著者
中山 素一 細谷 幸一 宮本 敬久
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.494-501, 2014 (Released:2018-03-15)
参考文献数
22

近年,消費者の健康志向,マイルドな風味の要求により,ドレッシングの低酸・低塩化が進み,それに伴い抗菌性が低下しているために,風味に影響を与えないLactobacillus fructivoransの制御技術が不可欠となっている。そこで,筆者らはL. fructivoransの制御は膜を損傷して酢酸の取り込みを促進させることが必要で,これにはキトサンの利用が適しているが,添加量が多いと,風味に悪影響を与えることを明らかにした。油水界面に局在しやすく,膜をさらに損傷するチアミンラウリル硫酸塩の併用が有効であることを明らかにしたので,解説いただいた。
著者
宮本 敬久 川口 穣 下津 智志 河岸 丈太郎 本城 賢一
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.200-208, 2009-04-15
被引用文献数
2 4

<I>S.</I> Enteritidisのマイクロプレートへの付着を阻害する物質の検索を39種の安全性の高い食品添加物および天然色素について行った.一次スクリーニングの結果,コントロールに比べて<I>S.</I> Enteritidisの付着を阻害したのは,アナトー色素,ガーディニアイエロー,モナスカス色素などの天然色素,アナトーAN,サンブラウンAC,サンイエローNo. 2 AU,サンレッドYM,サンレッドRCFU,サンビートL等の天然色素製剤,プロタミン,唐辛子抽出物,ショ糖ステアリン酸エステル,モノグリセリン脂肪酸エステルなどの食品添加物,ケンフェロールのようなフラボノイドであった.このうちで付着阻害効果の高かったのは,アナトーAN,ガーディニアイエロー,モナスカス色素,プロタミン,モノグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルであった.糖脂肪酸エステルではパルミチン酸およびステアリン酸エステルなど脂肪酸鎖長の長いものの方が付着阻害効果も高かった.特にモナスカス色素とショ糖ステアリン酸エステルは0.01%と低濃度でも<I>S.</I> Enteritidisの付着をほぼ完全に阻害したが,この阻害効果は抗菌力に起因するものではなかった.
著者
樋脇 弘 馬場 愛 江渕 寿美 古田 宗宜 小田 隆弘 宮本 敬久
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.120-126, 2009
被引用文献数
2

<i>C. jejuni</i> の<i>hip</i> 遺伝子,<i>C. coli</i> に特異的な<i>glyA</i> 遺伝子配列,および<i>C. jejuni</i>/<i>coli</i> に共通する<i>glyA</i> 遺伝子配列を増幅する3種類のLUX蛍光プライマーセットを作製した.<i>C. jejuni</i> を検出するJ-hip-FU/RLは<i>C. jejuni</i> に対して,<i>C. coli</i> を検出するC-glyA-FU/RLは<i>C. coli</i> に対して,<i>C. jejuni</i>/<i>coli</i> を検出するJC-glyA-FL/RUは<i>C. jejuni</i> と<i>C. coli</i> の両菌種に対して特異的であるとともに,定量性に優れ,検出感度も良好であった.<br>食品サンプル25 gの増菌液10検体を用いて,これらのLUX蛍光プライマーによるLUX-qPCRを実施した結果,LUX-qPCRの成績は培養法の成績と完全に一致した.さらに,食品サンプル10 gの増菌液35検体を用いて,J-hip-FU/RLとC-glyA-FU/RLを組合せたM-LUX-qPCRを実施した.その結果,M-LUX-qPCRが陰性であった増菌液では培養成績も陰性となったが,M-LUX-qPCRが陽性となったすべての増菌液から菌が分離されず,M-LUX-qPCRと培養法の成績は完全には一致しなかった.本法は,増菌液からのスクリーニング試験あるいは分離した菌の迅速な鑑別・同定検査に有用であると考えられた.