著者
石郷 友之 髙田 遼 近藤 蕗 伊部 裕太 中野 敬太 立石 莉穂 藤居 賢 片野 唆敏 北川 学 木明 智子 中田 浩雅 橋本 暁佳 宮本 篤
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.8, pp.1041-1049, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)
参考文献数
47
被引用文献数
3

Sedative hypnotics are among the classes of drugs reported to influence falls. However, the effects of the sedative hypnotic drugs, suvorexant and ramelteon, on falls are not well known. Therefore, we conducted this retrospective case-control study to examine the association of the use of these two sedative hypnotics with the risk of falls. Conducted at the Sapporo Medical University Hospital in Japan, our study included 360 patients with fall incidents and 819 randomly selected control patients. Patients in the fall group were significantly older with a lower body mass index, and had a history of falls, disabilities in activities of daily living, cognitive impairment, and delirium. Monovariate analysis revealed that patients in the fall group frequently used ramelteon [odds ratio (OR) 2.38, 95% confidence interval (CI): 1.49-3.81, p<0.001], but rarely used suvorexant (OR 0.66, 95% CI: 0.29-1.39, p=0.317), compared with control patients. Furthermore, multivariate analysis revealed that ramelteon use did not increase the risk of falls (adjusted OR 1.43, 95% CI: 0.82-2.48, p=0.207), whereas suvorexant use significantly decreased the risk of falls (adjusted OR 0.32, 95% CI: 0.13-0.76, p=0.009). Although ramelteon tends to be used in patients at a high risk of falls, it may not increase the risk of falls. In contrast, the use of suvorexant may reduce the risk of falls.
著者
杉野 圭史 本間 栄 宮本 篤 高谷 久史 坂本 晋 川畑 雅照 岸 一馬 坪井 永保 吉村 邦彦
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.97-103, 2007 (Released:2007-05-21)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

目的.肺結核と原発性肺癌の合併症例の臨床的特徴ならびに問題点を分析し,今後の対策について検討した.対象および方法.1985年から2005年までの21年間に当院に入院した活動性肺結核患者788例および肺結核治療後の患者240例の中で,原発性肺癌を合併した17例を対象とし,患者背景,画像所見,予後をretrospectiveに検討した.結果.17例の内訳は男性15例,女性2例,平均年齢は73.4歳であった.肺癌の組織型では,腺癌が10例と最も多く,病期では,同時型(活動性肺結核が肺癌と同時期に発症・発見されている症例)が5例で全例III期,IV期の進行例であったのに対し,異時型(肺結核後遺症あるいは,すでに化学療法が終了し排菌のない症例)12例では,4例(33%)においてI期の早期肺癌が発見された.両疾患の病巣が同側肺あるいは同一葉内に存在する割合は,同時型でそれぞれ4例(80%),3例(60%)で,異時型ではそれぞれ8例(67%),1例(8%)で,同時型の方が同一葉内に存在する傾向が高かった.考察.肺結核と肺癌が合併した症例のうち,とくに同時型では,進行肺癌で診断されることが多く,予後が不良である.注意深い観察と積極的な診断および治療へのアプローチが必要である.
著者
石郷 友之 近藤 蕗 立石 莉穂 野々山 雅俊 藤居 賢 木明 智子 中田 浩雅 野田 師正 宮本 篤
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.201-209, 2018 (Released:2019-01-29)
参考文献数
30

糖尿病性腎症は末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)や血液透析の主要な原因の一つである。また、ESRDや血液透析患者では心血管イベントや死亡率の増加が報告されており、腎機能の低下や透析導入を遅らせることは重要な課題である。近年、glucagon-like peptide 1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドの腎保護作用が報告されている。しかし、デュラグルチドについては海外でアルブミン尿の減少効果が示されているのみであり、本邦においてデュラグルチドの腎機能への影響についての報告はまだない。その為、我々はデュラグルチドの血糖コントロールおよび腎機能への影響について検討した。2016年9月から2017年9月にデュラグルチドが開始された症例は45例で最終的な解析対象は19例であった。主要評価項目はデュラグルチド開始3ヶ月後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)、推算糸球体濾過速度(eGFR)とし、腎機能への影響についてはeGFRの変化量も調査した。平均年齢は57.4歳で男性10例、女性9例であった。HbA1cは、デュラグルチド開始時8.9 ± 0.4%(平均 ± SE)から3ヶ月後8.0 ± 0.4%と有意な低下を認めた(p = 0.019)。また、eGFRは開始時60.2 ± 4.7 mL/min/1.73m2(平均 ± SE)から3ヶ月後65.3 ± 4.9 mL/min/1.73m2と有意な上昇を認めた(p = 0.011)。一方、収縮期血圧は123.6 ± 16.2 mmHgから125.6 ± 16.6 mmHgと変化は見られなかった(p = 0.919)。eGFRの変化量は、デュラグルチド開始前の3ヶ月間では2.1 ± 5.6 mL/min/1.73m2低下したが、開始後の3ヶ月間では5.1 ± 7.9 mL/min/1.73m2上昇した(p = 0.011)。本研究からデュラグルチドにおける2型糖尿病患者の腎障害の進行抑制もしくは腎機能改善効果が示唆される。
著者
石郷 友之 近藤 蕗 立石 莉穂 野々山 雅俊 藤居 賢 木明 智子 中田 浩雅 野田 師正 宮本 篤
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.201-209, 2018

<p>糖尿病性腎症は末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)や血液透析の主要な原因の一つである。また、ESRDや血液透析患者では心血管イベントや死亡率の増加が報告されており、腎機能の低下や透析導入を遅らせることは重要な課題である。近年、glucagon-like peptide 1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドの腎保護作用が報告されている。しかし、デュラグルチドについては海外でアルブミン尿の減少効果が示されているのみであり、本邦においてデュラグルチドの腎機能への影響についての報告はまだない。その為、我々はデュラグルチドの血糖コントロールおよび腎機能への影響について検討した。2016年9月から2017年9月にデュラグルチドが開始された症例は45例で最終的な解析対象は19例であった。主要評価項目はデュラグルチド開始3ヶ月後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)、推算糸球体濾過速度(eGFR)とし、腎機能への影響についてはeGFRの変化量も調査した。平均年齢は57.4歳で男性10例、女性9例であった。HbA1cは、デュラグルチド開始時8.9 ± 0.4%(平均 ± SE)から3ヶ月後8.0 ± 0.4%と有意な低下を認めた(<i>p</i> = 0.019)。また、eGFRは開始時60.2 ± 4.7 mL/min/1.73m<sup>2</sup>(平均 ± SE)から3ヶ月後65.3 ± 4.9 mL/min/1.73m<sup>2</sup>と有意な上昇を認めた(<i>p</i> = 0.011)。一方、収縮期血圧は123.6 ± 16.2 mmHgから125.6 ± 16.6 mmHgと変化は見られなかった(<i>p</i> = 0.919)。eGFRの変化量は、デュラグルチド開始前の3ヶ月間では2.1 ± 5.6 mL/min/1.73m<sup>2</sup>低下したが、開始後の3ヶ月間では5.1 ± 7.9 mL/min/1.73m<sup>2</sup>上昇した(<i>p</i> = 0.011)。本研究からデュラグルチドにおける2型糖尿病患者の腎障害の進行抑制もしくは腎機能改善効果が示唆される。</p>