- 著者
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小杉 正太郎
大塚 泰正
- 出版者
- 公益社団法人日本産業衛生学会
- 雑誌
- 産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.3, pp.55-62, 2001-05-20
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
-
8
我々は1980年以来, 総計約10,700名の従業員を対象として, 積極的メンタルヘルス活動に依拠する心理カウンセリングサービスを展開している. 我々のカウンセリング方法は, 心理ストレスモデルに基づくものであり, 以下の3段階に分割される. 第1段階は, 職場ストレス・スケール(JSS)による一斉調査である. 一回の調査は500名程度の従業員を対象として実施され, 調査結果は, 結果通知表によって社内便により全従業員に通知される. 第2段階は, 不適応状態にある従業員に対して実施される半構造化面接である. 面接対象となる従業員は, JSSの心理的ストレス反応得点によって判断される. 面接者は, JSSの構成要因, すなわち, 職場ストレッサー, コーピング方略, ソーシャル・サポート, 心理的ストレス反応, のそれぞれについて被面接者に説明を行う. 第3段階は, 心理カウンセリングである. カウンセリングの対象となる従業員は, 以下の基準により判断される. 1)来室者自らがカウンセリングを希望する場合, 2)精神疾患が疑われる場合, 3)職場ストレッサーが低得点であるにもかかわらず, 心理的ストレス反応が高得点である場合, 4)家庭における問題が認められる場合. これら4段階を踏襲することによって, 従業員のカウンセリングに対する抵抗を低減することが可能となると考えられる.