著者
八木 拓磨 井上 達朗 小川 真人 岡村 正嗣 島田 雄輔 平郡 康則 岡田 梨沙 岩田 脩聡
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12148, (Released:2022-05-20)
参考文献数
29

【目的】回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟に入棟した患者のサルコペニアが実績指数に与える影響を明らかにすること。【方法】2019年5月~2020年6月に単一の回リハ病棟に入棟した65歳以上の連続症例128例。主要アウトカムは日常生活動作能力の改善度を示す実績指数とした。サルコペニアと実績指数の関連について重回帰分析を実施した。【結果】対象者(平均年齢81.5歳)のうちサルコペニアの有病率は76.6%であり,サルコペニア群の実績指数は非サルコペニア群と比較して有意に低値を示した(サルコペニア群:42.2 vs.非サルコペニア群:52.2, p=0.039)。重回帰分析の結果,サルコペニアは独立して実績指数と関連していた(β=−20.91, p=0.003)。また,Skeletal Muscle Mass Index(β=−18.82, p=0.008)が独立して実績指数と関連していた。【結論】回リハ病棟入棟患者のサルコペニアは実績指数の独立した予測因子であった。
著者
小川 真人 北垣 和史 小野 くみ子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.349-355, 2010-08-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
21

【目的】定期的運動習慣の違いが,安静時および間欠的無酸素性運動後の回復時における心臓自律神経系活動に与える影響を明らかにすることである。【方法】対象者は定期的に運動を行っている健康大学生24名(年齢20.6 ± 1.2歳),および定期的な運動習慣を持たない健康大学生26名(年齢21.6 ± 0.9歳)の計50名であった。測定項目は,心拍数,心拍変動,運動反復回数,運動反復時間であった。運動様式は,高さ15 cm,23段の階段の全力駆け上がり,その後20秒休息を1クールとし,これを80% HR reserveに至るまで繰り返し実施した。【結果】安静時では,運動習慣を有さない群と比較して運動習慣を有する群は心拍数は有意に低く,心臓副交感神経系活動は有意に高値を示した(各々p < 0.05)。間欠的無酸素性運動後の回復期30分において,心拍数は,運動習慣を有する者の回復が有意に早く(p < 0.05),心臓副交感神経系の活動は運動直後と回復期30分を比較したとき,運動経験を有する群で有意に上昇(p < 0.01)した。しかし,心臓交感神経系活動の経時的変化に有意差はみられなかった。【結論】運動習慣を有する者の安静時心拍数の低下,運動後の心拍数の早期回復には,心臓副交感神経系の活動が大きく関与していることが示唆された。
著者
〓 相哲 小川 真人 勝田 正文
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-57, 1999-03-31
参考文献数
6

The MH refrigeration systems are regarded as important and compact ones for solving energy and environmental issues. Our purposes are to develop the compact refrigeration system for the vending machine and the show case using MH, and to attain a refrigeration temperature of 243K by using a heat source of 403&sim;423K.<br>The kinetics of MH hydriding and dehydriding reactions is of importance relative to their practical use as a refrigerator system. The kinetics of the reaction between hydrogen and MH<sub>High</sub> (Ti<sub>0.18</sub>Zr<sub>0.84</sub>Cr<sub>1.0</sub>Fe<sub>O.7</sub>Mn<sub>0.3</sub>Cu<sub>O.057</sub>)has been followed in this paper. A relatively rapid absorption of hydrogen takes place for values of relative composition to about 0.3&sim;0.4. It is evident that a hydrogen diffusion plays a minor role during this stage, as that part of the metal not covered by hydride is always in contact with hydrogen. The direct chemical reaction between the hydrogen and the exposed metal surface is therefore postulated as the rate-controlling process. The rate of the reaction then decreases, and for values of relative composition above about 0.8, the reaction becomes slow. After the metal particles have been completely covered by a hydride layer, the transport of materials through the layer by diffusion becomes rate controlling process
著者
小川 真人 高橋 登
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.85-94, 2012-03-20 (Released:2017-07-27)

