著者
稲岡 徹 大久保 吾良 横田 真良 武政 正明
出版者
日本万国家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.174-180, 1999-05-25
参考文献数
7
被引用文献数
1 17

イエバエの食糞性を利用して鶏の排泄物を分解処理し,その際得られる大量のイエバエ幼虫および蛹の,鶏の飼料原料としての価値を検討した。イエバエ幼虫および蛹の乾燥粉末は,粗蛋白(CP)約60%,粗脂肪約20%を含み,アミノ酸組成は魚粉に類似し,家畜•家禽の飼料原料として,十分な利用価値があると考えられた。幼虫と蛹の比較では,1個体当たりの体重が幼虫の方が重いことから飼料原料としては幼虫がより適していると思われた。幼虫乾燥粉末原物の鶏におけるエネルギー代謝価(ME)は3.79kcal/gと算定された。体成分の分析結果とエネルギー代謝価に基づき,CP,ME,アミノ酸組成が同等となるようイエバエ幼虫乾燥粉末7%含有の試験飼料と,魚粉(ホワイトフィッシュミール)7%含有の対照飼料を調製した。両飼料ともブロイラー前期養分要求量を満たしていることを確認し,孵化直後から24日齢までブロイラーに対する飼養試験を実施した。試験飼料と対照飼料を与えた雛の間に,増体量と飼料要求率に有意差は認あられなかった。24日齢で屠殺した雛の中抜き体重(可食部と骨部の合計)の生体重に対する割合は,試験飼料投与群が対照飼料投与群より有意に高かった。これらの雛の腿肉の,蛋白質,脂肪の含有率,アミノ酸組成に,投与飼料による違いは認められなかった。以上の結果から,イエバエ幼虫乾燥粉末は鶏の飼料原料として,魚粉と同等以上の栄養的価値があることが示された。
著者
稲岡 徹 宮田 弘樹
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.95-101, 2004-09-15 (Released:2019-07-11)
参考文献数
8

工場敷地内の外灯の照明光源を水銀灯から高圧ナトリウム灯に変換したときの飛来昆虫数に与える影響を調べた.1.実験に用いた高圧ナトリウム灯の紫外線放射量は水銀灯の約1/60,水銀灯から高圧ナトリウム灯への変換によって外灯への誘虫性は約1/2に低下した.2.外灯に近い施設周辺では,外灯照明の誘引作用により,建物との距離に応じて昆虫の密度が高まり,そのため施設内への昆虫の侵入数は,照明のない場合に比べ増加していると思われる.3.外灯の光源を水銀灯からナトリウム灯に変換すると,その周辺の施設内への昆虫の侵入数も減少するが,減少率は外灯自体への飛来数ほど顕著ではなく,20%前後であった.4.外灯間の距離が28-45mという実験条件では,各外灯は独立して昆虫を誘引し,水銀灯とナトリウム灯を同時に点灯した場合にも,各外灯間の相互影響は認められなかった.5.水銀灯から高圧ナトリウム灯への変換によって,鱗翅日・膜翅目・半翅目・鞘翅目では飛来数は約70%減少したのに対し,双翅目のユスリカ類やコバエ類では30-40%の減少率であった.
著者
稲岡 徹 早川 博文 米山 陽太郎
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.33, pp.139-141, 1982

1981年6月5日より9月17日まで北海道和寒町の町営三和, 福原両牧野において, 吸血性アブ類の種構成と季節消長を調査した。5属12種が記録され, このうちニッポンシロフアブが全体の約50%を占め, これに次いでアカウシアブ, シロフアブ, ゴマフアブ, キノシタシロフアブ, キバラァブが多かった。アブは6月下旬より9月中旬まで見られ, 種数, 個体数とも7月中旬より8月中旬までが最も多く, 牛体への害もこの時期に集中していた。
著者
稲岡 徹 早川 博文 山口 勝幸
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.261-263, 1985

The tabanid fauna of Okushiri Island, Hokkaido, Japan, was surveyed by collecting female adults with a mosquito-net trap baited with dry ice and by digging larvae and pupae with hand shovels, on August 6 and 7,1983. A total of 544 female adults of 9 species belonging to 3 genera and 39 immatures of 3 species of Tabanus were collected. Tabanus nipponicus, T. chrysurus and T. trigeminus were ubiquitous and predominant. The faunal make-up of this island with a considerable abundance of anautogenous tabanid population markedly differs from that of Rishiri and Rebun Islands. The influence of the livestock farming for the establishment of the tabanid fauna of this island was discussed.