著者
小野 満也 小山 恒男 山口 博 佐藤 博司 寺島 重信 渡辺 俊一
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1155-1158, 1994-08-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

当院血液透析患者90例, CAPD患者14例, 計104例に対して上部消化管内視鏡を施行し, 当院人間ドック受診者の内視鏡所見6,623例を正常コントロール群として比較した. 透析患者80例に107の病変がみられ, 特に胃粘膜点状出血が19.2%と多く, 透析患者に特異的な所見と思われた. 胃癌は5例に認められた. 血液透析患者の正常群22例と点状出血群20例の比較では, 年齢, 透析歴, 透析前血清カルシウム値, 透析前血中β2ミクログロブリン値, KT/V, 動脈硬化度に差はみられなかったが, ステロイド・NSAID投与の有無では点状出血群が有意に高率であり, 点状出血へのプロスタグランジン抑制の関与が考えられた.

1 0 0 0 OA 農夫症の研究

著者
松島 松翠 寺島 重信 磯村 孝二 市川 英彦 横山 孝子 大柴 弘子 井出 秀郷 萩原 篤 清水 博昭 白岩 智恵子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.135-144, 1969-03-01 (Released:2011-02-17)

長野県南佐久郡八千穂村の三部落から, 40才代及び50才代の男女113名を選び, 2年間にわたって農夫症々候群を中心に追跡調査を行なった。そのうち4回全部検診及び調査のできた81例について, 次のような結果を得た。1) 労働時間は男に比べて女に多く, かつ逆に睡眠時間は女の万に短かい, とくに40才代にかいて著明である。あきらかに女の万が過労状態であるといえる。また疲労の自覚症状や一般的健康状況, 検査結果, 有病率なども一般に女の万に悪い。即ち女の万が健康障害が多い。2) 農夫症総点数は, 一般に40才代より50才代が, 又, 男より女に多く, 農繁期に増加している。最近2年間の経過では, 男女とも増加しているが, 女の万が増加率が高い。3) 農夫症総点数は, 耕地面積 (一人当り) の多いほど, また乳卵摂取量の少ないほど高い。4) 農夫症総点数は, 疲労の自覚症状 (とくに身体的症状)、有病率と著明に相関している。また諸検査結果 (血圧, 血液, 肝機能等), 心電図, 胃レ線, 腰部レ線結果による異常と若干の相関が認められる。5) 以上の点から, 農夫症は慢性疲労状態, 不健康状態, 疾病状態を表わす一つの健康示標であるといえる。これを減らしていくためには, 農家の生活及び農業全般の根本的な改善がなされなければならない。