著者
小川 郁
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.219-226, 2006-06-30 (Released:2010-08-05)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

他覚的聴覚検査は音響刺激により外耳から聴覚中枢に至る聴覚伝導路に生じる何らかの誘発反応を検出するものであり, 耳音響放射検査は最も新しい他覚的聴覚検査法の一つである。現在, 臨床において汎用されている他覚的聴覚検査法に聴性電気反応を検出する聴性脳幹反応があるが, 耳音響放射検査は検査音により内耳 (蝸牛) に生じる聴性音響反応を測定するもので, 最近では新生児聴覚スクリーニングに用いられるなど, その応用範囲は拡大している。本稿では他覚的聴覚検査法としての耳音響放射検査について, その適応と検査方法などについて解説した。
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 西尾 信哉 鬼頭 良輔 新田 清一 神崎 晶 小川 郁 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.270-276, 2018-08-30 (Released:2018-09-27)
参考文献数
19

要旨: 一側聾は生活面の QOL の低下とハンディキャップを有しているため,医学的介入が試みられている。CROS (Contralateral Routing Of Signals) 型補聴器や埋め込み型骨導補聴器が施行されているが, 装用感や音源定位に関して不良の報告が多い。ヨーロッパではすでに一側聾に耳鳴りを伴った症例に対し人工内耳埋め込み術が施行され, CE (Communauté Européenne)-mark を取得している。そこで国内4施設において共同臨床研究「同側に耳鳴を伴う一側高度または重度感音難聴に対する, 人工内耳の装用効果に関する研究」を施行し, 当院にて1症例を経験した。術後4年経過した現在においても, 雑音下の語音聴取と方向感, 耳鳴りの改善が持続して認められており, 自覚的評価も良好である。一側聾症例における両耳聴効果をさらに実現するため, 今後一側聾に対する人工内耳埋め込み術の導入が期待される。
著者
前川 明日彩 細谷 誠 片岡 ちなつ 新井 雄裕 浅野 和海 森 隆範 野口 勝 神崎 晶 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.150-156, 2019-04-28 (Released:2019-06-01)
参考文献数
6

要旨: 当院で人工内耳手術を施行し, 定期的な診療を続けている成人人工内耳装用者17名を65歳以上の高齢群と65歳未満の若年群に分け, 手術前後に実施した東大式エゴグラム (Tokyo University Egogram, 以下 TEG) の結果について検討を行った。 さらに, 失聴期間2年未満群と2年以上群での検討も行った。 全症例及び高齢群で, 術後「他者本位・自己抑制的・自己否定的」な傾向が低下した。 若年群では「自由・積極的・自己肯定的」な傾向に上昇する様子がみられた。人工内耳を装用して音を聴取することで, 高齢者はより自律的に, 若年者はより能動的になる傾向があると考えた。 失聴期間別の検討では, 失聴期間2年以上群で, 術後の「他者本位・自己抑制的・自己否定的」な傾向が低下した。音が聴取可能になり活気が出たため, 抑制的な自我状態が軽減したと推察した。高齢者や失聴期間の長い症例においても, 人工内耳導入により自己否定傾向を軽減させる効果があると考えられた。
著者
富里 周太 大石 直樹 浅野 和海 渡部 佳弘 小川 郁
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.7-11, 2016

吃音は社交不安障害などの精神神経疾患や発達障害が併存しうることは指摘されているが,これらの併存疾患に関する本邦からの報告はいまだ少数である.そのため,本邦における吃音と併存疾患との関連を検討することを目的に,2012年と2013年に慶應義塾大学耳鼻咽喉科を受診し吃音と診断された39症例について,併存する精神神経疾患および発達障害の有無を調べ,性別,年齢,発吃年齢,吃音頻度との関連を後方視的に調査した.<br>併存する精神神経疾患として,気分障害(うつ,適応障害),強迫神経症,てんかん,頸性チックの合併を全体の15%に認めた.発達障害の併存は,疑い例や言語発達障害のみの症例を含め18%に見られた.発達障害の有無によって吃音頻度,性別,年齢に有意差は見られなかったが,発吃年齢は発達障害併存群で有意に高い結果だった.吃音は発達障害が併存することにより,発達障害を併存しない吃音とは異なった臨床経過を示す可能性が示唆された.
著者
小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.50-56, 2018-02-28 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22

