著者
和田 成一 倉林 秀光 小林 泰彦 舟山 知夫 夏堀 雅宏 山本 和夫 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.471-477, 2003-04-25
被引用文献数
2 18

三種類の細胞, CHO-K1, HMV-IIおよびL5178Yを用いてγ線照射によるDNA損傷と細胞死との関係を調べた.細胞の生存率はクローン形成法によって求められた.放射線照射によるDNA鎖切断とその再結合はアルカリ及び中性コメット法で測定された.三種類の細胞の中ではL5178Yが最も放射線感受性で,CHO-K1とHMV-IIは放射線抵抗性であった.これらの細胞の放射線感受性(2Gy照射時の生存率)と,アルカリ条件下での単位線量あたりの初期DNA損傷生成率の間には負の関係が認められた.一般に細胞の放射線感受性に関連すると考えられているDNA二本鎖切断の単位線量あたりの残存量(照射4時間後)と放射線感受性との間にも負の関係が認められた.今回用いた分析条件では,DNA初期損傷の評価にはアルカリ条件が,残存損傷の評価には中性条件が適することが分かった.今回用いたコメット法は,放射線によるDNA損傷を検出する他の方法よりも簡便で迅速であるので,放射線感受性を予測する方法として有用であると思われる.
著者
千葉 悦子 飯塚 友子 市川 まりこ 鵜飼 光子 菊地 正博 小林 泰彦
出版者
日本食品照射研究協議会
雑誌
食品照射 (ISSN:03871975)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-36, 2016 (Released:2017-03-01)
参考文献数
11

「香辛料は,照射殺菌に比べて過熱水蒸気殺菌では香りが減少し色調が変化する」ことを,官能検査により種々の条件で確かめた。加熱調理のカレーであっても,照射殺菌品は過熱水蒸気殺菌品より「試食前の香り」や「試食しての辛味」が統計的な有意差を伴い強かった。料理でなく香辛料自体で比較し,赤唐辛子,白・黒コショウは,照射殺菌品の方が,風味や辛味がより強い傾向であった。さらに,赤唐辛子やターメリックの過熱水蒸気殺菌品は,未処理品との色の違いが非常に大きく,照射品は小さかった。そこで,色と風味の比較を2次元マップに表すと,照射品は未処理品に近いことが一目瞭然で,放射線殺菌の長所が納得しやすく,リスクコミュニケーション推進に効果的であると分かった。また,香辛料は水に浮沈するので,香辛料の量を厳密に揃える比較には,香辛料の分散が必要と分かった。それには,ポタージュや介護用とろみ剤が有効であろう。とろみ剤を水に溶かして香辛料を分散させると,白コショウの辛味は,統計的な有意差を伴い,照射殺菌品の方が過熱水蒸気殺菌品より強かった。ただし,照射品の風味の方が好まれるとは限らず,風味は強弱だけでなく質的な違いも感知される場合があると考えられた。
著者
小林 泰彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.63-83, 2022-03-15 (Released:2022-03-16)
参考文献数
45

食品照射は多くの国のニッチなマーケットで成功し,照射による植物検疫処理も急増している。日本の食品規制当局は,ニーズが見えないことと社会受容の未熟を理由に規制の見直しに消極的だが,国による安全性評価とその結果の周知がない限り,消費者の誤解を解くことは容易でない。今まず必要なのは,社会受容のための消費者教育ではなく,照射食品の安全性と有用性を正当に評価し,消費者の誤解を恐れてニーズを言い出せない事業者に正確な情報を提供することである。