著者
玉木 雅子 鵜飼 光子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-76, 2003-01-15
被引用文献数
4

タマネギを充分に褐変するまでいためたときの性状の変化を調べた。(1)タマネギを長時間炒めると水分の蒸発とともに,色,味,香りが変化した。できあがり量が40%から20%へと減少する過程で色調が急激に変化し,刺激臭も消失,甘く香ばしい香りへと変化した。炒めることにより甘味だけでなく酸味や苦味も生じた。(2)タマネギの色が褐色に変化するまで炒めると,グルコース,フルクトースおよび遊離糖総量が減少した。(3)炒め時間の異なるタマネギからスープを調整すると,材料となる炒めタマネギとは味や香りの感じ方が異なり,フレーバーの優れるスープを調整するためには炒めたタマネギよりも長時間の炒め操作が必要であった。(4)炒めタマネギやオニオンスープの糖含有量と,官能評価による甘味の強さとは対応しなかった。
著者
亀谷 宏美 鵜飼 光子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.33-36, 2012-02-05
被引用文献数
1

インスタントコーヒーのヒドロキシルラジカル捕捉活性をESRスピントラップ法により評価した。ヒドロキシルラジカル捕捉活性の評価にはスピントラップ剤5-(2,2-dimethy-1, 3-propoxycyclophosphoryl)-5-methyl-1-pryoline N-oxide (CYPMPO)を使用した。H_2O_2とCYPMPOのリン酸バッファー溶液をHg-xeアーク灯で照射することで高純度のヒドロキシルラジカルを発生させた。ヒドロキシルラジカルとCYPMPOのアダクトのESRスペクトルは非常に安定しており,感度良く観測することができた。インスタントコーヒーは高いヒドロキシルラジカル捕捉活性を有すると結論した。
著者
玉木 雅子 鵜飼 光子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-76, 2003-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15

タマネギを充分に褐変するまで炒めたときの性状の変化を調べた.(1) タマネギを長時間炒めると水分の蒸発とともに, 色, 味, 香りが変化した.できあがり量が40%から20%へと減少する過程で色調が急激に変化し, 刺激臭も消失, 甘く香ばしい香りへと変化した.炒めることにより甘味だけではなく酸味や苦味も生じた.(2) タマネギの色が褐色に変化するまで炒めると, グルコース, フルクトースおよび遊離糖総量が減少した.(3) 炒め時間の異なるタマネギからスープを調製すると, 材料となる炒めタマネギとは味や香りの感じ方が異なり, フレーバーの優れるスープを調製するためには炒めタマネギよりも長時間の炒め操作が必要であった.(4) 炒めタマネギやオニオンスープの糖含有量と, 官能評価による甘味の強さとは対応しなかった.
著者
千葉 悦子 飯塚 友子 市川 まりこ 鵜飼 光子 菊地 正博 小林 泰彦
出版者
日本食品照射研究協議会
雑誌
食品照射 (ISSN:03871975)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-36, 2016 (Released:2017-03-01)
参考文献数
11

「香辛料は,照射殺菌に比べて過熱水蒸気殺菌では香りが減少し色調が変化する」ことを,官能検査により種々の条件で確かめた。加熱調理のカレーであっても,照射殺菌品は過熱水蒸気殺菌品より「試食前の香り」や「試食しての辛味」が統計的な有意差を伴い強かった。料理でなく香辛料自体で比較し,赤唐辛子,白・黒コショウは,照射殺菌品の方が,風味や辛味がより強い傾向であった。さらに,赤唐辛子やターメリックの過熱水蒸気殺菌品は,未処理品との色の違いが非常に大きく,照射品は小さかった。そこで,色と風味の比較を2次元マップに表すと,照射品は未処理品に近いことが一目瞭然で,放射線殺菌の長所が納得しやすく,リスクコミュニケーション推進に効果的であると分かった。また,香辛料は水に浮沈するので,香辛料の量を厳密に揃える比較には,香辛料の分散が必要と分かった。それには,ポタージュや介護用とろみ剤が有効であろう。とろみ剤を水に溶かして香辛料を分散させると,白コショウの辛味は,統計的な有意差を伴い,照射殺菌品の方が過熱水蒸気殺菌品より強かった。ただし,照射品の風味の方が好まれるとは限らず,風味は強弱だけでなく質的な違いも感知される場合があると考えられた。
著者
玉木 雅子 鵜飼 光子 村田 容常 本間 清一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.670-678, 2002-10-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

北海道産タマネギ6種について,貯蔵による品種特性の変化を調べた.(1) 貯蔵中にいずれの品種でも固形分,糖度,平均一球重の変動が認められたが,「蘭太郎」,「さらり」では貯蔵による変動が少なかった.これら2種はピルビン酸生成量あるいはその貯蔵中の増加量が少なく,従来のF1種とは異なる性質を示した.最多に栽培されている「スーパー北もみじ」は,冷蔵貯蔵前の11月はピルビン酸生成量,硬度ともに低値を示したが,12月以降は両者とも急激に上昇した.(2) ほとんど全てのタマネギは,長期保存中もソテー加工に適する固形分量およびパウダー加工に適する還元糖量を示した.(3) タマネギの硬度を品種間で比較したが,測定時期(貯蔵期間)により変動し,品種による硬さの位置づけはできなかった.(4) 鱗茎部分の色彩および遊離糖の組成は貯蔵により変動し,その傾向は淡路産タマネギと類似していた.本研究を行うにあたり,北海道産タマネギの品種についてご指導いただいた北海道立北見農業試験場場長宮浦邦晃氏,ならびに試料タマネギの栽培,採取および選定にご協力いただいた同試験場園芸科科長田中静行氏に深く感謝の意を表します.