著者
井部 奈生子 肥後 温子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.189-196, 2012-06-05

市販ぬれせんべい17種類の水分量は9.8〜28.7 g/100 g,水分活性は0.38〜0.81であり,製法,水分含量,テクスチャーを異にする各種の製品があった。そこで,調湿が水分およびテクスチャーに及ぼす影響を含めて製品を分類したところ,揚げせんべいタイプ,半乾きせんべいタイプ,湿せんべいタイプ,湿おかきタイプの4つのタイプに分類できた。なお,3タイプの代表的な製品について官能評価を行ったところ,破断しやすい製品が好まれる傾向がみられ,半乾きせんべいタイプの硬い食感,濃く味付けされたおかきの味が嫌われた。
著者
井部 奈生子 肥後 温子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.189-196, 2012 (Released:2014-02-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1

市販ぬれせんべい17種類の水分量は9.8~28.7 g/100 g,水分活性は0.38~0.81であり,製法,水分含量,テクスチャーを異にする各種の製品があった。そこで,調湿が水分およびテクスチャーに及ぼす影響を含めて製品を分類したところ,揚げせんべいタイプ,半乾きせんべいタイプ,湿せんべいタイプ,湿おかきタイプの4つのタイプに分類できた。なお,3タイプの代表的な製品について官能評価を行ったところ,破断しやすい製品が好まれる傾向がみられ,半乾きせんべいタイプの硬い食感,濃く味付けされたおかきの味が嫌われた。
著者
肥後 温子 富永 暁子 井部 奈生子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.248-256, 2008-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

高火力化した熱源を使う乾式調理が増える中で,熱伝達効率の高い鉄製フライパンが減りフッ素樹脂加工製フライパン(アルミ製)が増えている。省エネの観点からも鍋を使い分ける必要があると考え,実調理試験を中心に比較試験を行った。その結果,(1)Fe製鍋は調理時間がAl-F製鍋の約7割と短い割に焦げ色が濃く,(2)表面温度や焦げ色などの外部要因をそろえて対比すると, Fe製試料は加熱時間が短いためにAl-F 製試料より軟らかい食感が残り易いことが確認できた。(3)Fe製試料の方が焦げ色,食感などの官能評価が高い場合もみられ,(4)食材による鍋材質の使い分けが必要であると思われた。
著者
齊藤(北岡) 千佳 山本 純平 井部 奈生子 良永(加藤) 裕子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】麹菌<i>Aspergillus oryzae</i>はその酵素によって食品に独特の味や風味を付与することが知られている。本研究では、塩こうじを非加熱ろ過した調味液である「液体塩こうじ」が食肉の呈味およびテクスチャに及ぼす影響を調べ、おいしさ向上への寄与を科学的に検証することを目的とした。<br>【方法】試料には牛モモ肉および豚ロース肉を使用し、各試験に適した前処理を行った。味およびテクスチャはプロテアーゼ活性試験、HPLCによる遊離アミノ酸分析、レオメータによる破断強度測定、官能評価および味認識装置による味分析により評価した。統計解析には、<i>t</i> 検定または一元配置分散分析後、Tukeyの多重比較検定を用いた。<br>【結果】プロテアーゼ活性試験では、35℃処理のカゼインタンパク質量が他温度群に比べ有意に減少した。遊離アミノ酸分析では、牛および豚ミンチ肉において、液体塩こうじ処理群のうま味・甘味を示す成分が有意に増加した。破断強度は、液体塩こうじ処理群で有意に低値を示した。官能評価では有意差はなかったものの、理化学分析と矛盾しない傾向がみられた。味認識装置による分析では、液体塩こうじを添加した豚ミンチ肉で酵素活性の有無に関わらず「うま味後味」が無添加群より高かった。また液体塩こうじ添加群では、酵素を失活させるために高温処理した群よりも「苦味先味」が有意に低値を示した。以上の結果より、液体塩こうじは麹菌の酵素により食肉の呈味成分を増すとともに肉質を柔らかくすることから、味の向上への寄与が検証された。さらに、プロテアーゼの至適温度が35℃付近と判明したことから、加熱調理の直前に15分程度ぬるま湯に浸漬するとおいしさが増すことが示された。
著者
井部 奈生子 大坪 俊輔 肥後 温子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成25年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.193, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】小麦粉の代替素材として米粉・雑穀粉(全粒粉を含む)を有効活用する方法を模索する課題に取り組み、約6年間の実験期間中に、すいとん、クレープ、パンケーキ(焼き、蒸し)、クッキーの5種類の調理加工品を作成し官能評価を行ってきた。そこで、今まで行った各穀粉の官能評価結果を整理することにより、嗜好性を満足させる調理加工品を作る上での問題点を明らかにしようとした。 【方法】1)薄力全粒粉、ライ麦粉、日本米粉、玄米粉、赤米粉、そば粉、あわ粉、ひえ粉の各試料粉体30~100%に薄力小麦粉を加えた穀粉に、水または副材料(牛乳、卵、砂糖、バターまたはショートニング)を加え、すいとん(ゆで加熱、製品水分約80%)、クレープ(焼き加熱、製品水分約80%)、パンケーキ(熱風加熱、製品水分約50%)、パンケーキ(スチーム加熱、製品水分約57%)、クッキー(オーブン加熱、製品水分約7%)を作成し、2)男女学生n=16~206をパネルとし、硬さ、もちもち感、口どけ、色調、総合的な嗜好について官能評価を行った。 【結果・考察】1) 5種類の調理加工品とも、総合的な嗜好に最も大きく影響する項目は味・あと味であり、2) クッキー、パンケーキ、クレープ、すいとんの順に穀粉間の味・あと味に対する評価の差が大となり、3)ひえ、はと麦、赤米の味・あと味が悪いと評価された。4)柔らかさ(硬さ)、もちもち感などの食感に対する評価の差は、パンケーキ(スチーム加熱)で最大となり、5)赤米、日本米、あわは柔らかくもちもちしていると評価されたが、6) クッキーでは粘弾性が強いこれらの穀粉が最も硬いと評価された。7)粉の焙焼がクッキーの食感を改善し、オレンジピールなどの食材の混合が味・あと味を改善したので紹介する。
著者
肥後 温子 寺本 あい 富永 暁子 井部 奈生子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.221-230, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

