- 著者
-
稲岡 徹
宮田 弘樹
- 出版者
- 日本ペストロジー学会
- 雑誌
- ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.2, pp.95-101, 2004-09-15 (Released:2019-07-11)
- 参考文献数
- 8
工場敷地内の外灯の照明光源を水銀灯から高圧ナトリウム灯に変換したときの飛来昆虫数に与える影響を調べた.1.実験に用いた高圧ナトリウム灯の紫外線放射量は水銀灯の約1/60,水銀灯から高圧ナトリウム灯への変換によって外灯への誘虫性は約1/2に低下した.2.外灯に近い施設周辺では,外灯照明の誘引作用により,建物との距離に応じて昆虫の密度が高まり,そのため施設内への昆虫の侵入数は,照明のない場合に比べ増加していると思われる.3.外灯の光源を水銀灯からナトリウム灯に変換すると,その周辺の施設内への昆虫の侵入数も減少するが,減少率は外灯自体への飛来数ほど顕著ではなく,20%前後であった.4.外灯間の距離が28-45mという実験条件では,各外灯は独立して昆虫を誘引し,水銀灯とナトリウム灯を同時に点灯した場合にも,各外灯間の相互影響は認められなかった.5.水銀灯から高圧ナトリウム灯への変換によって,鱗翅日・膜翅目・半翅目・鞘翅目では飛来数は約70%減少したのに対し,双翅目のユスリカ類やコバエ類では30-40%の減少率であった.