著者
小林 真生子 齊藤 毅 沖津 進
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.11, pp.632-636, 2011-11-15 (Released:2012-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

埼玉県の松山層群に属する中新世の楊井層は大型植物化石を多く産出する.楊井層の年代を明らかにすることは,同時代の植物化石フロラを比較し,日本の中新世の古植生を復元するうえで重要である.そこで,楊井層の2つの凝灰岩の中に含まれるジルコンでフィッショントラック年代を測定した.その結果,楊井層の最下部凝灰岩(Y-1凝灰岩)のフィッショントラック年代は9.1±0.7 Ma,最上部凝灰岩(Y-9凝灰岩)のフィッショントラック年代は9.6±1.3 Maであった.これらの結果から,楊井層は後期中新世の地層であると考えられる.楊井層の植物化石フロラは群馬県の上部板鼻層の植物化石フロラに年代が近いと考えられる.両植物化石フロラを比較すると,楊井層には山地に生育する植物種の化石は含まれていなかったが,上部板鼻層の植物化石群には山地の植生を構成する種が含まれていた.楊井層の植物化石は板鼻層よりも山地から遠い場所で堆積したと考えられる.
著者
升屋 勇人 安藤 裕萌 小林 真生子 河内 文彦 岩澤 勝巳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.866, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

イチョウ(Gingko biloba)は中国原産の裸子植物イチョウ科イチョウ属の落葉高木で、古くから種子食用に栽培されている他、緑化木として公園や街路樹に多く植栽されている。最近、千葉県、愛知県で相次いで原因不明のイチョウの衰退、枯死が確認された。主な症状は、開葉後の葉先の褐変、萎れ、早期落葉により、最終的には枯死に至る。被害は複数本のまとまりで発生しており、隣接木へ被害が移行しているようにみえる事例も見られたことから、葉の感染症と土壌病害の両方の可能性が考えられた。そこで、葉、根圏双方での病原体の探索を行ったところ、葉からはGonatobotryumなどの寄生菌が検出されたが、木全体を枯死させるものとは考えられなかった。土壌釣菌実験を行ったところ、愛知県では1種類。千葉県では2種類のPhytophthora属菌が検出された。形態、およびDNA解析の結果、両県で共通して検出されたのはP. citrophthoraもしくはその近縁種と考えられた。P. cf citrophthoraを用いた土壌混和による接種試験で、イチョウの1年生実生は2か月で萎れ、枯死に至った。成木への影響を明らかにする必要はあるが、イチョウの枯死に本種が関与している可能性があると考えられた。
著者
小林 真生子 那須 智子 Greenthumb B. 沖津 進
出版者
千葉大学園芸学部
雑誌
食と緑の科学 (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
no.67, pp.35-42, 2013-03

近年,海岸部の埋め立て地域は工場や港湾施設の他に,千葉県千葉市の海浜幕張地区や千葉県浦安市,東京都品川区のように,住宅地としても利用されている。これらの地域は高層住宅や商業施設が建設され,人口が密集する地域でもある。人工的な埋立地では,樹木を植栽しなければ緑がなく,街路樹の重要性は,斜面林や社寺林や屋敷林などが残る内陸部の非埋立地よりも大きいといえる。海岸部の街路樹は,潮風を緩和したり,埋立地の景観を改善したりするうえで重要である。本研究では,千葉県千葉市の海岸部埋め立て地域に植栽された針葉樹1種と広葉樹9種の街路樹の10年間の生育状態の調査結果を報告し,関東地方の海岸部埋め立て地域の街路樹種として適する樹種を考察した。