著者
石川 哲也 林 純子 友利 幸之介 長山 洋史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.572-580, 2021-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
31
被引用文献数
1

急性期における協働的目標設定の可否と,可否を決定する因子について検討した.対象は急性期病棟の入院患者104名で,初回面接でADOCを用いた目標設定を行い,困難な場合は理由を尋ね,途中経過で目標が再設定できるか追跡調査を実施した.結果,目標設定が可能な割合は初回面接で40%,途中経過で31%,退院まで困難が29%であった.目標設定の可否に影響する因子は,初回面接時にFIMが98点以上だと良好でMMSEが13点以下だと不良であり,初回面接時の目標設定が困難であってもその理由が能力認識の不足や見通しの希薄の場合は,途中経過で目標設定ができる可能性があることが示唆された.
著者
反町 百花 小川 孔幸 松本 彬 惣宇利 正善 小板橋 るみ子 梶田 樹矢 明石 直樹 内藤 千晶 石川 哲也 小林 宣彦 宮澤 悠里 一瀬 白帝 半田 寛
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.60-65, 2023 (Released:2023-02-11)
参考文献数
15

症例は86歳男性。COVID-19に対するBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン2回目接種の35日後に左下肢,左上肢の腫脹と疼痛が出現し,近医を受診した。APTT延長を認め,当科に紹介緊急入院となり,FVIII: C 1.7%,FVIII inhibitor 152.3 BU/ml,ELISA法でFVIII結合抗体を検出し,後天性血友病A(AHA)と診断した。高齢でADLも低下していたため感染リスクの懸念から,PSL 0.5 mg/kg/日で治療を開始した。入院期間中に筋肉内出血,膝関節出血などの出血事象を認めたが,都度バイパス止血製剤(rFVIIa,FVIIa/FX)による止血治療を実施し,良好な止血効果を得た。PSL治療で第69病日に凝固能的完全寛解(cCR)を達成したが,PSL漸減とともにFVIII活性が低下し,3回目のワクチン接種後に腹直筋血腫を伴うAHAの再燃を認めた。本症例は,日本人初のCOVID-19ワクチン接種後のAHA報告例で,かつ抗FVIII結合抗体の存在が証明された世界初の症例である。
著者
石川 哲也
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.596-597, 2016-09-05 (Released:2017-01-09)
参考文献数
5

現代物理のキーワードより速く,より明るく
著者
綾田 穣 石川 哲也 奥村 明彦 大橋 知彦 松本 英司 佐藤 顕 堀田 直樹 福沢 嘉孝 各務 伸一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.10-15, 2006 (Released:2006-11-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は53歳, 女性. 骨粗鬆症に対し, リセドロン酸ナトリウム (sodium risedronate hydrate : SRH) が投与され, その約6カ月後, 全身倦怠感が出現. 血液検査で肝胆道系酵素の著明な上昇を認めたため, 当科に入院となった. SRHによる薬物性肝障害を考え, DDW-J 2004ワークショップの薬物性肝障害診断基準案に基づいて診断を進めた結果, 病型は胆汁うっ滞型で, スコアは, (+6) : 「可能性が高い」と判定された. 肝生検では, 肝実質のび慢性のロゼット形成や胆汁栓, 軽度の門脈域の拡大などの所見が得られたため, 本剤による薬物性肝障害と診断した. 特徴的な組織像により肝生検が診断の一助となった, SRHによる薬物性肝障害の1例を経験したため, 文献的考察を加え報告する.
著者
石川 哲也 鈴木 保宏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.350-357, 2003-09-05
被引用文献数
1 1

