著者
小林 多寿子
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法學研究 : 法律・政治・社会 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.476(67)-494(49), 2017-01

1. 日本における自分史と文章運動2. 自分史を書くことと「第二の生産者」3. 人生史サークル黄櫨の会4. 書くことへの転機と意味の転換5. 自分史と「第二の生産者」有末賢教授退職記念号
著者
小林 多寿子
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.114-124, 2014-05-31 (Released:2017-09-22)
被引用文献数
2

質的調査データは、近年のデジタル技術発展による記録媒体の急速な変化や個人情報への配慮の高まりのもとでそのあつかい方が問われ、個人的記録と歴史的価値の問題、調査データの検証可能性や二次利用、二次分析を含む第三者のアクセスの問題、社会調査データそのもののリサーチ・ヘリテージ(調査遺産)としての価値やデータの管理保存の問題等に直面している。この現状をふまえて、質的調査データの管理・保存・公開の可能性を考え、質的調査法をより信頼性の高い社会学的研究法へ成長させていく方途を探るために、「質的調査データの管理・保存に関するアンケート」調査を2012年2月に実施した。この調査結果を社会学領域の回答者に照準して紹介し、質的調査データをめぐる現状とアーカイヴ化の可能性を考える。質的調査ではインタビューが中心的な手法であり、多様なパーソナル・ドキュメントが質的データとして併用されている実態や調査対象者への二段階の許諾プロセスという倫理観の変化があきらかになった。さらに公共財としての調査データという認識の必要性が指摘され、質的調査データの公共性の認識のもとに、データの学術的意義や社会的意味、歴史的価値を明らかにして調査データを保存管理するアーカイヴ・ルールの確立とアーカイヴ・システムの設立が求められている。
著者
小林 多寿子 桜井 厚 井出 裕久 小倉 康嗣
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

1970年代末のライフストーリー法リバイバル期より蓄積されてきた質的調査データは今、歴史的価値を持ち始め、調査資料の管理保存や二次利用をめぐってその扱い方が問われている。そこで質的調査研究におけるデータ実態と問題点を明らかにし、今後の活用可能性を検討するために、<リサーチ・ヘリテージ(調査遺産)>とアーカイヴ化という視点から質的調査データの経験的研究に取り組んだ。3年の研究期間中、質的調査者へのアンケート調査、アーカイヴの事例調査、社会学者の質的調査資料群調査という3種類の調査を実施し、その成果はフォーラムや学会シンポジウムでの報告、学会誌での論文発表や報告書の作成という形で研究成果を示した。