著者
柴田 正貴 寺田 文典 岩崎 和雄 栗原 光規 西田 武弘
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:13443941)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1221-1227, 1992
被引用文献数
3 5

反芻家畜のメタン発生量に及ぼす乾草と濃厚飼料給与比率の影響を検討し,簡易なメタン発生量推定式の作成を試みた.供試動物は,ホルスタイン種未経産牛6頭,コリデール種成去勢雄めん羊10頭および日本在来種成去勢雄山羊11頭とした.給与飼料は,オーチャードグラス主体混播牧草を原料草とした乾草ウェハーおよび当場指定濃厚飼料(尿素1%入り,ペレット)であり,乾草と濃厚飼料の給与比率を乾物換算で100:0(H100),70:30(H70)および30:70(H30)とした3処理について実験を行なった.飼料給与量は,TDNで維持要求量の1.5倍を満足する量とした.その結果,次のような知見を得た.1) メタン発生量は,動物種間に有意差が認められ,牛の発生量はめん羊の7倍,山羊の9倍であった.2) メタン発生量は,H70処理にくらべてH30処理で有意に低い値を示した.これは,濃厚飼料多給に伴う飼料中のセルロース含量の低下,繊維成分消化率の低下等の要因に起因すると考えられた.3) 各種栄養成分摂取量当りのメタン発生量は,処理間に有意差を認めたが,動物種間に有意な差は認められなかった.4) 重回帰分析の結果,メタン発生量推定に対する最も有効な説明変数として,窒素,粗繊維および可溶無窒素物の摂取量あるいはそれらの可消化物摂取量が選択された.5) しかし,乾物摂取量(DMI)のみを説明変数として用いても推定精度の低下は小さく,TDNで維持の1,5倍程度の栄養水準における反芻家畜のメタン発生量の簡易な推定式として,以下の式が導出された.メタン発生量(1/日)=0.0305DMI(g/日)-4.441(r=0.992).
著者
永西 修 寺田 文典 石川 哲也
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.599-603, 2002-02-15
被引用文献数
3

実験1ではアミロース含有率が異なる3品種(コシヒカリ, ミルキークイーン, コシヒカリ糯の玄米について, 実験2では窒素の施用水準を変えて栽培した2品種(アケノホシ, 夕カナリ)の玄米について, 飼料成分とナイロンバック法で第一胃内消化性を比較検討した。実験1で供試した玄米の飼料成分には品種間で明瞭な違いはなかったものの, 乾物(DM), 粗タンパク質(CP)およびデンブンの第一胃内での有効分解率(ED)はアミロース含有率が低い品種で高かった。また, 実験2では窒素の施用量の増加により玄米のCP含有率は増加するとともに, CP中の結合性タンパク質比率は低くなった。DM, CPおよびデンプンのEDは施肥条件による明瞭な違いは認められなかったものの, いずれのEDもタカナリがアケノホシよりも有意に低かった。以上のことから, 玄米の第一胃内DM, CPおよびデンプンの消化性はCP含有率よりもアミロース含有率に影響を受けると考えられた。
著者
寺田 文典 栗原 光規 西田 武弘 塩谷 繁
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.163-168, 1997-02-25
参考文献数
16
被引用文献数
10 1

95例の泌乳牛による窒素出納試験成績を用いて,泌乳牛に由来する糞尿中への窒素排泄量の推定式を作成し,その低減の可能姓について検討した.その結果,1) 4%乳脂補正乳(FCM)1kg当たりの窒素排泄量(N/FCM)は,N/FCM(g/kg)=-14.48×ln(FCM)+0.806×CP+0.769xDMI+31.4(CP;粗タンパク質,%DM,DMI;乾物摂取量,kg)により推定することができた(R<sup>2</sup>=0.864,RSD=0.92).2)N/FCMに対するln(FCM),CP,DMIの偏相関係数は,順に,-.917,.828,.830であり,N/FCMがFCM量の増加とともに減少し,CP水準の上昇,乾物摂取量の増加とともに増加することが示された.3) したがって,FCM生産量当たりのN排泄量の低減化のためには,乳量水準の増加を図ること,CP水準を御制すること,エネルギー濃度の向上を図り,乾物摂取量を抑制すること等が有効であるものと考えられた.