米粒の成分音量や物性を1粒単位で測定することが最近可能となり,これらの測定値と穂上の着生位置との関係を明らかにするための研究が進められている.そこで,イネの穂の分枝構造を模式的に図示し,個々の穎花の持つ情報を穂上の着生位置に対応させて表示するためのプログラムを作成し,その有用性について検討を行った.他の分核構造をリスト形式で記述することにより,その多様性に対応することが可能となった.描画プログラムの作成には,「パターン照合」や「単一化」などの特色を有するプログラム言語Prologを採用し,再帰的呼び出し機能を活用した.表形式で記録された既存の分析結果を有効に利用するため,それらをリスト形式のデータに変換するプログラムを作成した.さらに,穎花の現存・退化といった定性的情報の表示に加えて,新鮮重など定量的情報に対応した塗り分け機能をプログラムに追加した.描画された模式図は,枝梗の長さや穎花の形状という観点からは正確ではないが,枝梗や穎花の相対的な位置は正しく表現されており,穎花の定性的・定量的特性と着生位置との関係を直観的に把握する一助となる.さらに,この描画プログラムは,同様の分核構造を持つイネ属の穂や,イネの分げつ体系等の描画への応用も可能である.
著者
森脇 裕美子 石川 哲也 中村 晴信 川畑 徹朗 増山 隆大 藤宮 正規
出版者
一般社団法人 日本学校保健学会
雑誌
学校保健研究 (ISSN:03869598)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.135-144, 2011-06-20 (Released:2023-04-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

There are many students and pupils who bring dinking water, such as water and tea which are bottled in their own water bottle at home, to the school. Since its hygiene was concerned, our last research was carried on the situation of the bacterial contaminations of those bottled waters. Then it has been found that there were serious bacterial contamination situations of those bottled water, which had made us continue the research to get more certain findings. The results of this continuous research could make it more certain that the high level of the bacterial contamination in those bottled waters does exist. To compare to the drinking water quality standards of the water supply, more than 90% of those bottled waters were found to be incongruent, besides the contamination with Escherichia coli. The levels of the bacterial contamination found were higher in the raining season than the fall. In this research, to investigate the cause of the bacterial contamination, some of the dinking water before bottled were collected separately to sterilized containers at the same time they were poured into the water bottle at home. As a result, the levels of the bacterial contamination of the bottled water were higher than the water which were collected separately, and it was suggested that the bacterial contamination was likely be generated by putting in the water bottle.
著者
石川 哲也 横田 修一 平田 雅敏 小川 春樹 小笠原 慎一 中村 隆三 吉永 悟志
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.222-229, 2021

<p>大規模稲作を展開する農業生産法人を対象に,多数の作付圃場の毎年の栽培管理や収量を「見える化」するとともに,条件による絞り込みやランクづけ,項目間の関係の図示等を通じて問題点を摘出し,改善提案を行うことを目的として,作付圃場を網羅する圃場別データセットを構築した.茨城県南地域の3法人における2019年の水稲作付圃場をすべて収集対象とした.圃場名や立地ブロック,面積などの基本情報,作付品種や栽培方法などの集計キーとなる情報,移植日や収穫日などの作業情報,肥培管理情報,防除情報を必須項目とし,追肥や防除については,実態に応じて複数回設定した.実証経営体の記録方法に応じて,営農管理システム出力のインポートや手書き日誌の転記によりデータを収集し,収量データは,各実証経営体で使用する収量コンバインおよび営農管理システムを通じて収集した.乾燥ロット別の実調製量等を圃場別に直接収集することは困難なため,乾燥調製データセットとして独立させ,籾摺・選別後の玄米重量および篩選・色彩選別による屑米重量を収集し,乾燥ロット番号を用いて参照する構造とした.収集したデータセットを用いて,全圃場数637筆の24.3%を占める横田農場のコシヒカリ155筆を対象に,推定収量が低かった33筆の要因を解析すると,圃場の立地ブロックと密接に関連する移植順序が,推定出穂期が遅い圃場での収穫日までの積算日射量の減少を通じて影響したと推察された.このように,網羅的データセットの活用により,問題点の特定と改善策の提案が可能になると判断された.</p>
著者
樋口 恭子 石川 哲也 庄司 崇 山本 祐司 田所 忠弘 三輪 睿太郎
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.156-158, 2010-09-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
10

Recently, new types of ferrous fertilizers that release soluble Fe have been developed for use in Fe-sufficient soils. We applied ferrous chloride (FeCl2) to leaves of young eggplant (Solanum melongena) grown in Fe-sufficient soil. Foliar application of FeCl2 brought about an increase in the number of axillary shoots and fresh weight of whole shoot. Moreover, concentrations of Ca and Mn of leaves were increased though the treatment solution did not contain Ca or Mn. Foliar application of FeCl2 could increase not only Fe concentration but also Ca concentration in leaves of leaf vegetables.
著者
石川 哲也 野々垣 学
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.307-314, 2012-06-15

