- 著者
-
小林 健治
土佐 典照
原 安夫
堀江 修二
- 出版者
- 社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.8, pp.930-938, 1996-08-15 (Released:2009-05-26)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
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6
13
水道水を電気分解処理して得られたアルカリ性水の炊飯水としての有効性について検討を行い,以下の結果を得た.(1) 白米と浸漬水の総体積変化は,アルカリ水,原水(水道水),酸性水の順に大きくなった.任意のpHに調整された試験水を用いた実験より,白米の膨潤度はpHの影響を受けていることが確認された.(2) 画像処理装置により炊飯米形状を二次元的に計測し,面積はアルカリ性水,酸性水,原水の順に大きく,アルカリ性水のものは原水のものよりも約4.5%の差がみられた.(3) 三粒法により各米飯のテクスチャーを測定したが,粘りと硬さの比がアルカリ性水,酸性水,原水の順に大きな値をとった.アルカリ性水により処理された炊飯米のテクスチャーが高い原因として,炊飯米表面の糊化した澱粉量が多いことによるものであることが考えられた.洗米において白米からの澱粉の溶出量は,アルカリ性水処理によるものが最も高く,炊飯米においても同様であった.この原因として,洗米では高いpHや界面活性的な働きが白米表面物質の遊離を促進するため,また炊飯米では高いミネラル濃度が澱粉細胞の細胞壁に沿って存在するタンパク質の可溶性を促進するためと推察された.