著者
佐藤 茂 吉岡 俊人 小杉 祐介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.長寿命カーネーションの探索と解析カーネーションの花の老化には,エチレンが主要な役割を果たしている.花の自然老化時には,最初に雌ずいでエチレンが生成し,このエチレンが花弁に作用して,花弁における自己触媒的エチレン生成と花弁の萎れを誘導する.国内育成品種‘ホワイトキャンドル(WC)'ほか数品種を長寿命品種として明らかにし,‘WC'を用いて,長寿命性の分子機構を解析した.‘WC'では雌ずいにおけるACC合成酵素遺伝子(DC-ACS1)の発現活性が低下していることを見いだし,雌ずいにおいて,花の老化のトリガーになるエチレンが生成されないことが‘WC'の長寿命性の原因とであることを明らかにした.2.カーネーション花弁の萎れに関与するCPase遺伝子の解析カーネーション花弁の萎れは,細胞構成成分の分解と引き続く細胞の崩壊によって引き起こされる.これらの過程には,プロテアーゼ,グリコシダーゼ,リパーゼ,ヌクレアーゼなどの加水分解酵素が機能している.プロテアーゼの1つとして,システインプロテアーゼ(CPase)の関与が指摘されていた.既知のCPase遺伝子(DC-CP1)と異なるCPase遺伝子を取得しDC-CP2とした.花弁細胞の老化時におけるDC-CP1とDC-CP2遺伝子の発現解析を行い,さらに両遺伝子のプロモーター領域を単離し,発現調節に関与する塩基配列を明らかにした.3.カーネーション花弁の‘萎れ(wilting)'と‘萎縮(fading)'の解析カーネーション花弁の老化には,エチレンの作用によって引き起こされる萎凋‘wilting'と,エチレンの作用なしに起こる萎縮‘fading'の2つのタイプがあることを明らかにした.さらに,両過程における,DC-CP1遺伝子とシステインプロテアーゼ遺伝子(DC-CPIn)の発現を解析した.
著者
松井 年行 奥田 延幸 小杉 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.499-503, 2002-07-15
被引用文献数
1

カイラン20品種の遺伝的関係を12種類の12塩基プライマーと, それら2種類のプライマーを組み合わせて用いたRAPD法により検討した.DNAフィンガープリントの多型性によってカイランの品種は3グループに分類された.第1グループは9品種で, 'Large leaf kailaan'(圓葉白花)の様な白花で縮葉の品種群(8品種)並びに白花か黄花である'Nanjing huanghua (huang)'(南京黄花(黄))の品種群(1品種)を含んでいた.第2グループは6品種で, 'Huanghualenye'(黄花)の様な黄花で濃緑葉の品種群(2品種)と'Huanghuagelin'(黄花格林)の様な黄花で淡緑の品種群(4品種)に分類された.第3グループは5品種で, 白花か黄花の品種の'Nanjing huanghua (bai)'(南京黄花(白))と'Hei'(黒)や'Small leaf kailaan'(尖葉白花)の様な白花で平滑葉の品種群(4品種)に分類された.また, 白花カイランが中国本土から台湾へ広がる過程で, 黄花カイランへ分岐したことが示唆された.