著者
上田 弘則 小山 信明
出版者
日本草地学会
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.255-260, 2007 (Released:2011-03-05)

放牧地のワラビ防除のためにアシュラム剤を散布すると、イノシシに掘り起こされることがある。このような掘り起こしは家畜の餌量を減少させ、雑草の侵入や定着を助長してしまうという問題がある。そこで、アシュラム剤散布と掘り起こしの因果関係を明らかにすると同時に、掘り起こしがワラビの根茎を目的としているのか、また根茎の貯蔵炭水化物含有量と関係があるのかについて野外試験を行った。2003年7月に野草地内のワラビが優占している場所にアシュラム剤散布区と無散布区を設定した。ワラビの地上部が枯死した9月にイノシシの掘り起こしが確認され、散布区で対照区よりも掘り起こし割合が高かった。また、イノシシはワラビの根茎を選択的に掘り起こしていたが、ワラビの根茎の貯蔵炭水化物含量率は散布区と対照区で差はみとめられなかった。
著者
小山 信弥
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.399-399, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)

8月号の特集は「図書館の人材育成」 がテーマです。今回の特集では,国内における図書館の人材育成に絞った内容をお届けします。人材育成に関する話題は,近代化以降,現在に至るまで,永遠のテーマとなっているのは読者の皆様もご承知のことと思います。「グローバル人材育成 推進会議」が政府により設置され,検討がなされていたことは記憶に新しいのではないでしょうか。 その時代時代の要請にあわせて,人材を育てていく必要に迫られ,その要請にあった人材をどう育てていくのかということを日々検討し続けていかなければならない時代となっているように思います。翻って国内の図書館の人材育成については,各方面の団体や協会などにより新しい技術やその活用方法などの研修が行われ努力を続けてはいます。ただ職員の雇用形態の変化や財政的な問題で参加すること事態が難しくなっているという要素もあります。このような問題意識から,今回は人材育成に関する特集を組むことにしました。総論では,首都大学東京の理事の吉武氏に組織設計と人事管理の重要性をふまえ,大学において専門性の高い職員が一層求められるようになりつつある中で,図書館員の育成どうあるべきかについてご執筆をいただきました。慶應義塾大学の関氏には,慶應義塾大学で継続して実施されている図書館職員の海外研修について執筆いただきました。角田氏,長塚氏,原田氏には,鶴見大学で行われています図書館員のリカレント教育について,実際の例を交えながら,意義や課題についてご執筆をいただきました。株式会社エムエムツインズの田邊氏には,現在までの経験や活動をふまえて,インフォプロとして図書館員はどう立ち向かうべきか。どのようなスキルが必要とされるのかなど,人材育成に関する提言をいただきました。最後に,コラムとして長年現場において目録,レファレンスを担当されたお二人から人材育成をテーマにご執筆をいただきました。目録についてはNPO法人大学図書館支援機構の高野氏,レファレンスを元関東学院大学図書館の高梨氏にお願いをしました。本特集が,図書館の人材育成を考える上で参考になれば幸いです。
著者
小山 信明 小川 恭男
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.264-270, 1994-10-31
被引用文献数
3

ネザサの全面開花が生育に及ぼす影響を,阿蘇北外輪山域のネザサ型放牧草地(標高920m)を対象に,1991-1992年にかけて調査した。(1)1991年の出穂稈数は0本/m^2であったが,1992年の出穂稈数は1420-2204本/m^2で全面開花した。(2)最大地上部重は,1991年には274.4-297.5gDM/m^2であったが,1992年は64.5-69.8gDM/m^2で前年の約23%にすぎなかった。(3)地下部重は,1991年の4月には1823-1909gDM/m^2であったが,8月には1776-1897gDM/m^2と少なく,11月には2173-2536gDM/m^2と再び増加した。一万1992年では4-11月にかけて減少し,特に8-11月にかけて多量の枯死がみられた。このため1992年4月21日には地下部生存部分重は1609-2093gDM/m^2あったが,11月13日には24-60gDM/m^2と約2%に減少した。(4)窒素年間吸収量は,1991年では4.40-5.15gN/m^2であった。しかし,1992年は-8.30--10.67gN/m^2で,多量の窒素がネザサから失われた。以上の結果から,全面開花するとネザサの生育は地上部・地下部ともに低下し,更に夏-秋にかけて地下部が多量に枯死し,それに伴ってネザサから多量の貯蔵窒素が失われた。