要旨: 耳鳴の発生機序がまったく推測の域を出ていないことや耳鳴の他覚的検査法が確立されていないことなどから, 耳鳴診療に関してはいまだ大きな課題が残されている。 本稿では最近普及してきた耳鳴に対する新しい治療戦略である補聴器による音響療法について概説した。 近年, サウンド・ジェネレータを用いた tinnitus retraining therapy (TRT) に比べて補聴器による音響療法で耳鳴による苦痛度がより軽減するとされている。 しかし, 補聴器による音響療法の有効性についてのエビデンスはまだ多くはない。 国内外での補聴器による音響療法についての報告をまとめ, 今後の展望について述べた。
著者
平賀 良彦 大石 直樹 小島 敬史 和佐野 浩一郎 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.125-130, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
20

側頭骨の放射線骨壊死(ORN)は放射線照射後に生じる晩発性障害の一つで、しばしば治療に難渋する。今回我々は放射線照射後の難治性中耳炎に対し、中耳根本術に側頭筋弁での充填と外耳道閉鎖術を併用した手術(充填型中耳根本術)を施行することで耳漏を停止することができた症例を経験した。症例は74歳、女性。X-17年に頭蓋内軟骨性骨肉腫に対し手術および放射線治療後に難治性の左慢性中耳炎を発症し左難聴は徐々に進行し聾となった。持続する耳漏に対してX年に乳突削開術および鼓室形成術wo型を施行したが耳漏の改善は認めなかった。そこで、X+2年に充填型中耳根本術を施行したところ耳漏を停止することができ、患者のQOLを大きく改善することができた。本術式はORNに伴う難治性中耳炎に有効な術式である可能性が示唆された。
著者
佐藤 美奈子 松永 達雄 神崎 仁 小川 郁 井上 泰宏 保谷 則之
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.192-197, 2001-03-20
被引用文献数
8 5

突発性難聴の重症度分類は, 初診時の5周波数平均聴力レベルを4段階に分類し (Grade 1: 40dB未満, Grade 2: 40dB以上60dB未満, Grade 3: 60dB以上90dB未満, Grade 4: 90dB以上), めまいのあるものをa, ないものをbとして, 初診時に突発性難聴のグレーディングを行う方法である. しかし臨床データによる研究は少なく, その有用性・問題点については未知の部分が多い.<BR>本研究では, 発症後1週間以内に治療を開始した初診時聴力レベル40dB以上の突発性難聴263例を, 前述の重症度分類に基づき6群に分類, 聴力回復との関係を検討した. 固定時聴力の比較では, 予後良好な順にGrade 2b>2a>3b>3a>4b>4aであった. 初診時聴力レベルに影響を受けない予後の定量的評価の方法として, 聴力改善率と各群の治癒症例の割合を用いて検討すると, 予後は良好な順に, Grade 2b, 3b>2a>3a>4b>4aの5段階に位置づけられ, Grade 4aの予後が顕著に不良であった. Grade 2, 3では, 初診時聴力レベルよりめまいの有無の方が予後に対する影響が大きいと考えられた. Grade 4を聴力レベル100dBで分けた場合の聴力予後は, 4aでは100dBを境に大きな差が見られ, 100dB未満の4aは3aと同程度であった. しかし4bでは, 100dB以上の予後がやや悪いものの, その差は小さかった. 今回の検討により, 発症後1週間以内に治療を開始した突発性難聴では, 初診時聴力にかかわらず, ほぼ同程度の聴力改善が望めるレベルが存在し, このレベルはめまいのない場合40-89dB, めまいのある場合60-99dBであると考えられた. 各々の予後は, めまいのない場合, 治癒する可能性約60%, 聴力改善率平均80%以上, めまいのある場合, 治癒する可能性約40%, 聴力改善率平均60%程度と推察された. また, 初診時Gradeと重症度分類に準じた固定時Gradeを比較すると, 初診時Grade 2, 3では, 固定時Grade 1, Grade 4では, 固定時Grade 3の症例が多かった.
著者
富里 周太 大石 直樹 浅野 和海 渡部 佳弘 小川 郁
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.7-11, 2016 (Released:2016-02-23)
参考文献数
12

