著者
小林 里実
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.55-59, 2009 (Released:2010-06-01)
参考文献数
14
被引用文献数
3

扁桃病巣感染による皮膚疾患の治療では, まず扁桃炎に対する治療をどう行うかを考えるのが合理的である. 皮膚疾患が一過性であり抗生剤内服で十分なもの, 扁摘が有用なものを整理しておくとよい. 反復する急性扁桃炎の度に安静を要する皮膚疾患を繰り返す場合, QOL改善のために扁摘も考慮する. 扁桃は無症状であるが皮疹が慢性に経過する掌蹠膿疱症は, 扁摘の高い有効性から病巣感染による皮膚疾患であると捉え, 扁摘の適応疾患と考える. 非観血的治療と比べ, 治癒達成率, 速やかな軽快において扁摘は優れた効果を示すこと, 手術の負担とリスクを患者に正しく伝え, 患者の意思に即した治療を選択することが皮膚科医の責務である.