要旨:本研究の目的はミラーセラピーが脳卒中患者の麻痺手に対する主観的認識の強度と質に及ぼす影響を調べることとした.対象は発症から2ヵ月以上経過した脳卒中患者3例.方法は通常の訓練に加え1日30分のミラーセラピーを6週間実施した.アウトカムの測定は上肢機能にFugl-Meyer Assessment,麻痺手に対する主観的認識の強度にVisual Analog Scaleを用い主観的認識の質は対象者の語りを聴取した.結果,上肢機能は1例で改善を認めた.また麻痺手の主観的認識は全例で強度の向上と,質の良性変化を認めた.3例の共通点と相違点から,ミラーセラピーは麻痺手に対する主観的認識の強度と質の改善に有効な方法である可能性が示唆された.
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.473-479, 2013

本研究では,2011年台風12号豪雨水害で被災した十津川村を事例として,地方自治体のインタビュー調査から地域での情報伝達の現状と課題を明らかにした.そして被災者を支援する活動を行った十津川村出身者によるツイッターアカウントを対象として,情報発信経路と情報種別の観点からツイッターデータを分析し,情報発信の主体ごとの拡散性の高い情報種別の特定や,時間推移ごとの災害情報の拡散性について定量化するとともに,他の通信手段と比較したソーシャルメディアの効果的利用方法の可能性を検討した.
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.545-552, 2012

災害時の行政機関のソーシャルメディアによる情報発信について,その重要性が調査等で明らかにされているが,その効果的な運用方法や運用の課題が明らかにされていない.そこで本研究では,東日本大震災もしくは紀伊半島水害時にソーシャルメディア上で情報伝播の要として活躍した4つの組織・個人のアカウント運用者に対してヒアリング調査を行い,ソーシャルメディア運用の特徴や課題を整理した.そして災害時の行政機関アカウントの運用指針の提案,そして課題に対して調査から明らかになった知見を踏まえた解決策の提案を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 石川 哲也 高田 昌樹 原 拓志 高尾 義明 松尾 隆 井上 福子 高橋 勅徳 西村 孝史 水越 康介 宮尾 学
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、所与の科学技術を産業利用する既存のイノベーション研究ではなく、科学技術の変化や産業構造の変化を伴った根源的なイノベーションのプロセスを理解するための分析枠組みと理論を構築し、先端科学技術と産業の国際競争力の向上をダイナミックに結びつける理論と方法を確立することにある。ビッグサイエンスのリサーチサイトとして、理化学研究所の協力の下、大型放射光施設(SACLAやSPring-8)を取り上げる。本研究では、「科学は社会化され、社会は科学化される」という視角を採用し、世界最先端の大型放射光施設を生み出す産業の実践、その施設を利用する科学技術者の実践、その研究成果を利用する産業の実践のダイナミクスを研究し、科学・技術と産業社会の分業構造が根幹から再編成されるプロセスを分析する。研究3年目となった本年は、これまでの研究蓄積を踏まえつつ、大きく4つの論点についてそれぞれ研究を進めた。第一に、科学と産業の相互影響の歴史に取り組み、これまでに引き続き研究蓄積の整理分析を行うとともに、各分野でのヒアリング調査を中心として、放射光科学の歴史を確認した。第二に、ビッグサイエンスを支えるビジネス・エコシステムの社会的形成、および、第三にビッグサイエンスを媒介にした社会的実践の変化を捉えるため、大型放射光施設に関わる企業のイノベーションを確認した。さらに第4として、地球レベルでのイノベーション・システムの探求に取り組むべく、研究会や学会報告を行い、研究枠組みの精緻化を進めた。
著者
石川 哲也
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.4-8, 2014-02-28 (Released:2014-03-05)
参考文献数
17

SPring-8 Angstrom Compact free electron LAser(SACLA)is the world second X-ray laser which started user operation in 2012. As an introduction of the special issue, here we show how the SACLA project got started. While originated as a tiny R&D program within RIKEN, the SACLA project has been grown to one of the five National Key Technology projects in Japan. SACLA is the first step of the Compact X-ray free electron laser. Further downsizing of the facility is envisaged.