吃音は社交不安障害などの精神神経疾患や発達障害が併存しうることは指摘されているが,これらの併存疾患に関する本邦からの報告はいまだ少数である.そのため,本邦における吃音と併存疾患との関連を検討することを目的に,2012年と2013年に慶應義塾大学耳鼻咽喉科を受診し吃音と診断された39症例について,併存する精神神経疾患および発達障害の有無を調べ,性別,年齢,発吃年齢,吃音頻度との関連を後方視的に調査した.併存する精神神経疾患として,気分障害(うつ,適応障害),強迫神経症,てんかん,頸性チックの合併を全体の15%に認めた.発達障害の併存は,疑い例や言語発達障害のみの症例を含め18%に見られた.発達障害の有無によって吃音頻度,性別,年齢に有意差は見られなかったが,発吃年齢は発達障害併存群で有意に高い結果だった.吃音は発達障害が併存することにより,発達障害を併存しない吃音とは異なった臨床経過を示す可能性が示唆された.
著者
小川 郁 神崎 仁 小川 茂雄 土橋 信明 井上 泰宏 山本 美奈子 池田 俊也
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.1-8, 1991
被引用文献数
7

For the purpose of clarifying the clinical features of perilymphatic fistula, we investigated the clinical symptoms, tests results and therapeutic results in 24 recent patients with perilymphatic fistula. The inducing factors of perilymphatic fistula, such as blowing the nose, landing in an airplane or diving were found in about half of the patients, while, the other patients had no inducing factors. Hearing loss was the most common symptom, which occurred suddenly in most patients. There was no characteristic tinnitus of the perilymphatic fistula. Pop sound and tinnitus expressed as a stream were observed in only 10% of the patients. Audiogram showed profound deafness in many patients and the configuration of audiogram varied from patient to patient. Positional nystagmus was observed in 33.3% of the patients. Fistula sign was also observed in 50% of the patients. Perilymphatic fistula was commonly found in the round window. Hearing was improved in 5 patients (20.8%) postoperatively. Tinnitus was improved in 7 out of 22 patients (31.8%), and blocked sensation in the ear was improved in 5 out of 14 patients (35.7%). Vertigo or disequilibrium was diminished in 18 out of 21 patients (85.8%). From these results, we contemplated the diagnostic and therapeutic problems in perilymphatic fistula.
著者
五島 史行 堤 知子 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.8, pp.953-959, 2013-08-20 (Released:2013-10-09)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

片頭痛関連めまいは通常型の片頭痛とめまいが共通の病因によって生じると考える疾患単位として提唱されたものである. 原因不明の反復性めまい患者には片頭痛関連めまいが含まれていると考えられる. 本邦における片頭痛関連めまいの臨床像を明らかにするため, 外来めまい患者を対象に検討を行った. 片頭痛関連めまいの診断基準として, めまい発作の反復, 国際頭痛分類の診断基準を満たす片頭痛を有するか, 既往がある, めまい発作に同期して, 片頭痛の症候 (片頭痛性頭痛, 音過敏, 光過敏, 閃輝暗点) があったことがある, 一側性の関連を想定させる難聴がない, 他の疾患が除外できる, を用いた. 553名のめまい外来患者のうち片頭痛関連めまいと診断した症例は46例 (8.3%) であった. 典型的な片頭痛関連めまい患者の臨床像は, 30~40台の女性であり, めまいを発症する以前から片頭痛を発症し, 1~10年前から年に一度程度の, 頭痛を随伴した1~24時間程度続く回転性+浮動性のめまいを認める症例である. 片頭痛関連めまいの診断基準に難聴のある症例を含めるかどうかについてはメニエール病との鑑別の問題もあり, 議論がある. めまいを反復し難聴を認め, 片頭痛を合併した症例の扱いについては今後の検討が必要である.
著者
中川 雅文 小川 郁男
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.445-455, 2018 (Released:2018-07-01)
参考文献数
34

