- 著者
-
門野 岳史
- 出版者
- 日本臨床免疫学会
- 雑誌
- 日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.2, pp.83-89, 2017 (Released:2017-06-12)
- 参考文献数
- 32
- 被引用文献数
-
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抗PD-1抗体であるニボルマブおよびペンブロリズマブ,抗CTLA-4抗体であるイピリムマブを代表とする免疫チェックポイント阻害薬は悪性黒色腫,非小細胞肺癌,腎細胞癌,ホジキンリンパ腫といったがん治療に新たな光明をもたらした一方で,様々な臓器に対して免疫関連有害事象という独特な副作用をもたらす.なかでも,間質性肺疾患,大腸炎,甲状腺機能低下症,肝障害,発疹,白斑,下垂体炎,I型糖尿病,腎機能障害,重症筋無力症,末梢神経障害,筋炎,ぶどう膜炎などが代表的である.免疫関連有害事象の出現時期に関しては様々であるが,抗CTLA-4抗体であるイピリムマブに関しては皮膚粘膜障害が比較的早期に出現し,その後消化器症状が出現しやすい.ニボルマブの免疫有害事象は全体としておおよそ投与数ヶ月後に生じることが多いが,出現時期には大きなばらつきがある.免疫関連有害事象に対する治療は基本的にはアルゴリズムに則って行うが,速やかに専門医にコンサルトし,有害事象のグレードと原病の状態を鑑みながら方針を立てていく.免疫関連有害事象は様々な臓器に出現するが故に他科との連携が肝要であり,病院として関係する各科横断的な対策チームを築くことが重要である.