著者
岩崎 雄一 小林 勇太 末森 智美 竹下 和貴 梁 政寛
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.231-237, 2022 (Released:2022-09-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1

全国の河川の水質測定地点 (環境基準点) 2925箇所を対象に, 集水域面積や標高, 集水域及び3 km周囲の土地利用割合に加えて, pH (最小値) , 生物化学的酸素要求量, 浮遊物質量, 全リン, 全窒素の5つの水質項目を整備した。さらに補足的に, これらの整備した物理化学的特徴に基づき, 階層的クラスター分析を用いて, 森林の土地利用割合が集水域で卓越し水質の良好なグループ1 (986地点) , 田畑または都市の土地利用割合が集水域で卓越し水質の悪化が懸念されるグループ3及び4 (それぞれ345及び310地点) , グループ1とグループ3及び4の中間的な特徴をもつと解釈できるグループ2 (1284地点) の4つの特性が類似するグループに分類した。本研究により, 任意の化学物質の濃度が高い地点がどのような特徴をもった地点であるか等を簡易的に評価できる, 水質測定地点 (環境基準点) の物理化学的特徴を整理したデータベースが構築できた。
著者
小林 勇太 堀内 颯夏 鈴木 紅葉 森 章
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.168-171, 2021-04-01 (Released:2021-06-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2

樹木の高さと太さの関係は,成長や材積の計算,群集解析,森林動態のシミュレーションに至る様々な場面で利用される重要なアロメトリー情報である。本研究では,日本全土の毎木データを収集し,約26,000 本の個体情報から75種の樹高と胸高直径の関係をChapman-Richards(von Bertalanffy)式を用いて推定した。樹種ごとの推定結果は本文中に示し,データの出典および樹高と胸高直径の散布図は電子付録に掲載した。今後の森林管理・研究のための基礎資料として広く活用していただきたい。
著者
鈴木 紅葉 小林 勇太 高木 健太郎 早柏 慎太郎 草野 雄二 松林 良太 森 章
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2118, (Released:2022-10-25)
参考文献数
48

森林の再生は、気候変動や生物多様性の損失などの社会課題に対する有効な手段の一つである。北海道知床国立公園内の森林再生地では、本来の潜在植生である針広混交林の再生を目指した森林再生活動が実施されている。ここでは、科学的知見をもとに合意形成し、管理手法を実践しながら改善する適応的管理のアプローチが取り入れられている。本稿では、この森林再生活動の成果を航空機レーザ測量およびドローン写真測量を用いた林冠構造解析によって評価した。具体的には、植栽地における樹冠高と構造的多様性、代表的な森林タイプにおける 2004年から 2020年までの 16年間の森林成長量を算出した。その結果、在来種の植栽地では他の森林タイプよりも顕著な森林成長が見られたものの、構造的多様性の回復は遅いことがわかった。このことから、活動開始から約 40年が経過しても未だ構造的多様性の回復には至っていないことが示唆された。当地での適応的管理に基づく森林再生活動の内容を紹介し、森林再生のあり方を議論することで、他地域における参考情報を提供したい。
著者
科学部所属 杉山拓、小林勇太、中澤颯、間仁田和樹
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.197, 2014 (Released:2014-07-16)

群馬県の県木はクロマツであり、かつては赤城山に広く植樹されていたが、多くが枯れてしまった。私たちは、枯れた原因について異なる説を聞いた。そこで、枯れた原因を探るとともに、マツがどのように減少し、今後はどうなるか、調べることにした。 まず、林業試験場などで聞き取り調査や文献調査を行うとともに、マツの現状を現地で確認し、現地で撮影した映像やwebからの情報をもとに、地図上に分布などを記録した。次に、過去の3つの現存植生図を用いて、どのように変化したか調べた。 聞き取り調査、文献調査の結果、赤城山では酸性雨が降っていたがマツの生育には影響しない程度であり、枯れた原因はマツクイムシが道管を破壊するためであると分かった。文献調査から、赤城山のマツ林は90年前と比べ、約90分の1まで面積が減っていたことが分かった。また、現地調査や現存植生図からは、かつては広い林も多くあったが、現在は数本が点在している場所が多くなっていることが分かった。 マツは現在も樹齢やマツクイムシの影響で枯れていくものがあるが、枯れる本数と植林本数がほぼ同じであり、マツクイムシの被害が抑えられれば、本数は増加していくと考えられる。