PURPOSE: The hearing level and cognitive function were examined in 174 elderly persons admitted to a nursing care facility using the Auditory Checker (JB electronics.inc, Japan). The Auditory Checker is a screening tool that can evaluate pure-tone hearing level up to 1000 Hz and speech discrimination and sentence understanding; the results are expressed in terms of the auditory cognitive score. The baseline score and the score after one year were compared using a statistical approach. The background factors of the subjects, such as the age, sex, degree of disability, and MMSE-J scores were also evaluated by statistical methods.RESULTS: The results revealed a significant positive correlation between the auditory cognitive score and the MMSE-J score. Factors such as the age, gender, degree of need for long-term care, presence/absence of brain disease, etc., had no significant influence on the auditory perception.CONCLUSION: It was useful for the functional screening of hearing acuity and cognitive function in case that had the hearing loss conducted prior to cognito-psycho test batteries. It is useful to conduct functional screening of the hearing acuity and cognitive functions prior to administration of cognito-psycho test batteries in patients with hearing loss. The Auditory Checker is useful for evaluating the hearing ability and auditory perception of elderly people who need long-term care. When evaluating hearing-impaired elderly people whose cognitive function is significantly reduced, it is useful to use the MMSE-J, Barthel Index, motivation score, etc. (VI) It is also desirable to use internationally recognized test batteries. An outline of the test batteries and their application method are outlined. It is an urgent need to establish a screening system for hearing and auditory perception in elderly people.
著者
小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.113-117, 2011 (Released:2011-05-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

耳鳴の発生機序がまったく推測の域を出ていないことや耳鳴の他覚的検査法が確立されていないことなどから, 耳鳴診療に関してはいまだ大きな課題が残されている。本稿では最近普及してきた耳鳴に対する新しい治療戦略であるtinnitus retraining therapy (TRT) と, その中心的役割を担っている音響療法について概説した。サウンド・ジェネレータを用いた音響療法を施行した症例では約80%が苦痛度の軽減を自覚している。しかし, TRT単独では満足できる効果が得られない場合も多く, うつや不安傾向が強い場合は精神神経科と協力して適切な抗うつ薬, 抗不安薬を併用し, ストレスに対する否定的評価傾向が強い場合には認知行動療法を, 緊張や疲労感, 不眠が強い場合は自律訓練法などのリラクゼーション法を併用すべきである。今後, 音響療法をより普及させる必要があるとともに, 最終的には耳鳴に対する耳鳴治療薬の開発が期待される。耳鳴診療の高いハードルを越えることは我々のこれからの重要な責務であり, 耳鳴患者のドクターショッピングをなくすためにもこの領域の研究が一層進歩することを期待したい。
著者
稲垣 洋三 坂本 耕二 井上 泰宏 今西 順久 冨田 俊樹 新田 清一 小澤 宏之 藤井 良一 重冨 征爾 渡部 高久 山田 浩之 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.912-916, 2011 (Released:2012-01-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

