に関する事柄も記されている夫人の伝記を参考にして若干のコメントをした。
著者
宮原 諄二 加藤 久豊
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.884-890, 1984-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
21
被引用文献数
8

従来のレントゲン写真は(蛍光スクリーン/フィルム)システムでX線像を可視化したものである.このシステムに代る新しいデジタルラジオグラフィーシステムの開発が各国で進んでいる,輝尽性蛍光材料をX線像の検出とメモリーの二つの機能に用い,デジタル画像処理システムと組合せたコシピューテッドラジオグラフィーシステムもその一つであり,多くの臨床上の有用な効果が明らかになってきている.このシステムは,古くから知られている固体結晶中のカラーセンターとルミネッセンスを,最新のエレクトロニクスとコンピューター技術に結びつけ,古きものの中に新らしい血を注いだ「温故知新」の技術開発の一つの例としてあげられよう.