本研究では,「心の理論」とふり遊び,役割遊びの関係について実験的に検討した。モジュール説が想定するようにふりと「心の理論」が同一のメカニズムで説明可能であるとすれば,ふり遊びと心の理論との間に直接の関連が見られるであろうし,理論説やシミュレーション説が妥当であるとすれば,その間に直接の関連は見られないであろう。ただし,シミュレーション説による説明が妥当なものであるとすれば,ふり遊びは役割遊びを可能にすることを通じて「心の理論」の獲得を助けるであろう。本研究では,実験1において誤信念課題を実施し,あわせてふり遊びと役割遊びの課題を実施することで,「心の理論」とふり遊び,役割遊びの間の関係を実験的に検討し,実験2では,短期縦断的にふり遊びと役割遊びを子ども達に経験させ,それが子どもたちの「心の理論」獲得を助けることになるのか検討した。結果,実験1ではふり遊びと「心の理論」の関連は見られず,役割遊びにおいてのみ「心の理論」との関連が見られた。また,ふり遊びと役割遊びにおいても関連が見られた。さらに実験2ではふり遊び訓練の効果は見られず,役割遊びを訓練的に行うことで「心の理論」課題の得点が高くなった。本研究では,ふりにおける物の見立てや,現実とふりの区別と「心の理論」との関連は見られず,役割遊びにおいて他者の視点に立ち,そこで他者の感情や行動を考えることが「心の理論」と関連すると考えられた。
著者
小川 真人 坪井 康典 杜 隆嗣 林 女久美 丸山 孝樹 三輪 雅彦 黒坂 昌弘 平田 健一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.D4P1185-D4P1185, 2010

【目的】<BR>近年、急性心筋梗塞(AMI)患者の在院日数は短縮傾向にあるが、一方、二次予防を含めた包括的心臓リハビリテーションが重要視されている。AMIの有酸素性運動の処方強度としては嫌気性代謝閾値(AT)レベルが推奨されているが、これは心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いなければ判定出来ない。その一方、運動強度が低すぎると効果が十分でないことが言われている。当院では、安全かつ効率的な心臓リハビリテーションプログラムを作成することが重要であると考え、最終的にはBorg Scale13程度でのトレッドミル歩行30分を退院時運動処方の目標としたAMIプロトコルを平成21年5月より運用開始したので、報告する。<BR><BR>【方法】<BR><B>対象</B><BR>平成21年5月~9月に、AMIを発症後、当院において経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行された24名(年齢 64.0±13.6歳 Peak CPK 1940.3±1373.0 IU/l)。 <BR><B>プロトコル進行基準</B><BR>自覚症状の急性増悪/HR<120bpm/Lown分類:4a以内/2mm以上のST低下(水平型・下降型) 著明なST上昇がないこと/立位保持までは収縮期血圧変動<20mmHg(心タンポナーデリスクが高いと判断された場合には、主治医許可があるまで、血圧コントロールは継続すること)。<BR><B>運動負荷基準</B><BR>自転車エルゴメーターを用い、40~60%体重(BW) Watt×20分から開始。進行基準を満たしていることに加えて、運動処方中のSBPが増加しており、Borg Scale 14未満であれば、処方強度を20%BW Watt/日ずつ、処方時間は30分に増加した。エルゴメーター負荷によって確定した、Borg scale13の心拍数(HR)をトレッドミルでの処方強度とした。<BR><B>検討項目</B><BR>トレッドミル歩行達成率、平均トレッドミル歩行速度、平均処方HR<BR><BR>【説明と同意】<BR>対象者には当院の心臓リハビリテーションプログラムについて医師、理学療法士より説明の上、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR>トレッドミル歩行達成率は70.8%(17/24例)であった。未達成理由としては、プロトコル進行基準抵触群が12.5%(3/24例)、患者希望の早期退院群が16.6%(4/24例)であった。トレッドミル歩行平均速度4.4±1.3km/h、平均処方HR 101.2±13.3bpmであった。心事故発生件数は0件であった。<BR><BR>【考察】<BR>呼気ガス分析装置を用いないトレッドミル歩行導入プロセスを作成した。呼気ガス分析による正確な嫌気性代謝閾値の判定が出来なかったが、心事故を起こすことなく、プロトコル運用が可能であった。このことは、当院の運動負荷プログラムは呼気ガス分析を用いることが出来ない環境においても十分に実用的に運用し得るものであると考えられる。今後呼気ガス分析を使用し、現在の運動負荷基準や経時的に変化する主観的運動強度について検討、再考することが必要であると考えられる。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>AMIの早期運動処方に際し、心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いず、運動負荷プログラムを実施したが、心事故は発生せず、安全にプログラムを遂行し得た。