著者
肥後 温子 水上 和美 富永 暁子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.170-179, 2004-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

炭素鋼(Fe)製とフッ素樹脂加工アルミ(Al-F)製フライパンを用い,焼き加熱と妙め加熱による焦げ色の変化を調べたところ,加熱操作法,食品の含水率,鍋材質による焦げ速度と焦げ時間の差がみられ,多くの試験条件において次の傾向が得られた. (1) 初期から中期の焦げ速度はいずれも直線的に増加し,A1-F製フライパンの焦げ時間(JEO~40到達時間)の方が焼き加熱の場合には約2倍,妙め加熱の場合には約1.5倍長かった. (2)Fe製はAl-F製に比べて加熱むらが大きく黄色域が少なかった. (3) 高含水率食品は低含水率食品に比べて焦げ速度が約1/2倍小さく,焦げ時間が約2倍長かった. (4) 妙め加熱は焼き加熱に比べて焦げ速度が約1/2倍小さく,低含水率食品では焦げ時間が約2倍長かった.
著者
肥後 温子 富永 暁子 井部 奈生子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.248-256, 2008-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

高火力化した熱源を使う乾式調理が増える中で,熱伝達効率の高い鉄製フライパンが減りフッ素樹脂加工製フライパン(アルミ製)が増えている。省エネの観点からも鍋を使い分ける必要があると考え,実調理試験を中心に比較試験を行った。その結果,(1)Fe製鍋は調理時間がAl-F製鍋の約7割と短い割に焦げ色が濃く,(2)表面温度や焦げ色などの外部要因をそろえて対比すると, Fe製試料は加熱時間が短いためにAl-F 製試料より軟らかい食感が残り易いことが確認できた。(3)Fe製試料の方が焦げ色,食感などの官能評価が高い場合もみられ,(4)食材による鍋材質の使い分けが必要であると思われた。
著者
富永 暁子 水上 和美 蟻川 トモ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1133-1138, 2001-11-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9

梅酒の長期貯蔵における1カ月から12年貯蔵の梅酒と梅果実の遊離アミノ酸, 糖, 酸, pH, 吸光度 (色) について調べ, 以下の結果を得た.1) 梅酒中の遊離アミノ酸量は漬け込み後急速に増加し, 1年貯蔵で梅酒と梅果実の遊離アミノ酸量はほぼ平衡に達した.梅酒中の遊離アミノ酸組成は1年貯蔵でアスパラギンが63%, アスパラギン酸が5%であった.12年貯蔵でアスパラギンは45%に減少し, アスパラギン酸は23%に増加した.2) 梅酒中のショ糖は漬け込みから1年以内に転化が完了した.3) 梅酒の有機酸は1年貯蔵まで増加し, それ以降ゆるやかに減少し, 3年でほぼ一定になった.pHは貯蔵中2.8~3.0であった.4) 梅酒の色は貯蔵が長くなるに従って濃くなり, 吸光度が加速度的に上昇したことで明らかである.5) 官能検査の結果は貯蔵期間が長くなるに従って味が濃くなり, さわやかさがなくなる.3年貯蔵の梅酒が有意に好まれた.
著者
肥後 温子 寺本 あい 富永 暁子 井部 奈生子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.221-230, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

水,バッター生地,食パンを試料とし,スチームコンべクションオーブンの7種類の加熱モードを用いて加熱速度,消費エネルギー量,力学特性を比較した。(1)水温上昇速度,バッター生地の凝固速度,食パンの焦げ速度とも熱風モードに比べてスチームを併用したコンビモードの方が速くなった。(2)180℃の熱風モードを基準とした単位時間当たりの消費電力量は,280℃熱風では1.87倍となり,コンビモード(スチーム100%)では3.62倍(180℃),3.95(280℃)倍となった。(3)180℃の熱風モードを基準とした水,バッター生地加熱時の消費電力量は,280℃熱風では1.37~1.44倍となり,コンビモード(スチーム100%)では2.41~3.01倍となった。(4)食パンの焦げ速度は,庫内温度を180℃から280℃に上げると6倍以上となり,一定の焦げ色にするための消費電力量は庫内温度180℃の1/2以下となった。(5)熱風モードでは加熱時間が長くなると乾燥して硬くなる傾向があるが,コンビモードでは食パンの力学特性の変化が速いにもかかわらず長時間加熱しても硬化が少なかった。