水,バッター生地,食パンを試料とし,スチームコンべクションオーブンの7種類の加熱モードを用いて加熱速度,消費エネルギー量,力学特性を比較した。(1)水温上昇速度,バッター生地の凝固速度,食パンの焦げ速度とも熱風モードに比べてスチームを併用したコンビモードの方が速くなった。(2)180℃の熱風モードを基準とした単位時間当たりの消費電力量は,280℃熱風では1.87倍となり,コンビモード(スチーム100%)では3.62倍(180℃),3.95(280℃)倍となった。(3)180℃の熱風モードを基準とした水,バッター生地加熱時の消費電力量は,280℃熱風では1.37~1.44倍となり,コンビモード(スチーム100%)では2.41~3.01倍となった。(4)食パンの焦げ速度は,庫内温度を180℃から280℃に上げると6倍以上となり,一定の焦げ色にするための消費電力量は庫内温度180℃の1/2以下となった。(5)熱風モードでは加熱時間が長くなると乾燥して硬くなる傾向があるが,コンビモードでは食パンの力学特性の変化が速いにもかかわらず長時間加熱しても硬化が少なかった。
著者
肥後 温子 井部 奈生子 大坪 俊輔 大楠 秀樹
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-57, 2016

9種類の穀粉; 薄力小麦粉,薄力小麦全粒粉,米粉,玄米粉,赤米粉,トウモロコシ粉,そば粉,ひえ粉およびあわ粉を用い,各々生粉と焙焼粉で作製したクッキー焼成品について官能的な評価とレオロジカルな客観評価とを行ったところ,以下に要約するような評価が得られた。 (1)穀粉を焙焼すると硬さが低減してもろい焼成品となり,口どけが改善された。また,(2)穀粉を焙焼すると味・あと味,香りが改善されて,総合的に好ましい評価となった。(3)総合的評価で高得点を得たクッキーは,生および焙焼小麦,焙焼小麦(全粒),焙焼玄米および焙焼トウモロコシの製品であった。(4)焙焼による硬さの低減効果が特に大きいのは米粉であった。