著者
小松 加代子
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-78, 2009-03-01

Kwan Yin 観音is introduced from Buddhism to describe “Holy Spirit” in Christian theology by some Asian Women Theologians. Doing theology is a political activity and everyday “praxis” for Asian Women. Kwan Yin is one of the symbols they have created to mediate between their own experience and Christian teachings. Kwan Yin is also believed to be rooted in the ancient Goddess worship that permeates through East Asian countries. This paper will examine the meaning and the role of the Kwan Yin metaphor in the Asian Women’s Theology and how far this symbolic intertextuality may be developed.
著者
小松 加代子
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.No.5, pp.43-54, 2013-03-01

フェミニスト・スピリチュアリティとは1960 年代に始まった女性たちの宗教を求める運動である。このフェミニスト・スピリチュアリティの運動の核心にあるReclaim(取り戻す)という言葉に注目し、神学者で哲学者のメアリ・デイリー(Mary Daly)と、魔女として幅広い活動をしているスターホーク(Starhawk)を取り上げる。フェミニスト・スピリチュアリティは歪められた物語の中から力を「取り戻し」、不完全な宗教的伝統を創りなおし、完全なものへと近づけることを目指しており、それは聖なるものを癒すことにもなるだろう。“Feminist Spirituality” is part of the women’s movement that aims to create a religion based on feminist values. In this paper, the meaning of this movement’s the core-term “to reclaim” will be discussed with reference to Mary Daly, a theologian and philosopher, and Starhawk, a witch and activist. “Feminist Spirituality” has been trying to reclaim power from distorted religious myths and recreate incomplete religious traditions and heal the divine.
著者
小松 加代子
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.51-61, 2015-03-01

スピリチュアルではあるが宗教的ではないという言葉を手掛かりに、世俗化、個人化、という言葉だけでは説明できない現代宗教の捉え方を考える。既成の宗教団体への所属数や儀礼への参加者数の減少が指摘される一方で、ニューエイジやスピリチュアルと名付けられる活動への参加者が増加している。現代日本のなかで、スピリチュアルな考え方やスピリチュアリティに関心のある女性たちの日常生活における宗教性に焦点を当ててみたい。There are people who tend to identify themselves as "spiritual" without identification with any religious institution. 'Spiritual but not religious' tends to characterize people today. Many researches on Spirituality has been discussed with the concept of secularization and individualization, however, we need to look at how people find the sacred or spirituality in their daily lives. This paper is based on the interviews with a group of women in Japan.
著者
川橋 範子 黒木 雅子 小松 加代子 熊本 英人
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

日本でのフェミニズム研究と宗教研究の関係の進展を課題としてきた本研究では、「欧米中心的物の見方」への批判的問い直しをするとともに、複数形フェミニズムのなかで、非西欧女性の宗教経験を、家父長制の因果関係や弱者の戦略ではなく、新しい視野でとらえなおす試みをしてきた。「宗教と社会」学会において2年続けて、テーマセッションを企画・実行してきた。本年度は、テーマセッション「仏教ルネッサンスの向こう側-ラディカルな現代仏教批判」を企画し、4月に研究会を開いてその準備をし、「宗教と社会」学会第15回学術大会で、川橋(発表・司会者)熊本(発表・司会者)が加わって実施した。また、研究代表者の川橋は国際宗教学宗教史会議の女性委員会運営委員をつとめ、この会議における女性研究者ネットワーク立ち上げに協力した。今後、このネットワークを通して、各国の研究者と積極的に情報交換を行い、国際的な研究者ネットワークの確立を行うと同時に日本の女性宗教研究者の開拓を行う予定である。本年度の情報収集のための旅行としては、黒木が、ギリシャ・メテオラに出かけ、小松がアイルランドに出かけ、それぞれ修道院と尼僧の歴史的研究資料を、女神信仰の具体的な資料を収集してきた。今後も、性別にかかわる差別と権力構造を明示し社会変革の梃子になる力を生み出す批判的概念としてのジェンダーの視点を、社会の中の性差にまつわる非対称性をあきらかにするものとしてとらえ、人間の平等な尊厳と解放を目指す宗教という事象の研究に当てはめていくことを、我々のさらなる課題と考えている。(660文字)
著者
小松 雄一 橋田 亜弥 川村 真紀子 小松 加代子 石元 美知子
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-92, 2001

老人性痴呆性疾患療養病棟の作業療法の目的は,精神症状や問題行動を有しているにもかかわらず,寝たきり等の状態にない痴呆老人であって,自宅や他の施設で療養が困難な者に対し,これらを入院させることにより,精神科医療とケアを提供するものである.当病棟患者は,いずれも家庭での介護が困難となった重度痴呆患者,身体症状は軽度だが精神症状が重度の患者,身体症状・精神症状共に重度の患者である.また,精神疾患を併せ持つ患者も多い.当病棟では,作業活動の中でみられる認知・記憶・行動などの痴呆症状を評価し,作業活動がスムーズに実施できるように作業内容の工夫や,スタッフの対応等の環境設定を行うようにしている.今回,塗り絵・貼り絵・雑巾縫いのグループ活動を通し上記について報告する.
著者
小松加代子
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科
雑誌
紀要 (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.61-74, 2014-03

宗教とソーシャル・キャピタル論の研究は、地域社会での人々のつながりが脆弱になってきた現代社会において、人々の絆を再建するための宗教の役割を考察するものとなっている。しかしながら、ソーシャル・キャピタル論には、社会的関係の中にも権力関係が存在し、弱者が強者と同じ利益を得るわけではないという点が見逃されているとジェンダー研究者から指摘をされている。本論文は、ソーシャル・キャピタル論と宗教の議論について、その方法論にある問題を指摘し、ジェンダーの視点から宗教的活動とは何かを見直す機会としたい。A recent theme being discussed in Japan is religion's place in society and its role in fostering social capital. The role of religion and its contribution in building up a strong social network is being examined. However, these debates do not discuss the power structure and minority groups within society. This paper aims to point out the problems the debates on social capital involve and suggest what religious activities mean from the perspective of gender.