著者
小山 真理
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 = Journal of Bunka Gakuen University and Bunka Gakuen Junior College (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.69-79, 2017-01

筆者は2016年度より文化学園大学短期大学部において、初めて「文章表現演習」を担当した。これまで留学生を対象とした「日本語」の授業を主に担当してきたため、日本人学生のみの授業はほとんどなく、誤用も留学生とは違うことに気づいた。そこで本稿では、その誤用を洗い出し、日本人短大生の文章表現に関する諸問題を整理して概観した。誤用では「話し言葉」が最も多く、[話すように書く」傾向がはっきりと現れた。それ以外にも、読点が少ないこと、漢字表記や語彙の選択ミスなども目立ち、漢字力や語彙力の不足が明らかになった。しかし、学生へのアンケート調査では、漢字テストを必要だと感じておらず、危機意識が希薄であることがわかった。また、本授業では、学生が作文嫌いにならぬよう、自己理解・他者理解を織り交ぜた教材を作成し、添削を操り返してきた。アンケートでは、全体の9割弱が楽しんで受講でき、全員が少しでも上達したと答え、当初の目的は達成できた。だが、陥りやすい誤用をどう是正するか、語彙力をどうつけさせるかなど課題は多い。今回得た分析結果や問題点を、今後の授業計画・教材開発、指導の一助としたい。
著者
小山 真理
出版者
文化学園大学・文化学園大学短期大学部
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.111-125, 2020-01-31

近年、中国からの留学生が急増し、その影響なのか、以前より抱いていた疑問を強く感じるようになった。そ れは「なぜ中国人留学生は文字を、とりわけ漢字を丁寧に書かないのか」というものだ。その答えを探るため、 まず、日中両国の初等教育における漢字・文字教育を概観し、手書きの書字・字形等について、どのような指導 を受けてきたかを比較した。その上で、漢字・書字に対する意識が、日本語を学ぶ際、どう影響しているかについて、アンケートとインタビューにより分析し考察した。その結果、多くが小学校で厳しく指導され、丁寧な書字、筆順の順守を当然と考えていることがわかった。だが、成長するにつれて筆順を忘れ、自己流の書き方に慣れてくると、改めて日本の漢字を学ぶのは小学生のようだと抵抗感を示した学生も多くいた。さらに、既有の漢字知識があるため、「日本の漢字は少なくて簡単だ」と捉えがちで、特に、集中力や慎重さに欠け、成績の芳し くない学生は文字を乱雑に書く傾向があった。漢字・書字に対する意識に個人差はあるが、日中の漢字の差異は学生自身では気づきにくいことも明らかとなり、教師が注意して訂正させることは、今後も必要不可欠であることが確認できた。
著者
堀内 成子 近藤 潤子 小山 真理子 木戸 ひとみ 大久保 功子 山本 卓二 岩澤 和子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.8-17, 1990
被引用文献数
1 5

本研究は, 妊婦および褥婦の睡眠の主観的評価と睡眠ポリグラフ所見との間の関連性を明らかにすること, および妊婦各期と産褥早期の睡眠推移を明らかにすることを目的に終夜睡眠を分析した.<BR>妊婦11週~37週までの正常妊婦7例と, 産褥1週~7週までの正常褥婦4例を対象とし, 終夜睡眠をポリグラフ装置で連続3夜測定した. 睡眠段階はRechtshaffen & Kalesの判定基準を用いた. 対照群として健康な非妊期の女性4例を選び, 測定した.<BR>その結果, 主観的な睡眠深度経過では, 前半単相性パターンと前半多相性パターンとに分かれ, ポリグラフ所見との間に関係が認められた. 睡眠パラメータでは, 妊婦群が非妊婦群に比べて睡眠率が低く, 特に末期群では眠りが浅くなっていた. 産褥早期には, 妊娠末期よりさらに睡眠率が低かったが, 妊婦末期に比べて%S4は増加の傾向が認められた.
著者
松岡 恵 小山 真理子 近藤 潤子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.33-41, 1988
被引用文献数
1

日本の母性領域における看護の研究の数, テーマ, 研究方法, 結果の分析方法の動向を明らかにする目的で1952年から1985年までに発表された論文356件を規準に従って分類し分析した. <BR>その結果, 研究数は増加し, 特に教育機関と臨床看護者との共同研究が多いことが明らかになった. 研究の焦点はどの年次も妊産褥婦の身体に関するものが最も多いが1980年以降, 父親, 思春期, 妊産褥婦の心理など様々なテーマを取り上げるようになった. 研究方法は, 1960年までは事例に関する報告が60%以上であったが, 1980年以降は調査研究が60%以上を占めるようになった. データ収集方法はどの年次も既存の記録によるものが最も多く, ついで質問紙によるものが多かった. <BR>今後改善が望まれる点は, 研究課題に関する充分な文献検索, 考察の論理的な記述, 統計的手法の活用などであった.