[背景] 甲状腺乳頭癌 (以下PTC) の頸部リンパ節転移の診断法としては画像検査や穿刺吸引細胞診 (以下FNAC) が一般的であるが, 原発巣が微細でかつ頸部リンパ節転移が単発嚢胞性の場合には診断に苦慮することがある. このような症例には穿刺液中サイログロブリン (以下FNA-Tg) 測定が有用といわれているが, PTC転移以外の嚢胞性病変も含めた検討は少ない. 今回われわれは, PTC転移およびそれ以外の頸部嚢胞性病変のFNA-Tgを測定し, PTC転移に対する補助診断としての有用性を検討した. [対象] 2006年7月~2009年2月に頸部嚢胞性病変またはPTCの嚢胞性頸部リンパ節転移を疑う病変に対し, 手術を施行し病理組織学的診断が確定した17例. [方法] 超音波ガイド下に (一部症例は術後検体より) 穿刺採取した嚢胞内容液のFNA-Tg値を測定し, FNACおよび病理診断との関係について検討した. [結果] FNA-TgはPTC転移例のみ異常高値を示したのに対し, 側頸嚢胞例では測定感度以下, 甲状舌管嚢胞例では血中基準値範囲ないし軽度高値であった. [結論] FNA-Tg高値はPTC転移を示唆する有力な所見で, 特にFNACで偽陰性を示すPTC嚢胞性リンパ節転移と側頸嚢胞との鑑別に有用であった. FNA-Tg測定の追加によりFNAC施行時に新たな侵襲を加えずに術前正診率を向上させられる可能性が示唆された.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010 (Released:2011-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
7 5

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.
著者
松田 裕子 大塚 理恵子 伊藤 剛 小川 郁夫 佐藤 豊 瀧原 道東 加治 弘 迫田 寛人 竹本 寛 松永 義則 森 昭夫 山岡 義生 井上 潔
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2287-2292, 1985-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.
著者
五島 史行 矢部 はる奈 小川 郁
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.315-320, 2009 (Released:2010-12-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Introduction: Treatments for acute peripheral vertigo have not been well investigated. The most suitable drug for controlling acute vertigo should suppress both vertigo and accompanying nausea. The purpose of this study was to evaluate the effect of four different drugs on acute peripheral vertigo: (A) hydroxyzine hydrochloride (25 mg, i.v.); (B) 0.5% metoclopramide (2 ml, i.v.); (C) sodium bicarbonate (40 ml, i.v.); and (D) a cocktail of diphenhydramine hydrochloride (30 mg) and dyprophylline (26 mg) (both i.m.). Methods: Forty-two patients with acute peripheral vertigo (average age: 59.5±18.1 years) with spontaneous nystagmus were assigned to four treatment groups (A-D, above). Patients with central vertigo and vestibular neuritis were excluded. The number of patients in each group was as follows: A, n=11; B, n=11; C, n=11; and D, n=9. Patients were instructed to evaluate their subjective symptoms of nausea and vertigo before and 30 minutes after drug treatment. They rated the severity of their symptoms on a 0-to-10 scale, with 10 representing the most severe symptoms and 0 a lack of symptoms. Results: Group A patients (hydroxyzine hydrochloride; 25 mg, i.v.) reported the highest level of relief from vertigo and nausea after drug treatment, whereas group C (sodium bicarbonate; 40 ml, i.v.) and D (diphenhydramine hydrochloride (30 mg)-dyprophylline (26 mg) cocktail; i.m.) patients reported only the slight relief of these symptoms. Group B patients (0.5% metoclopramide; 2 ml, i.v.) experienced partial symptom relief; their vertigo remained unchanged. Thus, hydroxyzine hydrochloride (A) was the most effective in controlling both nausea and vertigo, whereas sodium bicarbonate (C) and diphenhydramine hydrochloride and dyprophylline (D) only slightly suppressed vertigo and nausea. Metoclopramide (B) only suppressed nausea. Conclusions: Hydroxyzine hydrochloride (A) was the most suitable for treating acute peripheral vertigo. Doctors should be familiar with the contraindications of these drugs. Some of these drugs may potentially be used in combination to control the symptoms of acute vertigo more effectively.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010-09-20
被引用文献数
2 5

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.