著者
唐 鈺穎 小野 はるか 小川 祐子 小澤 美和 田巻 知宏 大谷 弘行 清藤 佐知子 鈴木 伸一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.169-177, 2021 (Released:2021-05-21)
参考文献数
27

【目的】対象者の属性を調整した場合,乳がん患者である母親の抑うつ・不安と家族機能が子どものQOLに影響を及ぼすかどうかを検討する.【方法】交絡因子となる対象者の属性別にサブグループに分けて,抑うつ・不安と家族機能を独立変数,子どものQOLの合計得点を従属変数とした2要因分散分析を行った.【結果】各属性のサブグループにおいて,母親の抑うつが高い場合は母親の抑うつが低い場合よりも子どものQOLが有意に低いことが示された.きょうだいの有無のサブグループ,母親の化学療法の受療有無のサブグループにおいて,家族機能による子どものQOLに差異がみられた.【結論】今後,子どもを持つ乳がん患者の家庭を支援する際に,子どものきょうだいの有無や乳がん患者の化学療法の受療有無などといった属性も考慮したうえで,母親の心理状態と家族機能にアプローチする必要があると考えられる.
著者
小関 俊祐 伊藤 大輔 小野 はるか 木下 奈緒子 栁井 優子 小川 祐子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.15-28, 2018-01-31 (Released:2018-06-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3

本研究の目的は、日本の認知行動療法の実践家を育成するために不可欠と考えられる教育研修内容を明らかにすることであった。まず、国内外の認知行動療法家4名によって、英国認知行動療法学会が認証した大学の35の研究科を対象に、教育内容項目が網羅的に収集された。次に、国内外の認知行動療法家7名によって、英国におけるガイドラインにおける教育カテゴリーと日本での教育制度の状況を参照しながら、収集された580項目の教育内容について、分類・整理が行われた。その結果、最終的に、3カテゴリー、62項目が得られ、日本の認知行動療法の教育内容リストが作成された。今後、本研究を基盤として、教育研修内容を構成することが求められる。
著者
久保田 修 落合 巧 小川 祐子 横山 明子 長尾 住代 松下 重子 高橋 芳子 今坂 純奈 木部 美帆子 野中 佳子 村松 富子 佐藤 五夫
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.626-632, 2010 (Released:2013-07-31)
参考文献数
19
被引用文献数
2

目的:適切なBMIを維持する事が健康長寿にとって重要であるので,どのような生活習慣がBMIに関連するのかを明らかにする.方法:当院健診センターを受診した6,826人を対象とし,生活習慣に関する質問事項と計測したBMIの関連性について統計学的に比較検討した.結果:年代別BMIの分布では男性では30~50代の中年層で高く,女性では20代と30代の若年層で低い傾向がみられた.男女とも食べる速度が速い群と遅い夕食を摂る群でBMI高値であったが,運動習慣や睡眠の満足度との関連性は認めなかった.男性では夕食後に間食がある群と3合以上飲酒する群でBMIが高く,喫煙者,日常生活での身体活動がある群,歩行速度が速い群,毎日飲酒する群で低値であった.女性では朝食を抜く習慣がある群でBMIが高値であった.結論:保健指導においては,禁煙,運動,適度な飲酒などはもちろんのこと,ゆっくり食べることと遅い時間に食事を摂らないことを指導することが特に重要である.
著者
鈴木 伸一 小関 俊祐 伊藤 大輔 小野 はるか 木下 奈緒子 小川 祐子 柳井 優子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.93-100, 2018-05-31 (Released:2019-04-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究の目的は、英国のCBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法を明らかにすることであった。英国認知行動療法学会のLevel 2認証を得ているCBTトレーニングコースのカリキュラム責任者を対象に、CBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法に関する調査を実施した。その結果、英国認知行動療法学会のLevel 2の認証を受けたトレーニングコースにおいては、おおむねガイドラインに沿った包括的な教育がなされていた。特に、治療関係の構築やクライエントの個別性への対応、およびスーパービジョンの有効活用などについては、現場実習における実践的なトレーニングが重視されていることが明らかになった。最後に、本研究の結果を日本のCBTトレーニング・ガイドライン策定にどのように活用していくかについて考察された。
著者
小関 俊祐 伊藤 大輔 杉山 智風 小川 祐子 木下 奈緒子 小野 はるか 栁井 優子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.61-72, 2022-01-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
11

本研究の目的は、栁井他(2018)のコンピテンス評価尺度を用いて、臨床心理士養成大学院の大学院生の自己評価と教員による他者評価を行うことでCBTコンピテンスの実態把握と、2時点調査による教育に伴うコンピテンスの変化について基礎的な知見を得ることであった。臨床心理士養成大学院の臨床心理学コースに在籍中の修士課程2年の大学院生、および同大学院においてCBTに関連する講義・実習などを担当している大学専任教員を対象に、X年7月とX年10月の2回にわたって縦断調査を実施した。1回目の調査では教員29名と大学院生87名、また2回目の調査では教員27名と大学院生67名が分析対象となった。本研究の結果から、日本の大学院生におけるCBTコンピテンスの実態に関する基礎的データが得られた。そして、日本のCBTの質保証に向けた今後の取り組みとその課題について論じられた。